ポテト泥棒
数日前の晩、我が家にポテト泥棒が現れた。
僕が仕事帰りにマクドナルドでチーズバーガーとポテトL、コーラLのセットを買って帰ると、奥さんが少し先に帰って来ていて夕飯を食べていた。
奥さんは最近、僕が近所のスーパーで見つけた冷凍のタコ焼きにハマっている。
レンチンするだけだから面倒くさくないというのもあるんだろう。
親の仇のようにタコ焼きばかり食べている。
まぁ僕も親の仇のようにマクドナルドを食べているので言えた義理ではない。
僕が部屋着に着替えてマックを食べようとすると、視線を感じる。
見るとチラチラこちらを伺う奥さんと目があう。
「ポテト1本ください」
僕はうなずいて、1番長そうで端がカリカリしたポテトを差し出す。
しばしば繰り広げられる光景だ。
1本ちょうだいと言って1本食べるんだから泥棒ではない。
泥棒はその後に現れた。
テレビを見ながら食べている僕。
奥さんが僕の左側にいて
テレビが僕の右側にある。
テレビを見ていると視界の左隅でゆっくりとポテトへ手が伸びてくるのが見えた。
2本、3本と盗まれるポテトたち。
隣にいるから全てお見通しなんだけど
泥棒は必死で身をかがめてバレないようにしている。
テレビを見ている振りをしてポテト泥棒をしばらく泳がせてやった。
4本、5本と歯止めの効かないポテト泥棒。
僕もポテトを食べようと正面に向き直ると
泥棒はサッと手を引っ込めて
なぜだかビックリした顔でこちらを見ている。
あのね、ビックリする権利はこっち側ですけど。
「バレバレだからこっそり食べなくていいよ😅さっきから何もかもお見通しだわ」
僕がそう言うと
ポテト泥棒は10本ほどのポテトを盗み食いして満足げにニヤリとした。
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そして今日。
またマクドナルドで夕飯を買って帰ると
奥さんはまだ帰っていなかった。
ポテト泥棒が帰って来る前に
僕は慌ててポテトを食べ尽くした。
片付けて一息ついた後トイレに入っていると
玄関のドアが開く音がして奥さんが帰って来た。
トイレを出て居間へ行くとテーブルの上にはマクドナルドの袋。
奥さんもマクドナルドを買ってきたのであった。
憎っくきポテト泥棒め。
今日は僕が奥さんのポテトを1本盗んでニヤリとしてやった。
お腹いっぱいで食べたくもないのにポテトを盗まずにはいられなかったのだ。
やられたらやり返す、10分の1返し。
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