彼岸

今回、希死念慮について語っております。
苦手な方は、本日は対岸にてお待ち頂ければ。
「暑さ寒さも彼岸まで。」お身体にご自愛くださいますよう。

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あるミュージシャンが、高所恐怖症だと言っていた。高いところが苦手なのではなく、うっかり飛びそうになるからだと。
それを聞いた時、その衝動を表す言葉を持ち得ていなかった私は、大変に納得してしまった。

書類の端に高確率でしにたいと何度も書き殴るのは、本当に死にたい訳でなく、誰かの言葉を借りれば、「全てを放り出してハワイに行きたい」くらいの意味合いだ。朝起きる時に多少人間を辞めたくなるのと同じで、本来の死を望んでいるわけではない。
高いところや電車のホームで、不意にリアルな死が簡単に手に入る場に居合わせた時、それは、多分、ただの好奇心なんだと思う。


昨年は、死について多くを考える年になった。
誰もが知る有名人が何人も亡くなられたのも、その一つ。


365日投稿を続けるのが目標だとか高尚なことを言ってみたり、
日常のなかで普通に笑って生きていても、
人は突然にいなくなれる。

生生流転、他人の心が読めないよく出来たこの世界で、
あとから、
あの人は実は悩んでいたんだね、とか
あの時何を考えていたんだろう、とか
推測されるのは世の常で。



希望を持った私と、絶望を持った私。

私が思うに、
どちらが本当なのではなく、
ただ、どちらも本当の私なだけなのだ。


それにしても、あのメモ書きも、
もし見つけられたら遺書になるのかもしれない。
それはちょっといやだなあ。

彼岸(ひがん)


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