奇縁堂だより10【日本推理作家協会賞②】
前回の記事(奇縁堂だより9)からの続きで,今回も日本推理作家協会賞を受賞した作品を紹介いたします。第57回以降の受賞作の紹介になります。
紹介作品一覧
『葉桜の季節に君を想うということ』
『硝子のハンマー』
『赤朽葉家の伝説』
『乱反射』
『ジェノサイド』
『百年法』
『イノセント・デイズ』
『孤狼の血』
作品紹介
・『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午:著) 文庫,¥ 300(税込)
第57回受賞
成瀬将虎は“何でもやってやろう屋”を自称する元私立探偵。高校の後輩・芹沢から,彼が好意を寄せている久高愛子の相談に乗って欲しいと頼まれた。
愛子からは,祖父の不審死と,悪質な霊感商法を行なっている蓬莱倶楽部の調査を依頼された。奇しくも同じ日に,偶然,駅のプラットホームから飛び込み自殺を図ろうとしている麻宮さくらを助け,これをきっかけにデートするまでに。
蓬莱倶楽部の実態は?成瀬とさくらの関係は?
・『硝子のハンマー』(貴志祐介:著) 文庫,¥ 150(税込)
第58回受賞
日曜日の正午過ぎ。六本木の介護サービス会社の社長が,エレベータには暗証番号,廊下に監視カメラ,隣室には役員がいる,という密室状態の社長室で撲殺された。
逮捕されたのは,続き部屋で仮眠をとっていた専務の久永。久永の弁護人となったのは美人弁護士・青砥純子。純子は久永の無実を信じ,怪しげな防犯コンサルタント榎本直とともに密室の解明を試みる。果たして…
・『赤朽葉家の伝説』(桜庭一樹:著) 四六判,¥ 330(税込)
第60回受賞
語り手の祖母・万葉は,“辺境の人”に置き忘れられた幼子だった。
万葉は村の若夫婦に引き取られて成長し,長じて製鉄業で財を成し村に君臨する旧家・赤朽葉家に望まれ輿入れした。万葉は超能力者としての資質を発揮し,赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。
万葉の娘・毛毬は,女性暴走族として有名を馳せるが,後に漫画家になり一族を支える。
そして,何者でもない三代目の語り手(わたし)。彼女たちを取り巻く一族の栄枯盛衰を…
・『乱反射』(貫井徳郎) 文庫,¥ 280(税込)
第63回受賞
強風で街路樹が倒れ,近くを通っていた2歳の男児が乗ったベビーカーに直撃した。男児は病院に搬送されるが,死亡してしまう。
何故,この児は死ななければならなかったのか?新聞記者の父親が辿り着いた真相は…。
路樹伐採の反対運動を起こす主婦,職務怠慢なアルバイト医,救急外来の常習者,飼犬の糞を放置する定年退職者…。
すべて市民のエゴイズムが原因なのか?裁かれるべきは誰か?
・『ジェノサイド(上・下巻)』(高野和明:著) 文庫,¥ 440(税込)
第65回受賞
元グリーンベレーのイエーガーはイラクの民間軍事会社に所属する傭兵。
難病を患う息子のために多額の費用が必要となり,コンゴ共和国で危険な病に取り憑かれたピグミー族の住人たちを駆除し,これまで見たこともない生物に遭遇した場合はそれを排除する任務を引き受ける。これは,人類絶滅の危機を防ぐためのアメリカ大統領の命令だった…
一方,創薬化学を専攻する大学院生・研人の父・誠治が亡くなった。その5日目に父から研人の元へメールが届いた…
父の書斎から発見されたメモには,不可解な遺言?と500万円の預金があるキャッシュカード,そして極めて高度な創薬ソフトが収蔵されたパソコンが残されていた。
イエーガーと研人の人生が交錯するとき,驚愕の真実が明らかになる!
・『百年法』(山田宗樹:著) 四六判,¥ 770(税込)
第66回受賞
2048年の日本では,アメリカ主導による不老処置が一般化し,不老不死が実現している。しかし,“不老処置を受けてから百年後には死ななければならない”とする百年法が施行されようとしていた。
不老処置を受けた人々の目前に百年目の強制死が迫っている。その時,不老処置を受けた人々の選択は…不老処置を受けずに生を全うし,老化して死を迎える人々は…
・『イノセント・デイズ』(早見和真:著) 文庫, ¥ 250(税込)
第68回受賞
田中幸乃は,元恋人・敬介の家に放火して彼の妻と1歳の双子の姉妹を殺害したとされ,死刑を宣告された。
本当に幸乃が放火したのか?事件の背景に何があったのか?幸乃の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるのは…
幸乃の無実を信じる幼馴染の慎一は,ようやく真実を突き止めるが,それはあまりにも哀しい真実だった。
・『孤狼の血』(柚月裕子:著) 四六判,¥ 440(税込)
第69回受賞
1988年(昭和63年)。広島県呉原東署の捜査二課に配属された新人の日岡は,広島大学卒の超真面目なぼっちゃん刑事。
ヤクザとの癒着を噂されているアウトローの大上刑事と,暴力団系列の金融会社社員失踪事件を追う。捜査の過程で大上刑事は…。警察とヤクザの仁義なき闘い!正義とは何か?
映画化され,キャストは松坂桃李が日岡役,役所広司が大上役を務めています。またシリーズ化されており『凶犬の眼』,『暴虎の牙』と続きます。
長くなりましたが,ここまでお読みいただきありがとうございました。
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