奇縁堂だより21【本の紹介:横浜に関する本】
はじめに
「♬ 街の灯りが とていもきれいね ヨコハマ ブルー・ライト・ヨコハマ〜 」これは1968年(昭和43年)にリリースされ100枚を超える大ヒット(当時はレコードでした)となった“いしだあゆみ(現在は女優として有名です)”の『ブルー・ライト・ヨコハマ』の歌い出しです。京浜急行横浜駅の電車接近時に流れるメロディは,この『ブルー・ライト・ヨコハマ』なのを知っていらしゃる人もいらっしゃるのではないでしょうか。いや,「当時の楽曲は知らないが,電車接近時のこのメロディは知っている!」という人の方が多いかも知れませんが。
横浜を舞台にした楽曲は数多く,美空ひばりの『悲しき口笛』,青江三奈の『伊勢佐木町ブルース」,五木ひろしの『よこはま・たそがれ』,ダウンタウン・ブギウギ・バンドの『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』,サザンオールスターズの『LOVE AFFAIR 秘密のデート』,“ゆず”の『桜木町』など枚挙にいとまがありません。横浜ローカルな話になってしまい,申し訳ありません。
楽曲同様に,横浜が舞台となった書籍も数多くあります。そこで今回は,ローカルな話題に乗じて奇縁堂の在庫の中から横浜に関するものをピックアップして紹介します。
●紹介作品一覧
・西洋の見える港町
・週間 街道をゆくNo.36 横浜散歩
・横浜1963
・県警外事課 クルス機関
・夜明けの街で
・ようこそ、我が家へ
・イノセント・デイズ
・三都物語
●作品紹介
・『西洋の見える港町』 (中野孝次:著) A5判,¥770(税込)
著者の中野孝次は,ドイツ文学者・作家・評論家で,1972年以降は横浜市磯子区の洋光台に居を構え,後半生を送りました。また,中野は12年間にわたって横浜の山手にある神奈川近代文学館の理事長も務めています。山下公園,山手,野毛,伊勢崎町など,中野の目から見た国際都市ヨコハマのいいところ,好きなところを綴ったのが本書で,画家・沢田重隆による挿画も素晴らしい。
・『週間街道をゆくNo.36 横浜散歩』 (朝日新聞社:編) 300×230mm,¥250(税込)
『街道をゆく』は作家・司馬遼太郎のライフワークで,この「週間街道をゆく」は司馬遼太郎が歩いた67の“街道”を,その思索の核心となる文章と取材当時の貴重な写真,そして第一線のカメラマンが撮影した現在の写真で再現したものです。本号のメイン・タイトルは『横浜散歩』で,特集として「横浜開港の光と陰」を掲載するほか,「横浜で開かれた史上初の日米会談」,「黒鉄ヒロシの名場面・横浜開港」,「リレー紀行・関川夏央がゆく横浜」など内容は盛りだくさんです。
・『横浜1963』 (伊東潤:著) 四六判,¥350(税込)
1964年に開催された日本初のオリンピック。その前夜ともいえる1963年に横浜で発生した連続殺人事件。白人にしか見えないハーフの日本人警察官・ソニー沢田と,日系の米軍SP・ショーン坂口。二人が日米の壁を越えて卑劣な連続殺人事件の犯人を追い,そして事件の真相に迫ります。
横浜生まれの著者による本格社会派ミステリーです。
・『県警外事課 クルス機関』 (柏木伸介:著) 文庫,¥250(税込)
“歩く一人諜報機関:クルス機関”の異名をとる神奈川県警外事課の来栖惟臣は,違法捜査もいとわない。あるとき,北朝鮮の工作員が大規模テロを企てているという情報を得る。しかし,時を同じくして北朝鮮の関係者と目される者たちが口封じに次々と暗殺されていた。暗殺者は祖国に忠誠を誓う冷酷な殺人鬼・呉宗秀。大規模テロをめぐり,来栖と呉それぞれの正義が横浜(桜木町,福富町,寿町,石川町)を舞台に激突する。第15回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞。
著者は愛媛県出身ですが,横浜国立大学教育学部卒です。
・『夜明けの街で』 (東野圭吾:著) 文庫,¥150(税込)
建設会社に勤める渡部は,派遣社員の女性と不倫の恋に墜ちる。越えてはならない一線を越えてしまったのだ。しかも,彼女にはある殺人事件の容疑がかかっていた。事件はまもなく時効を迎えようとしている…
物語は,大黒埠頭や山下公園を中心に展開していきます。
・『ようこそ、わが家へ』 (池井戸潤:著) 文庫,¥150(税込)
横浜市港北区の戸建に住む会社員・倉田太一は,真面目なだけが取り柄の52歳。ある夏の日,駅のホームで割り込み男を注意した。すると,その日から倉田家に対する嫌がらせが始まった。
花壇は踏み荒らされ,郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。さらに車は傷つけられ,部屋からは盗聴器まで見つかった…
一家はストーカーとの対決を決意するが…
・『イノセント・デイズ』 (早見和真:著) 文庫,¥250(税込)
田中幸乃は,元恋人・敬介の家に放火して彼の妻と1歳の双子の姉妹を殺害したとされ,死刑を宣告された。本当に幸乃が放火したのか?事件の背景に何があったのか?幸乃の人生に関わった人々の追想から浮かび上がるのは…
幸乃の無実を信じる幼馴染の慎一は,ようやく真実を突き止めるが,それはあまりにも哀しい真実だった。
第68回日本推理作家協会賞受賞。
著者は横浜出身で,桜木町,野毛,曙町,山手のほか,横浜駅周辺や寿町を連想させる街も登場します。
・『三都物語』 (船戸与一:著) 文庫,¥200(税込)
世界をさすらう野球コーチの雪島裕司は,黒社会と関わっていた。奇跡的に復活した投手の金光洋昭は,ベトナム戦争の亡霊と遭遇した。アジアの超新星・劉東生は,知らず陰謀に呑み込まれていた。彼らは野球の才能を買われ,異国のスタジアムに招かれた。
横浜,台中(台湾),光州(韓国),神なき三つの都に降る雨に彼らは…
船戸与一が描くハードボイルドの世界です。
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