パートナーと娘とわたし。
わたしには21年連れ添っているパートナーがいます。
今までわたしの歴史をnoteに綴ってきた中で、
彼が登場しなかったのには理由がありました。
彼はトランスジェンダー(心と身体の性が一致していない)で、身体は女性のままなので、
娘には、パートナーだということを最近まで伝えていなかったからです。
わたし達の関係を、幼い彼女にインプットはせずに、彼女が感じるまま、そのままでいようとふたりで決めて20年以上過ごしてきました。
まだ小学校1年生だった娘を、引っ越しさせたり、転校させたりということはせず、週末にどちらかの家で過ごすということをしてきました。
幼い頃からそうだったので、娘にとってはずっと、自分のお家が2軒あるような感覚だったそうです。
娘が大学生になり、ひとり暮らしをしたいと言って家を出てから、初めて彼とわたしは一緒に暮らし始めました。
そして、数ヶ月前、娘に全てを伝えました。
おそらくわたし達のことは、気づいてるであろうと、てっきり思っていたのですが、(なぜかというと、娘の携帯には[親父]という名で、彼の番号が登録されていたので)
彼女は全くそのようには感じておらず、パートナーのことは、
『ママの高校の同級生で親友で、ずっとお父さんの代わりをしてくれている人』と
小さな頃から現在まで、当たり前にそう思ってきたようです。
わたしの告白に彼女はとても驚いて、溢れてくる涙を一瞬も止められないようで、
『なんで言ってくれへんかったん!辛かったやろ!しんどかったやろ!聞いても何にも思えへんかったのに!』と
たくさんの愛と驚きと、様々な想いが入り混じった感情をわたしにぶつけてくれました。
本当にふたりでたくさん泣きました。
わたしも、今までつかえていた想いが一気に流れ出したみたいでした。
そして、わたしの今までの歴史や、離婚したパパの話、離婚してからのわたしのフラフラぶりなどを全て、包み隠さず話しました。
そして、7歳の頃から会っていないパパに会っておいでとも伝えました。
あなたがそう望むなら、喜んで協力すると。
初めて言えました。
そう。彼女はもうすっかり大人になったのです。
わたしが、パートナーが、必死に護らなくても、
彼女はもう大丈夫。
そう思えたから、まるで、親友に話すかのように、
わたしはたくさんの出来事や想いを伝えることができました。
彼女は、わたしが聖人のように清らかに、娘だけのことを考えて生きてきたと思っていたようで、
わたしが離婚後、何度か恋をしたことを話すと、とても驚いていました。
『ママもフツーの人間やったんやな…』と、とてもホッとした顔をして、心が軽くなったようでした。
母親だからと気負いすぎて、キレイな部分ばかりを見せてきたからか、彼女には、母も女性であり、生身の人間である感覚があまりなかったようです。
それは彼女にとってあまり良い影響を与えなかったようにも思います。
だから、とてもホッとした顔をしたのですね。
他にも、離婚後、過食嘔吐がとても酷い時期があったこと、その頃、パートナーに"助けて"と言ったことがきっかけで、今に至ること。
そして、すみません。
これがわたしの人生を大きく変えたとも言えることなので、省略はできなくて、センシティブな内容になるかもしれないのですが、
小児性愛者は嗜好の問題ではなく、本人が望んでいない場合が多々あり、それを必死に隠して生きている人もいることを知ってしまい、もしも自分が好きになった人がそうだったら、娘に何かあったらと思うと、男性と付き合うことが怖くなってしまい、それも大きな一因で、今のパートナーと一緒になろうと決めたことも伝えました。
母親の歴史そのままを、彼女は受け止め、受け入れ、
だんだんと表情は柔らかくなっていきました。
仕事中の彼に、勝手に娘に全て話したことと、娘の反応をメッセージで送ると、
"わかった。話してくれてよかった"と返信がありました。
その夜、パートナーが仕事から帰ってきて、目をパンパンに腫らした娘の顔を見た瞬間、いつもの調子で
『なんやおまえ!その顔…』と言いかけて泣き出し、今度は3人でボロボロ泣きました。
娘は彼に、『辛かったやろ』と『ありがとう』を何度も言っていました。
彼は何度も何度も涙を拭いながら、
『辛い時もあったけど、小さいおまえにインプットはしないと決めたから。それに自分とママとの関係が、もし学校の友だちにわかって、噂されたり、それが原因でいじめられたりしたらと思うと怖かった。だから、ママの友だちで通してきた。でも、おまえが無事に大人になってくれたから、今は辛いも何もない。何の後悔もない。それに自分はおまえと出逢えたことで大人になれたんや。こっちこそありがとう。』と。
彼は若い頃、酔っ払って、『自分がもし男だったら、すぐに籍をいれて、すぐに養子縁組をして、堂々と家族だと名乗れたのに…悔しくて悲しい…』と、何度も言っていたことを思い出しました。
性別適合手術をすれば、性別は変えられ、結婚もできるのはもちろん承知でしたが、彼の両親への想いなどから、それには至りませんでした。
わたしでさえも、計り知れない想いがたくさんあったのだと、彼の泣き顔を見て思いました。
彼は様々な葛藤の中、娘とわたしを支えてくれました。
彼がいなければ、娘は現在のような大人には絶対になっていません。
本当に一生懸命、育ててくれました。
娘とわたしのみならず、わたしの母や妹家族にとっても、なくてはならない存在です。
やんちゃな甥っ子たちもみんな、彼のことが大好きです。
いつまでも子ども心を忘れない、少年のような人です。
その後の、わたしたち3人はというと、彼とわたしに、ずっと当たり前にあった微妙な緊張感がなくなったせいか、3人の距離は確実に縮まりました。
気を配らないといけないことがなくなったおかげで、娘にも今まで以上に素直に向き合うことができています。
最近は娘の誕生日に、インスタのストーリーに、3人の家族写真をシェアしました。
ひと言でいうと、"なんかめちゃフツー"です笑。
娘も、学生の頃からの仲良しのお友だちに、[親父]のことを話したと、照れながら話してくれました。
ホッとしました。
これだけだと、美談のように聞こえるかもしれませんが、彼とわたしの21年間は紆余曲折、大喧嘩が絶えない時期や、もはやこれは愛情なんか?ちゃうんちゃうか?の時期、子育てを巡っての意見の対立。
それはそれは…色んな日々がありました。
それらを乗り越え、娘が大人になり、そしてこんな日がやってきて、本当に人生は不思議で、そしてとっても面白いなと思えています。
ただひとつ、今でも心苦しく残っているのが、
今までわたしと仲良くしてくれたり、可愛がってくれたママ友たちが、
『もったいない!まだまだ若いから恋愛したらいいのに!また恋愛して再婚しい!』と、本当に親身になって言ってくれていたのに、わたしは本当のことが言えず、ずっとこの事を隠していたことが申し訳なくて。
本当に大好きで、ずっと仲良くしたい人たちとたくさん出会えたのに、後ろめたさから疎遠になってしまいました。
いつかまた、にぎやかなお喋りができる日が来るように、自分から動けたらと思っています。
最後になりましたが、わたしはレズビアンではありません。
こういったお話で、もし気分を害される方がいらっしゃったら申し訳ありません。
わたし達のことを決して卑下しているわけではありませんが、そういった方がいらっしゃることは、酷いことでも悪いことでもないと、いつも心に留めています。
21年経った、わたしたち家族のことを、こうしてシェアできることをとても有難く、嬉しく思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました😌