第35回東京国際映画祭にて上映『突然に』感想
第35回東京国際映画祭のアジアの未来部門に出品された『突然に』(トルコ/メリサ・オネル監督)。
印象的だったのは「障がい」の描き方だ。盲目であることや脚の怪我に対して、「欠けているから不自由だ」とは伝えず、それも彼/彼女のパーソナリティとしていたところが、非常によかった。
私は今、物事を判断するときはほとんど視覚に頼ってしまっていて、それが「当たり前」だと感じていた。だが実は、視覚に頼らざるを得ない状況の方が「不自由」なのではないかと考えるようになった。
上映後のQ&Aで、タイトルである『突然に』(英語:Suddenly、トルコ語:Aniden)は、人生を変えたいと思う瞬間は「突然」訪れ、“流れに身を任せる“といったニュアンスが込められているとメリサ・オネル監督が話していた。実際、主人公・レイハンは、本作で母との関係を「突然」断ち切り、本能が求めるままに選択していく。
共同脚本のフェリデ・チチェキオウル氏は、本作のテーマについて「抑圧からの解放」だと述べていた。そのため、世界で往々にして抑圧を受けている女性からの共感を得やすい作品なのだと。
本作を観て感じたのは、「突然」訪れる自分の感情にしっかり反応していきたいということ。固定観念にがんじがらめになるのではなく、流れに身を任せる精神で前進していきたい。