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この味を知っている人生でよかった

穴子の醤油干しがおいしすぎる。福井県小浜市に住んでいたときは当たり前に食べていたのだけれど、他の地域で見かけたことがない。

醤油干しとは、脂たっぷりの魚を醤油に漬け込んで、浜の風で干したもの。これがおいしいんだ。

「干し」という名前から、身は乾燥して味は濃く、するめのように硬いイメージを持つ人がいるかもしれない。

だけど実際のところ、焼いても身はふっくらしている。そして、皮はパリパリ。皮のパリッと感と肉厚な身のぷりっと感が最高で、一度でこんな贅沢な食感を堪能していいんですか!という気持ちになる。

食感だけでなく、味がまたおいしい。何もつけずとも、身の中から醤油の塩辛さと甘さを感じられる。刺身や焼き魚なんかで、醤油を垂らしたり、付けたりして食べるのもおいしいんだけど、中に入り込んでいるのが絶妙で。一箇所に集中して醤油があるわけではなく、ふんわり広がっているから、醤油のしつこさはなくて、豊かな風味として上品にお供してくれる。

上からレモンを絞ると、からあげみたいな塩辛さが強調されて、いかにもビールと合いそうな味わいになる。この食べ方もおいしいんだけど、何もつけないまま、わさびだけ乗せて食べるのが最高。わさびの和な爽やかさが穴子の淡白で上品な味、醤油の風味と掛け合わさって、天に昇りそうになる。

しかも、肉厚でぷりぷりだから、こんなに食べてもいいんですか!贅沢すぎませんか!となるわけだ。

久しぶりに小浜で穴子の醤油干しを食べて「この味を知っている人生でよかったぁ」と思わず、口からこぼれた。

市場の穴子は圧巻!
穴子の醤油干し(たしか1,200円)
サザエとともに七輪焼き

今回、穴子の醤油干しにハマって、旅行中に3回も食べてしまったけど、
サバやタイ、アジ、ハタハタ、カレイの醤油干しもおいしかったと記憶している。次は他の魚にも浮気したい。

また来月あたり、ぜったい行こうと思った。


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吉野千明
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