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プラムとわたし

初めてプラムを買った。
自分で稼いだお金で。
食べたのは、実家を出て以来だ。

水で洗って、皮がついたままかぶりつく。
熟したプラムは、皮の近くほど甘い。
メインは、その甘い部分。
メインを食べ終わって名残惜しくなっていると、種周りのすっぱい部分が顔を出す。二段構えで堪能できるというわけだ。
いや、最後に種を口に入れて果実の部分をできるだけ食べ尽くそうとするから、三段構えかもしれない。

プラムを食べていると、高校生の頃を思い出す。プラムが大好きで、初めて口にしたときの「出会えてよかった」感は忘れられない。何個でも食べちゃいたかったけれど、母から「プラムは高いんだからね」と言われて、1日1個で我慢。いつ食べようかと考えて、ありつける瞬間が至福だった。

当時は、アセロラと並ぶ好きな食べものだったんだけど、今はおいしいものを知りすぎてしまったなぁ、なんて考えている。それでもおいしいもの群として、わたしの中で君臨し続けている。当時の思い出とともに。

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吉野千明
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