ケーキを手で食べる
今日は夢が2つ叶った。
1つは、気になっていたケーキ屋さんのタルトタタンを食べられたこと。
もう1つは、「ケーキを手で食べる」をやってみたこと。
「タルトタタン␣手で食べる」と検索したら、
「タルトタタンは手で食べるものではありません」と検索AIに叱られました。
でも、やっちゃうもんね。
ケーキの下にいい感じの銀紙が敷かれていて、掴みやすい。底が硬めのパイ生地になっていて、何時間も煮込まれて凝縮したりんごのかたまりもしっかりくっついている。
こんな、手で食べるのに最適なケーキがほかにあるだろうか。逆に手でいかなかったら冒涜だ。たぶん。このタルトタタンに敬意を評して、私は手で食べる。
ケーキを手で食べるのに憧れを持ったのは、9月末のこと。とあるケーキの本に、ケーキは手で食べるとおいしいと書かれていたのだ。味わいが変わるのだとか。手で食べるという発想がなくて、衝撃だった。手で食べるってどうするんだろう。ネットで検索してみると、かわいい女性が手と口の周りをクリームでベタつかせながら、幸せそうにしている写真が出てきた。なんておいしそうなんだ。ぜひとも試してみたい。
と思いつつも、誰かと一緒だったり、お店で食べたりしていると、ついお行儀よくフォークとナイフを使ってしまう。
今日はひとりでテイクアウト。気兼ねなく手で掴んで、豪快に口へ運んだ。
気づいてしまったのだけど、フォークよりも手で持って口に入れたほうが、ケーキの形が崩れにくい。タルトやクッキー、パイ生地はフォークを入れると粉々になってしまうけれど、かじると破片が出ない。果肉の部分もフォークだと繊維がぼろぼろとついてきて、形が崩れてしまう。かぶりつけば、きれいな断面に仕上がる。食べかけのケーキに、造形美を感じたのは初めてだ。
むしろ、手で食べるように設計されているのではと思うほど。なぜこちらのほうが行儀が悪いとされているのだろう。手で食べたほうが美しいのではないか。
「手でケーキを食べる」ハマりそう。
先月食べたタルトタタンが、人生で初めてのタルトタタンだった。タルトタタンを知るため、この秋で3店舗のタルトタタンを食べ比べする目標がある。
今日は、人生2回目のタルトタタン。タルトタタンへの理解にまた近づけた気がする。
初めて食べたとき、アップルパイのジャムみたいだと思った。だけど、今回はもっと別のものみたい。フルーツを焼いたとき特有の甘酸っぱさを強く感じた。人生で2回目にも関わらず、これが王道のタルトタタンだとすぐにわかる。おそらく、前回はシナモンがかかっていたために、アップルパイを連想させたのだ。今回は「ケーキ」という感じがした。土台はパイ生地なんだけど、わりとしっかりめでサクサクというよりパリパリしていたのもおいしかった。さすがはケーキ屋さんのタルトタタン。
次は、果肉が薄めで賛否両論ある、ラ・ヴァチュールのタルトタタンを食べてみたい。それで、今年のタルトタタンは食べおさめ。
▽今回食べたタルトタタンがあるケーキ屋さん。焼き菓子もおいしそう。
プレジール・シュクレのタルトタタンは、10月と11月の紅玉りんごがなくなるまでやっているそうだ。