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読書記録-夜と霧。生きるということ。

ヴィクトル.E.フランクル。
精神科医であった著者がアウシュビッツに送られ、心理学者の視点で究極の状態に陥っている自己、周りの被収容者、囚人看守(カポー)、親衛隊について記された作品。

骨と皮、極寒と戦い、ID番号以外のすべて、地位も財産も、服もすべての所有物を失った人間は、それでも、時に夕焼けを美しいと言い、愛する人を愛し続ける。
心は自由なのであり、誰にも侵されない。

クリスマスには終戦すると信じた楽観的な人々は訪れない平和にクリスマス以降急に気力を失い死んでいく。

生きるということ。
心は常に自由であり、選択する自由(究極ではあるが生き続けるか、自殺するか、)があり、何を夢見て何を想って生きるかは自由であるということ。

勿論、運もある。
解放直後に、帰還するバスに乗れず、期せず前線渦中に置き去りにされた著者は生き残り、先に帰還したバスの乗客は新しい収容所で焼死する。
生と死が常に紙一重の世界。

ここまで極限状態になることは稀ですが、生きるということを考えさせてくれる本でした。


そして。
月並みですが、人を人として見えなくなる戦争はもういらない。


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