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一緒に考えたりじっと待ったりしてくれるような本
昨日Youtubeのおすすめに出てきた動画のサムネイルにわたしの持っている本を見つけた。
「吉本第一芸人文芸部 俺の推し本」
ゲストのいきものががりの水野良樹さんが推し本として紹介した本
「待つということ」鷲田清一
現代は待たなくてよい社会、待つことができない社会になった。現代社会が失った「待つ」という行為や感覚の現象学的な考察から、生きること、生きていることの意味に分け入る、臨床哲学からの哲学エッセイ。
実は見つけたときすこし戸惑った。
それはわたしならこの本を誰かに紹介することはしないと思っているからだ。
でも動画のなかで
今の時点で捉えている
もっとも深い意味での「待つ」というのは
「世界を信用するからこと」
と水野さんが言っていたのを聞いて
心がすうっとした。
感じていた戸惑いが消えてなくなっていったのがわかった。
実はわたしはまだこの本を全部読み終えてはいない。
今日はここまでと区切りをつけながら
毎日読み進めるよりも少し時間を置いて、
あれはこうゆうことだったのかなと時々自分の経験と照らし合わせて、
よく噛んで食べるときのように感覚を集中させて、
そして読み進めたりまた前の省に戻ったりもしながら、
とてもじっくり読み進めている。
それにわたしはこの本を自分の心が整っているときに読みたいと思っていて、
本棚に置いてひっそりと大切にしつつ、
いつもは適度な距離をとって、
読みたいときには「今日はお願いします」と心の中で語りかけるように手に取る。
最後に、わたしの思う現時点での「待つ」ということについて。
それは「手放すこと」という感じがしている。
期待も苛立ちも
予測や時間的期限も
自分のもとから離してしまうようなことを
「待つ」というのかな、と。
わたし以外の誰かの側にもこの本があって
「待つ」ということについて考えている人がいるんだなと思うとなんだか心強いような気持ちになる。