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オープンキャンパス「国際日本学科」体験授業レポート。「英語で読むギリシャ神話」
8月6日(日)、関西外国語大学・中宮キャンパスにおいて、2023年度第5回のオープンキャンパスが開催されました。
この記事では、国際日本学科の体験授業の様子を詳しくご紹介します!
国際日本学科の体験授業
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国際日本学科では必修科目として、他の外国語学部の学科同様、高度な英語運用能力を育む英語関連科目が配置されています。
専門選択科目には以下の5つの科目群が用意され、
日本と地域文化に関する科目群
日本と国際社会に関する科目群
言語に関する科目群
日本語教育に関する科目群
教養とキャリアに関する科目群
前回までのオープンキャンパスでは、「日本語教育に関連する科目群」の教科を主に担当する予定の福池秋水准教授、川光真二助教が、それぞれ「日本語を外国の方に教える方法」について体験授業を実施。
※前回までのオープンキャンパスの体験授業(国際日本学科)の詳細については、以下の記事をご参照ください。
そして今回は、英語学をご専門にされている朴育美教授が講師を務めました。
朴先生くわしいプロフィールについては以下の記事をご参照ください。
言語を学ぶ楽しさを知る
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冒頭、ご自身の紹介とともに、自らのルーツでもある韓国のハングルを紹介。
ご自身のお名前を対象に、ハングル文字と英語のアルファベットの対照を示し、「日本語のひらがな/カタカナと同様、表音文字なので、比較的学習しやすい言語です」と解説し、言語を勉強する楽しさのエッセンスを伝えました。
その後、本編の体験授業がスタート。テーマは「英語で読むギリシャ神話」です。
国際日本学科・体験授業「英語で読むギリシャ神話」
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授業で取り上げられたのは、ギリシャ神話のなかでも有名な「トロイの木馬」。
「トロイの木馬」の概要
ギリシャ連合軍がトロイア王国に攻め込んだことによって起こった戦争で、10年間攻撃をしてもトロイアは陥落しませんでした。
そこでギリシャ連合軍は一計を案じ、大きな木馬をつくって、その中に兵隊を忍ばせ、あとの軍勢は撤退します。
木馬は神への捧げものと考えられ、トロイアの人たちは城内に木馬を引き込みますが、中から兵士が出てくるとともに撤退していた兵も引き返してきて、トロイアは滅ぼされてしまいます。
この「トロイの木馬」の神話を掲載したプリント(英文)が配られ、朴先生のreadingに続いて高校生の皆さんが文章を読み上げました。
一文ごとに和訳や文法、背景なども解説され、体験授業という限られた時間のなかでしたが、手際よく神話のエピソードが紹介されるとともに、「大学での英語の授業」の一端を体感できる授業となりました。
トロイア戦争が起こったきっかけとは?
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体験授業では、「トロイの木馬」の前段として、なぜトロイア戦争が起こったのかについても触れられました。
内容をまとめると、
アキレウスの父ぺ一レウスと海の女神テティスの結婚式に神々が集まったとき、争いの女神エリスだけが会合に呼ばれなかった。
怒ったエリスは、「To the fairest」(最も美しい女に)と書かれたリンゴを神々の座の中に投げ入れる。この供物を巡って、ヘーラー(ヘラ)、アテーナー(アテナ)、アプロディーテー(アフロディーテ)の3女神が争い、大神ゼウスが人間の中で最も美男子であったトロイア国の王子パリスに審判させるよう命じた。
3女神はパリスに、それぞれ自分を選んだら、
ヘーラー=地上を支配する力
アテーナー=戦に必ず勝つ力
アプロディーテー=世界一の美女との結婚
を約束すると迫り、パリスは迷うことなく「美女との結婚」を選択。
選ばれたアプロディーテーが約束を果たすべくパリスの元に連れてきたのが、絶世の美女として名高いスパルタの王・メネラオスの妻ヘレネでした。
そして、スパルタ王妃ヘレネの奪還のために勃発したのがトロイア戦争というわけです。
体験授業では、
3女神の問いかけにあなたなら誰を選ぶか?
結果的にパリスはどの女神を選んだでしょう?(英文の「トロイの木馬」の冒頭を読んだ後の問いかけ)
といった質問も投げかけられ、高校生の皆さんも自ら考え、楽しみながら授業に参加していたようです。
『古事記』の紹介も
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授業の最後に、ゼウスの身体から神々が生まれる挿話が語られるとともに、同じような話が『古事記』にも出てくることが紹介されました。
お話されたのはイザナキとイザナミの有名なエピソードで、時系列に概要をお伝えすると、
火の神であるカグツチを生んだ後、イザナミは死んでしまい、黄泉の国(=死者の国)へ去る。
イザナミを愛しく思うイザナキは、イザナミを追って黄泉の国に行き、この世に戻ってくれるよう、イザナミに懇願する。
イザナミは「戻れない」と言いつつ、「黄泉の国の神に相談してみる」からしばらく待ってほしい、その間「私の姿を覗き見しないでほしい」と伝える。
イザナキは了解するも、話し合いが長いので、思わず覗いてしまう。そこには、変わり果てたイザナミの姿(死者の形相をした恐ろしい姿)があり、イザナキは妻のその姿を見て逃げ出す。
イザナミは約束を破った夫に対して、「よくも私に恥をかかせたな!」と怒り、黄泉の国の女たちに命じてあとを追わせる。
イザナキは、黄泉の国とこの世との境界である黄泉平坂(よもつひらさか)までやって来ると、千人がかりでやっと動かせるような大きな岩で通路をふさぐ。
激高したイザナミは、「この世の人間を一日で千人殺してやる!」と言い放つ。
「それなら私は、一日に千五百人生もう」とイザナキは言い返す。
そして、黄泉の国から生還したイザナキは、水辺で身を清めるための禊(みそぎ)を行います。
その際、
左目を洗うとアマテラスオオミカミ
右目を洗うとツクヨミノミコト
鼻を洗うとスサノオノミコト
がそれぞれ誕生します。
朴先生は、このエピソードを紹介しつつ、「各国の神話には似たようなお話もあり、読み比べるのも面白いでしょう。興味のある方は、『古事記』など日本の神話や古典も読んでみてください」とメッセージを送りました。
参加者のコメント
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以下、国際日本学科の体験授業に参加いただいた方のコメントです。
もともと英語に興味があり、併せて日本のことも学べる国際日本学科に興味をもちました。「トロイの木馬」の話は知りませんでしたが、楽しく受講できました。英語と日本語で解説を受け、関西外大での授業の雰囲気を知ることもできてよかったです。
日本語教員に興味があり、国際日本学科の体験授業に参加。今日は英語の授業でしたが、とても楽しかったです。もっと硬い雰囲気かなと思っていましたが、ギリシャ神話を切り口にした内容で、興味深く学ぶことができました。
最初にハングルの話が少し出て、韓国語のことは知りませんでしたが、「面白そう!」と興味を持ちました。私は日本語教員に関心をもっていますが、英語で学ぶギリシャ神話のお話も楽しく、受講できてよかったです。
今日は英語を中心とした授業でしたが、世界のことと日本のことを双方向から見ることの大切さも学べたように思います。
ギリシャ神話だけではなく、最後に『古事記』のお話もありましたが、世界のお話から日本の神話まで、授業を通じて興味・関心の視野も大きく広がりました。
さいごに
次回、オープンキャンパスは、2023年9月17日(日)、中宮キャンパスで行います。
詳細は確定次第、以下のページでお知らせいたしますので、チェックしてみてください。
国際日本学科の体験授業も開催される予定で、次回、どんな中身になるか、お楽しみにしておいてください!
【国際日本学科・特設サイト】
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