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不安が多いと呼吸回数が増えやすくなる

呼吸には、大まかに言うと3つの重要な役割があります。

最初に挙げられるのは、「生存のための呼吸(代謝的呼吸)」です。生きていくためには、体が酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するために無意識的に呼吸することが必要です。

次に、「話すことや歌うことなどの行動における呼吸(行動的呼吸)」があります。音を出すためには、呼吸が不可欠であり、個人の意志で呼吸の深さやリズムを変えることができます。

そして、最後に注目したいのが「感情の変化に伴う呼吸の変化(情動性呼吸)」です。喜怒哀楽などの感情が変化すると、呼吸の深さや速さ、回数などが変化することがあります。特に、怒りや悲しみなどのネガティブな感情が高まった際には、呼吸が乱れることが考えられます。

体内に取り込む空気の量は、1回の息を吸う量という換気量と、1分間に呼吸する回数によって計算される「分時換気量」によって決まります。人はそれぞれ、呼吸の深さや回数に違いがあります。つまり、誰かは浅い呼吸を連続して多くすることで、体内に取り込む空気の量を一定に保つかもしれませんし、また別の人はゆっくりと深呼吸をして空気を取り込むかもしれません。このように、呼吸のスタイルは個人差があると言えます。

何か心配事やストレスが多い状態では、呼吸が速く浅くなり、1分間に行う呼吸の回数が増える傾向があります。一方、心配事が少なくリラックスしている状態では、深呼吸でゆっくりと行い、呼吸の回数が減少する傾向が見られます。さらに、このような個人差が、特性不安(持続的な性格上の不安)と安静時の呼吸回数に関連していることが、20.8歳の男性16人を対象に行われた研究で判明しました。

研究では、性格的な不安の度合いと安静時の呼吸回数に関連を調査したところ、不安スコアが低い人ほど呼吸回数が少なく、一方、不安スコアが高い人ほど呼吸回数が多いという結果が出たのです。

不安やストレスが増えると、呼吸が浅くなることがあります。一方で、姿勢が悪いと胸郭の動きが制限され、呼吸が浅くなり、呼吸回数を増やさざるを得ない状況に陥るかもしれません。このような状況では、さらに不安やストレスが加速される可能性もあります。つまり、浅くて速い呼吸が続くと、常に不安を感じている状態であり、身体だけでなくメンタル面にも悪影響を及ぼすと考えられます。

現代社会では、ストレスが多く、多くの人が不安を抱えて生活しています。不安を取り除くことは簡単ではありませんが、呼吸を意識的に変えることは可能です。つまり、不安やストレスによって浅く速い呼吸になっている場合、意図的に深くゆっくりと呼吸することで、気分をポジティブに変えることができるのです。

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