2020全米プロの会場・TPCハーディングパークのこと調べてみた
全米プロゴルフ選手権が3ヶ月遅れで開催されました。
ツアーの中止や延期が続く中で、今年最初のメジャートーナメントです。
会場はサンフランシスコ中心部から南西に30分ほど行ったマーセド湖の湖畔にある、TPCハーディングパークです。
マーセド湖公園ではゴルフ以外にも、バーベキューやピクニック、釣りなどを楽しむことができます。
実はこのゴルフ場は、サンフランシスコ市営の公園内にあるゴルフコースです。
アメリカにはこのような市営のゴルフ場がたくさんあります。
日本ではどうしても「ゴルフ=金持ちの道楽」というイメージがあるので、ゴルフに対して公共のリソースを投入することは敬遠されがちです。
市民の反感を買わないために、どのような運営プロセスになっているのでしょうか。
まず収益の中心であるプレー料金はどの程度でしょうか。
直近では15日の土曜日がまだ予約可能でした。
一般料金は18ホールで300ドルです。
次の週の平日も同じく300ドルで予約が取れるようなので、日本のように平日と休日で大きな料金差はないようです。
日本円でおよそ32,000円ということですから、メジャー開催コースとしては納得できる金額です。
しかし市営のパブリックコースだと考えると、気軽にプレーできるようなゴルフ場ではありません。
やはりお金持ちのためのゴルフ場なのでしょうか。
料金表をよく見ると次のような表示があります。
「サンフランシスコ居住者ゴルフカード」を提示すると76ドル。
これは予約の取れる15日(土)の薄暮料金で、平日or休日、デイタイムor薄暮で63〜97ドルの幅がありました。
案の定、地元住民だと安く回れるシステムがありました。
この「居住者ゴルフカード」はどうやって入手するのでしょうか。
このカードは身分証明書などの居住することを証明する書類を提出して申請すれば、誰でも取得することができます。
有効期限は2年間で、費用は116ドルかかります。
つまりおよそ12,000円支払うことで、2年間割引料金で利用することができるのです。
ひと月あたりおよそ500円という破格の料金設定です。
そしてこの居住者ゴルフカードはTPCハーディングパークだけではなく、サンフランシスコ市内の6ヶ所のゴルフ場で使えます。
本格的な18ホール、パー72のコースはこのTPCハーディングパークのみで、他の5コースはパー3コースが2つ、18ホールでもパー68の短いコース、9ホールで3,200ヤードのハーフコースと初心者にもプレーしやすいゴルフ場ばかりです。
おそらくサンフランシスコの若者はパー3コースからゴルフを始め、ステップアップしながらTPCハーディングパークでの本格デビューを目指していくのでしょう。
このゴルフ場経営が黒字かどうかは分かりませんが、優れたシステムではないでしょうか。
TPC、PGAツアーの看板を使い旅行者など観光客を呼び込み、地元住民には低価格で素晴らしい環境でのプレーを提供する。
ゴルフ場利用税くらいいくらでも払うので、日本の自治体にもこうした誰も損しないシステムを考えてほしいものです。
ゴルフギアに携わる仕事をしていますが、ゴルフの面白さ探しを趣味にしています。どうして多くの人がゴルフにはまっていくのでしょうか。それを研究しています。