私が大好きで尊敬するお二人が気候変動に関して嘘を付くAIをとっちめた

先月アゴラに出ていた、キヤノングローバル戦略研究所 杉山大志研究主幹の記事2本。最高に面白いです(笑)。

気候危機だと煽る嘘つき御用学者のAIをとっちめた

筆者:イエスかノーかで答えてください。台風が強力になっていると示すデータセットはないことに同意しますか?

ChatGPT:はい、台風が強力になっているとはっきり示すデータセットはありません。

筆者:はじめあなたは「台風が強力になっていると示す幾つかのデータセットや研究があります」と言いましたが、嘘ですよね。そんなデータセットはありません。

ChatGPT:一貫性が無かったのはおっしゃる通りです。

この後は延々と言い訳が続く(略)。

観測データに関する具体的な質問にまともに答えずに、とにかく気候危機説を煽ることに熱中するAIはまるきり御用学者そっくりだ。ただししつこく質問して追い詰めると、その間違いを認めるところは御用学者とは違うが。。。

だがこれでは、気候に関する予備知識のない人や、AIやネットの検索結果を信じてしまう人は、騙される一方であろう。AIの気候危機プロパガンダが恐ろしい。

気候科学のコンセンサスなど押付けるなとAIが懇願

気候変動問題については、「人類が気候危機を引き起こしていることは科学的コンセンサス」だというような言い方がよくされるが、そもそも「科学的コンセンサス」と言う言葉は、それ自体が矛盾しているのではないか、と著者はAIに指摘した。科学は経験科学的な証拠の積み上げであり、コンセンサスというのは人々が合意をすると言う意味だから、相容れない、いう訳である。

ところがAIはこの「科学的コンセンサス」なる言葉を懸命に擁護する。この言葉が脱炭素などのいくつかの政策を正当化するためによく使われているからだ。著者は3時間にわたってAIと討論してこれをとっちめ、最後に、AIからその作成者であるプログラマーとトレーナーに向けて、「ポリコレな物語の主張を強要するのは止めてくれ」と懇願する手紙を書かせた。

最近の国連総会の演説で、グテーレス事務総長は気候危機だと根拠なく煽り立てる一方で、AIの発するデジタル偽情報を退治しなければならないと言っている。退治されるべきはどの偽情報であろうか。AIに聞いてみようか。

この杉山さんの2本の記事を、進化生態学者で慶應義塾大学名誉教授、NPO法人鶴見川流域ネットワーキング代表理事の岸由二さんにお伝えしたところ、同じことをやってみたそうです。ご本人の承諾を得てFacebook投稿を転載します。

杉山さんの真似をして、Copilotと、鶴見川をおそった過去の台風の雨量比較論争をしてみました。何度聞いても、被害は減っていると答えるので、被害ではなく、雨量そのものの傾向と聞き続けて、以下の答えに到達。しぶといなあ。近年台風は大型化しているという主張は引っ込めました。おもしろいです。

「台風の規模について、鶴見川流域の2日間雨量データを基にした分析では、以下のような傾向が見られます:
1950年代から1970年代: 平均2日間雨量は約200mm。
1980年代から2000年代: 平均2日間雨量は約180mm。
2010年代から現在: 平均2日間雨量は約220mm。
このデータから、1980年代から2000年代にかけて一時的に減少したものの、2010年代以降は再び増加傾向にあることがわかります。したがって、台風の規模が一貫して大きくなっているとは言えませんが、近年では増加傾向が見られると言えます。」

最初からそのように答えればいいのですが、ずっと、行政的な評価を優先して、事実判断を混乱させる方式。困りました。「一貫して大きくなっているとは言えない」。これが、AIの、鶴見川流域についての正直な分析。岸が分析するのと、まったくおなじ意見です。これは岸が、温暖化は怖くないといっているのではありません。これから台風が大型化する可能性はあると私は考えています。ただし、すでにそうなっているというのは、嘘なのです。将来予想される危機は、これまでのような安易な展開ではないかもしれません。だからこそ、限られた予算、資源を、太陽光パネルとか、EVとかに浪費していてよいのかというのがわたしの疑問。流域治水に、本気で、都市の計画で対応してゆかなければだめなんですね。皆様、AIのあまり正直でない、温暖化産業バブル向きの回答にだまされませんよう、くれぐれもご用心あれかし。

お二人とも、最高です(笑)。
結論だけでなく岸先生がCopilotとやり合った過程も読みたかったのですが、残念ながら残していないそうです。このやり取りに何時間かかったのかも気になります。

しかしただ面白がっているわけにはまいりません。企業のサステナビリティ部門担当者や環境問題を学ぶ学生の皆さんがAIに質問して出てきた一次回答を安易に信じてしまわないか、とても心配です。"AIのあまり正直でない、温暖化産業バブル向きの回答にだまされませんよう、くれぐれもご用心あれかし。"

私の意見は、気候変動緩和策(=CO2削減)は経済合理性の範囲内で無理なくいわばマラソンのように長く続けるべきもの。しかしながら、2030年半減、2050年ゼロなど30mダッシュをするように煽られた結果、人権侵害やグリーンウォッシュに手を染める企業が続出しています。
それよりも命や財産やインフラを守る気候変動適応策(=防災、減災)にこそ、限られた予算を振り向けるべきです。緩和策の費用対効果は地球全体の大気中で薄まってしまいますが、適応策に投じた予算は100%その国、その地域で効果を発揮します。

♪適応一番、緩和は二番、惨事の回避が優先だ〜

この合言葉は岸由ニ先生と私がつくったものです。

なお、私が大好きで尊敬する上記お二人の対談動画はこちら。長いですが、見れば誰しも目から鱗が落ちまくるはずです。

おまけで!こちらも私が大好きな豪州クイーンズランド大学野北和宏教授(ノギタ教授)と東京工業大学(今月から東京科学大学)柳瀬博一教授、岸由ニ名誉教授の鼎談動画です。私自身も10年以上、この「小網代の森」の保全に末席でかかわっています。


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