80万トンともいわれる廃棄ソーラーパネルの2040年問題

「有害物質によって土壌や地下水汚染が起きるのではないか?」についての懸念について、実際のところ、太陽光パネルのほとんどは中国製であるため、パネル性状の特定、必要な情報の開示がなされているのか甚だ疑問であり、中国製廃棄パネルの寿命が来たり故障したりして大量に排出される場合、廃棄物処理の処理チェーンが破綻してしまうような気がする。

その場合、土壌や地下水汚染が起きる可能性が大きくなる。中国製パネルについては、パネルの製造過程や品質、フォローアップについても信頼がおけず、産廃処理の点からも問題が多々発生する可能性があるからである。

ところで、パネルのリサイクルセンターによれば、家庭用の太陽光パネルの場合、個人でマニフェストを発行するのは難しいので、解体・撤去事業者が排出事業者となってマニフェストを発行、設備を解体・撤去するのだという。パネルを建設廃棄物に混ぜてしまわないよう、事業者に対してはマニフェストとWDSに係る手順を適正に履行するよう義務付けする必要があり、許認可の要件の項目の一つとすべきである。

この解体・撤去については、メガソーラーの場合も同じで、実際の事業者が二転三転して責任の所在がはっきりせず、不用となった設備が放置される恐れが指摘されている。

2022年7月から、10kW以上の太陽光発電設備のすべてに対して廃棄費用の積立が義務化されたが、実際に積み立てを行っている事業者は2割程度だといわれている。責任の所在が分からず設備が放置された場合、自治体が膨大な負担を強いられることになり、そこでも私たちの税金が使われることになるのであろうか!この積立制度が機能するよう、制度設計の見直しを要求したい。

この指摘は大変重要だと思います。

いろんな企業の方と自家消費用太陽光パネルの処分について話すのですが、皆さん楽観的で「心配しなくても将来はパネルのリサイクルが確立されると思うよ」という意見ばかりです。

とんでもない。認識が甘すぎます。
技術的には可能でもコストの問題で普及しなかった製品・サービスは歴史上いくらでもありますし、性状の伝達が正確になされなければリサイクルはできません。 
室中氏のご指摘の通りです。

さらに、先日ある産業廃棄物処分業者さんに行った際のお話が衝撃でした。
私との会話はこんな感じです。

藤枝「今後太陽光パネルが大量に出てきたら御社も大変ですよね。処分業者さんでパネルの大量保管はできないので、PCBみたいにユーザー側で保管させられて何年も順番待ちになりませんか。」
A氏「わっはっは。我々は全く大変になりませんよ。パネルの大量処分問題は発生しません。」
藤枝「???」
A氏「彼らは逃げますから。企業さんの工場や店舗で持っているパネルや住宅のパネルは徐々に出てくるので処分可能でしょうけど、メガソーラーは山の中に置き去りにされます。つまりパネルの大量処分問題は起きないんです(笑)。」
藤枝「ええええ!?それでは土壌汚染になりませんか。」
A氏「なります。恐ろしいです。でも自治体は手を出せないでしょう。パネルの量が多すぎますし、事業者が逃げたら誰がコストを負担するのか。」
A氏「お金を積み立てて廃棄までやる真面目な事業者がバカを見ることになりますし、自治体がやるとなったら逃亡する事業者がさらに増えます(笑)。」
A氏「汚染を防ぐためとにかくどこかに集めないと。でも、誰が回収して運搬してどこに保管するのか。太陽に当たると発電するのでPCBより保管も大変です。自治体がやるということは税金になります。回収や運搬なら費用を見積もれますが、処分費用は無理です。誰もはじけない。自治体がやるとしても回収・運搬まででしょうね。それも保管場所が確保できたら、の話ですが。たぶん無理です。」
A氏「技術的にはリサイクル可能なのでおっしゃる通り、何らかの形で保管ができたらPCBのように順番待ちになる可能性はもちろんありますが、パネルのリサイクルには膨大な費用がかかります。事業者が逃げたら性状も分からないので含有物質の分析から始めることになる。どう転んでも太陽光パネルのリサイクルは回りません。技術的な問題じゃないんです。コストと保管または埋め立てる土地の問題なんです。」
A氏「リサイクルせずに全部埋める方がまだ費用負担は軽いでしょうね。すると我々の出番はありません。太陽光がエコなわけがないです。」

メガソーラーをこれ以上増やしてはいけない。

 



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