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父という生物
私の父は、私のひいおばあちゃんが浴槽で浮かんで亡くなっているのを発見したらしい。
そんな父は、とてもおばあちゃんっ子で、
次の日の学校の用意をさせていた。
ランドセルの中に何も入ってなかったことに気づかず学校に行き、帰宅した時にはひいおばあちゃんに向かってランドセルをぶん投げたという代々受け継がれている話がある。
だから父は、私が長風呂をするのを嫌がる。
幼少期の父
私は、長女で、4人兄弟の中の唯一の女の子
それはそれは、かわいがられた。
父は、度々私にだけプレゼントを買ってくるため、夜中に起こされては、兄にとても責め立てられた記憶がある。
そんな父が、プレゼントを突然買ってこなくなった。
「どうせ嫁にやらないといけないから」
そういうようになり、突然距離を置かれた。
思春期の私と父
私が、不登校になり父や母と喧嘩をしたとき
「そんなに死にたいんやったら、死んでしまえ」
と胸倉をつかんで言われた記憶がある。
そのときは私の人格だった。
分からないのだと思う。
気が付けば、知らない人格がでて勝手に時間が過ぎていっている恐怖が分からなかったのだと思う。
兄や弟には、スポーツで繋がりがあったが
うちの家では、虐待されているとほかの親御さんから心配されていた。
旅行の前には、リフティングを決められた回数できなければ連れて行ってもらえない。毎日、リフティングのノルマが決められている。
兄弟からすればきつかったと思うが、私からすればその絆すらもうらやましいように思えた。
私が、卓球で全国大会に行くことになった時、
父は、私に言った。
「女の子が、全力でスポーツしているところみたくないんよね」
そして、私はそのころ
父が、おそらく浮気をしていたであろうことを知っている。
今の私と父
幼少期の絆を取り戻すかのように今の私は、父に甘える時間を作っている。
これは、意図的に私が、必要だと思ったから。
父を育てたのが、私の祖母だとするのなら教育の失敗だと思う。
家中の窓ガラスをふき掃除して疲れ切った母に父はこういった。
「掃除しなくても死なんって育てられたから、掃除しろなんて頼んでない。勝手に掃除して疲れたっていうな。」
だから、私は、結婚は素敵なことだと考えたことがない。
ただ、絶え間なく我慢が続いていくもの。
父は、自分が食べ終わった食器をしまわないし、
飲み終わったビールの缶を水ですすいだりしない。
母がつくった美味しい料理を、
「しまいつける。片づける」
と、表現して食べつくす。
明日のお弁当という概念がなければ、ありがとうという感謝もない。
今話題の食べつくし系の夫。
そんな父は、私によく言う言葉がある
「俺は、最大限お前に気を使っている」
「薬なんか飲むから、頭がおかしくなるんだ」
私は、夜寝る前に薬を飲んで眠らなければ、悪夢で何度も目を覚ます。
うつ病は、脳みそにたまるたんぱく質のせいで引きおこる病気だということが、ニュースにまでなっているというのに
「ごくどされ」
と表現する。
病院の先生に言われたのは、あなたの病気は家族から離れることが治療の大きな一歩になると思うと。
本当にそうだと思う。
これからの父と私
母に離婚の相談をされたとき、私だけ賛成したことに兄にこっぴどく起こられたことがある。
私は、母の我慢も父の憤りも知っているからこそ
好きにすればいいと思った。
家族とはいえど、二人は赤の他人であり
私がふたりと血が繋がっていることに変わりはないのだから。
そんな私の両親は明日で結婚30周年を迎える。
父が、バイクの事故にあった年から急に結婚記念日を祝うようになり、
何気なく、私もおめでとうと行事に参加してきたが
両親の結婚記念日を祝う子どもは、家族の仲が良くみえるものなのだろう。
私は、父が好きかと言われたら嫌いなところがたくさんあるという表現が正しいように思う。
酒を飲むと説教がましくなる。
車屋をしていて、車の故障について聞くと
「俺は神じゃない」と返してくるくせに、私のことは携帯のことをなんでも言えば解決してくれるからドコモと呼んでくる。
加齢臭もきつい。
最近涙もろくなってすぐに泣く。
意外と子供が好き。
家族構成も同じだから、父をエンデヴァーと呼んでいる。
父から自分の子どもの祖父という関係性になれば、
なにかが変わるのだろうか?
父が私のことを好いてくれているのは、わかっているが
それが時々とても苦しくなる時がある。
私はそんな父と向き合っていけるのだろうか。
今の私は、今後、その課題に向き合わないといけなくなった時の私に、この問題を丸投げすることにする。