第1の証人
『不思議の国のアリス』第11章より、帽子屋が法廷に召喚される場面。
ハートの王
"Call the first witness,"
白兎
"First witness!"
地の文
The first witness was the Hatter.
3度繰り返されるfirst witness。
これもダブルミーニングのようです。
辞書によると、witnessには「証人」の他に「(複数の署名が入った書類の)連署人」という意味があります。
これが第12章の「署名の無い手紙」のパズルのヒントになっているのです。
「署名の無い手紙」は4行×6連の詩のパズル。
1連ごとに話者が替わるため、Iやyou等の人称代名詞が指す対象も変化するのがポイントです。
ハートの王は手紙に署名が無いことを指摘して、「何かやましいことがあるからだろう」と推測しますが、これは各連がそれぞれ別の話者の発言だから「署名がなかった」のです。
私の推定では第1連の話者が帽子屋。
The first witness was the Hatter.
は「第1の証人は帽子屋」の意味にも「第1連の連署人(話者)は帽子屋」の意味にも読めるというわけですね。
【参照用】
「署名の無い手紙」第1連
They told me you had been to her,
And mentioned me to him:
She gave me a good character,
But said I could not swim.
私がこのパズルの記事を投稿したときは「こんな問題解けるか」という感じでしたが、witnessの意味から辿っていれば案外簡単だったのかも···。
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