創作小説(17) 血液型占い
宏美は雑誌を読んでいた。
すると桜が寄ってきて「血液型占いが見たい!」と言い出した。
宏美は、今度の桜の興味は血液型か、子どもの好奇心は無限に広がっているな、とこの時はぼんやりと考えていた。
加えて、ははーん、さてはまた何かオリジナルの血液型でも作って、騙そうという魂胆だな?とも。
「お母さん、AB型のRhマイナスは?どこに書いてあるの?」
「え?」
宏美はドキリとした。何を言い出したの?
「日本人では200人に1人、AB型は10人に1人だから、AB型でRhマイナスの人は2000人に1人らしい。」
「は?」
「え、だから〜...。」
宏美は驚いた。
桜は天才かもしれない。
その日の晩、単身赴任中の旦那に話した。
すると旦那の英彦は笑いながら言った。
「あぁ、それドッキリ。
宏美が驚くかなと思って。
一回だけ言ってみたら覚えちゃったからさ。
血液型占いを読む時に宏美に言うように仕向けたの。」
なぁんだ、そうだったのか。
え、一回だけ言ってみた...?
「一回言っただけで覚えた...の?」
「あぁ、一回だけしか言ってない...あれ、待てよ。確かに一回だけだぞ。」
一回聞いただけで覚えたの...?
桜の記憶力が良いだけなのか、子どもは皆記憶力が良いものなのか。
用心しとかないと、変なことを覚えるかもしれない。
でも今度は何に興味を持つのだろう。ふふっと笑みがこぼれる宏美だった。