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oimonote
エッセイ)自由って
自分の幼馴染みのSは地元の小さな暴走族で総長をやっていた。普段はあまり会う事はなかったが高校の時にたまたまその幼馴染みとあって話をする機会があった。
『暴走族の総長になったらしいやん。凄いなぁ』って話を振ったら彼は
『まぁ凄くはないけどな…。久しぶりやん。
学校帰りか?どう学校楽しいか?』
と返してきた。お前は自分のお父さんか?って
心の中でツッコミながら
『まぁまぁ楽しいで。Sはどうなん?暴走族って漫画みたいな感じ?』
質問を投げ返してみた。するとSからはいかに暴走族が大変かと言う話が返ってきた。
決して漫画みたいな感じではなく、喧嘩があればしょっちゅう呼び出される。食事中であったとしても、真夜中であったとしても。
ケツモチのや○ざからはやたらと理由を付けて集金される。そのくせ族同士で揉めて最終的にケツを振ったら相手側のケツモチとは揉めたくないから、族同士も揉めるなって話にされる。
狭い地元でカツアゲとかしようにも知り合いが多くて後々誰々の知り合いとか兄弟だったって話になって出来ない。
かと言って市外に出たら他のでかい族に叩かれるから派手な事はできない。
バイク買うにもガソリン入れるにも金が掛かるから昼間はバイトしなきゃならない。
…まるで中間管理職のサラリーマンの様に雁字搦めの生活で愚痴が溢れる様に出てきた。
『そんなに大変なら辞めたら?』
ってSに言ったら
『ダサい生き方するより自由にやりたいやん』
的な事を言って出かけて行った。
風の抵抗をこれでもかと受けそうなバイクに跨って…。
…自由って…。
終わり