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詩)戦争を知らない

僕らは戦争を知らない
戦争って文字は本の中を泳いでいて
遠い国では何度も銃声が鳴り響き
幾つもの街が瓦礫の山と化したらしい
画面の向こう側の出来事に現実味はなく
誰かの瞳に映る映像は光がチカチカとして
瞬きをする間に可愛いカルガモの絵に変わる

僕らは戦争を知らない
何処かで争い事があって
床が水浸しになる程の涙が溢れたとしても
イケナイ事だとは思いつつ
カナシイ事だとは思いつつ
せいぜい罪悪感の許しを乞うのに
財布の小銭を箱に入れるくらいで

サクラが咲いたよ
綺麗だねって言っている間に
ピンクの花は葉っぱに変わり
暖かいがだる様な暑さに変わり
クルクルと同じ日々が流れていって
ただパクパクと食べ
グーグーと眠れば朝が来る
悩み悲しみ喜び怒りetc
小さな幸せに満たされてまた眠り
また、朝は来る
望もうが望まないが
意志の力に左右される事はなく…

生きている事は素晴らしい
誰かの生きられなかった今日を
ワタシタチは生きているんだと
そんな事を思うよりも
通帳の中の数字が減ったり増えたりに
不安も幸福も行き来して

僕らは戦争を知らない
それは本当に幸せな事で
両手を広げて叫ぶ位に最高な事で…
僕らが知らないのは戦争だけなんだろうか
幸せって本当はどんな事なんだろう