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月刊 米国株決算祭り

優良企業・話題の企業を中心に米国上場企業の決算データおよび企業動向を毎四半期ベースで定点観測。記事内容は全てストレイナー(https://strainer.jp)からの転載となり…
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2024年3月の記事一覧

売上成長を加速した老舗ソフトウェア企業「オラクル」独自のクラウド事業が牽引

売上成長を加速した老舗ソフトウェア企業「オラクル」独自のクラウド事業が牽引

テクノロジー企業の「オラクル(Oracle)」が株式市場での評価を高めている。3月11日に新たな決算を発表後、株価は急騰。この一カ月間での上昇率は20%に迫る。

オラクルは長く高収益企業としての地位を享受してきたが、ビッグ5(Apple、Microsoft、Amazon、Alphabet、Meta Platforms)などと比べると地味な存在だ。成熟したエンタープライズ向け企業として認識している

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ナイキ 3Q決算!成長鈍化で株価低調、パリ五輪を見据えホールセール戦略強化へ

ナイキ 3Q決算!成長鈍化で株価低調、パリ五輪を見据えホールセール戦略強化へ

大手スポーツ用品メーカーのナイキが3月21日、2023年12月〜翌2月期決算を発表。売上高は前年比0.3%増の124億ドル、営業利益は同じく5%減の14億ドルだった。

このところ、株式市場におけるナイキの評価はふるわない。株価は2021年11月にピークをつけ、その後は低調。依然として復調の様子は見えない。それでも時価総額は目下1,422億ドルにのぼり、株価収益率は27.6倍。業績に対して特に評価

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一年で株価五倍超え!大量のビットコインを抱える謎企業「マイクロストラテジー」

一年で株価五倍超え!大量のビットコインを抱える謎企業「マイクロストラテジー」

株式市場における急騰銘柄として、最近よく目にする企業の一つが「マイクロストラテジー」だ。同社の業績を見ると、気がつくことは二つある。

まず一つは、売上が減少の一途をたどっていること。もう一つは、2021年から2022年にかけて巨額の損失を計上していることだ。2023年にも売上高は6億ドルに満たないが、時価総額は260億ドルを超えている。

どう見ても業績が悪いにも関わらず、どうしてこれほどの時価

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四年ぶり黒字化で株価上昇中!人気ハンバーガー店「シェイクシャック」の現在

四年ぶり黒字化で株価上昇中!人気ハンバーガー店「シェイクシャック」の現在

新興ハンバーガーチェーンのシェイクシャック(Shake Shack)が業績の復調を続けている。2月半ばに発表された2023年通期決算は、売上高が21%増の10.9億ドル。営業損益は4年ぶりの黒字化を果たした。

株式市場での評価も高まっている。2022年にはすっかり見放されたような様相を呈していたシェイクシャックだが、そこからの株価は二倍以上に上昇。時価総額は目下44億ドルに拡大している。

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Asana、2024年内にフリーCF黒字化へ!非IT中心に下期にかけ売上加速も宣言

Asana、2024年内にフリーCF黒字化へ!非IT中心に下期にかけ売上加速も宣言

ワークマネジメントツールのAsanaが3月11日、2023年11月〜翌1月期決算を発表。売上高は前年比14%増の1.7億ドル、営業損失は6,800万ドルの赤字だった。

AsanaはFacebook共同創業者のダスティン・モスコヴィッツ氏が創業。今なおCEOとして手綱を握り、「売上と損益がともに期待を上回った」と胸を張る。

しかし、現在の株式市場はそう甘くはない。同社の株価は2021年のピーク時

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Adobe 1Q決算:Figma買収頓挫で10億ドル費用計上、売上予想弱く時間外急落

Adobe 1Q決算:Figma買収頓挫で10億ドル費用計上、売上予想弱く時間外急落

Adobeが3月14日、2023年12月〜翌2月期決算を発表。売上高は前年比11%増の52億ドル、営業利益は同じく43%減の9.1億ドルだった。

営業利益が急減した理由は、デザインツール「Figma」の巨額買収が頓挫し、契約解除料として10億ドルを支払ったため。この影響がなければ営業利益は19億ドルとなり、前年比で20%増となる。

業績自体は堅調というわけだが、決算発表後の時間外株価は目下11

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電子契約SaaS「DocuSign」が営業黒字化!さらなるコスト削減へレイオフ実行

電子契約SaaS「DocuSign」が営業黒字化!さらなるコスト削減へレイオフ実行

電子契約SaaSの代表格、DocuSignが3月7日、2023年11月〜翌1月期決算を発表。売上高は前年比8%増の7.1億ドル。営業損益は994万ドルで黒字化を果たした。

この結果を受けて、株価は一時10%近い上昇。その後は弱含み、決算前とほとんど同水準に戻った。時価総額は目下114億ドルで、コロナ禍に到達した600億ドルは今や遠い過去の話だ。

株価が低迷する中、昨年末にはウォール・ストリート

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語学学習アプリ「Duolingo」が好調!DAUが10四半期連続で加速、英語学習を強化中

語学学習アプリ「Duolingo」が好調!DAUが10四半期連続で加速、英語学習を強化中

語学学習アプリのDuolingoが好調だ。2月28日に発表された2023年10〜12月期決算で、売上高は前年比45%増の1.5億ドルへと加速。営業損益は480万ドルへの黒字化を果たした。

同社を率いるのは、創業者のルイス・フォン・アンCEO。グァテマラ共和国出身の起業家で、自国において貧富の差を目の当たりにしながら学業で成功。米デューク大数学科を首席で卒業後、ボットの不正登録を防ぐ『CAPTCH

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コンテンツ管理「Box」低成長でも収益性は向上、2024年は新たな製品戦略を展開

コンテンツ管理「Box」低成長でも収益性は向上、2024年は新たな製品戦略を展開

コンテンツ管理プラットフォームを手がけるBoxが3月5日、2023年11月〜翌1月期決算を発表。売上高は前年比2%増の2.6億ドル、営業利益は同じく8%増の2,120万ドルだった。

創業者アーロン・レヴィをはじめ経営陣は、Non-GAAP営業利益率が26.7%に向上したことをアピール。株式報酬などの非キャッシュ費用を除いた値だ。通年で2.7億ドルのフリーキャッシュフローを稼ぎ、そのうち1.8億ド

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東南アジアのエンタメ&EC企業「Sea」業績悪化も金融サービスが高収益事業に変貌

東南アジアのエンタメ&EC企業「Sea」業績悪化も金融サービスが高収益事業に変貌

今回久々に取り上げるのは、東南アジア企業のSea Limitedだ。ゲームにEコマース、決済と主に三つのカテゴリで事業を展開。どれもコロナ禍で追い風を受けたジャンルだ。

投資家からの期待を一身に受けた同社の時価総額は、一時2,000億ドルに達したが、その後は株価が下がり続けた。直近一年も軟調なトレンドだが、時価総額は340億ドルにのぼる。

創業者CEOのフォレスト・リーは、3月4日に発表された

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NVIDIAの主要OEM先なのに株価がイマイチな「HPE」の現在

NVIDIAの主要OEM先なのに株価がイマイチな「HPE」の現在

NVIDIAの経営陣が、決算発表の場で「Leading OEMs」としてたびたび名を挙げるハードウェア企業が四つある。そのうち三社は、中国企業のLenovo、それから先日紹介したDell、話題のスーパーマイクロだ。

そしてもう一社が、HPE(Hewlett Packard Enterprise Company)。HPEは2015年に旧ヒューレット・パッカード社の分割に伴って設立。パソコンやプリン

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AI向けサーバーの受注が急増!大手パソコンメーカー「Dell」の現在

AI向けサーバーの受注が急増!大手パソコンメーカー「Dell」の現在

大手パソコンメーカーとして知られる「Dell」が市況を騒がせている。

2月29日に発表された決算では、11〜1月の売上高が前年比11%減の223億ドル。営業利益は同じく25%増の14.9億ドルだった。売上は軟調だが、利益は堅調。一見する限り、特に際立った点はないように思える。

ところが、決算発表翌日の株価は一日で32%もの急騰。利益水準が好調だったことに加えて、「AI用サーバー」の受注が前四半

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オンライン保険「Lemonade」黒字化に向け進捗アピール、2024年は加速へ

オンライン保険「Lemonade」黒字化に向け進捗アピール、2024年は加速へ

米国のオンライン保険会社「レモネード」が2月27日に2023年10〜12月期決算を発表。売上高は前年比31%増の1.15億ドルだった。税引前損失は3,960万ドルで、最終損失は4,240万ドルだ。

損失額はこの一年あまりで大きく改善したが、売上成長は弱含んだ。決算発表前の五日間で株価は20%以上も上昇していたが、発表翌日は27.7%もの暴落。上昇分を文字通り吹き飛ばしてしまった。

保険会社は古

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