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月刊 米国株決算祭り

優良企業・話題の企業を中心に米国上場企業の決算データおよび企業動向を毎四半期ベースで定点観測。記事内容は全てストレイナー(https://strainer.jp)からの転載となり…
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2024年1月の記事一覧

アルファベット2023年決算:四つの焦点でAI関連サービスに注力

アルファベット2023年決算:四つの焦点でAI関連サービスに注力

Googleの親会社、アルファベットが1月30日、2023年本決算を発表。10〜12月期の売上高は863億ドル(前年比13%増)、営業利益は237億ドル(同30%増)だった。

全体業績は市場予想を上回ったとされるが、株価は時間外5%を超える下落。広告売上高が軟調だったことが要因として指摘されている。

サンダー・ピチャイCEOは決算発表の冒頭、大きく四つのトピックについて話すと表明。AI、サブス

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マイクロソフト2Q決算!AI利用が存在感を増し多くのサービスに追い風

マイクロソフト2Q決算!AI利用が存在感を増し多くのサービスに追い風

マイクロソフトが1月30日、2023年10〜12月期決算を発表。売上高は620億ドル(前年比18%増)、営業利益は270億ドル(同33%増)だった。

大手ゲーム会社アクティビジョン・ブリザードの買収は2023年10月13日に完了。業績は個人向けコンピュータ部門(More Personal Computing)に算入された。

サティア・ナデラCEOは「我々はAIについて話す段階から、大規模に実用

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スーパーマイクロ2Q決算、AI需要で急伸!増資で運転資本を増強、更なる拡大へ

スーパーマイクロ2Q決算、AI需要で急伸!増資で運転資本を増強、更なる拡大へ

データセンター向けのサーバー製品を扱うスーパーマイクロコンピュータが29日、2023年10〜12月期決算を発表。売上高は前年比103%増の36.7億ドル、営業利益は同73%増の3.7億ドルだった。

同社は18日、業績予想の上方修正について開示し、株価が一日で36%上昇していた。新たな売上予想は36〜36.5億ドルだったため、実際の結果はさらに上振れしたことになる。

これを受けて、株式市場も大盛

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Tesla 2023本決算!台数優先で減益も電力ストレージ出荷量が車両の成長を上回る

Tesla 2023本決算!台数優先で減益も電力ストレージ出荷量が車両の成長を上回る

テスラが1月24日、2023年本決算を発表。10〜12月の売上高は前年比3%増の252億ドルだった。営業利益は同じく47%減の20.6億ドル。前年比で大幅な減益となった。

損益は市場予想を下回り、時間外株価は目下3%の下落。テスラの株主にとっては思わしくない時期が長く続いている。2022年末に底を打ち一旦は盛り返したものの、昨年後半からは再び軟調。年初からは16%の下落だ。

決算発表では202

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Netflix 2023決算!好業績で時間外株価上昇、三つの焦点でさらなる成長を目指す

Netflix 2023決算!好業績で時間外株価上昇、三つの焦点でさらなる成長を目指す

ネットフリックスが1月23日、2023年本決算を発表。10〜12月期の売上高は88億ドル(前年比12.5%増)、営業利益は15億ドル(同2.7倍増)だった。

有料会員数は2.6億人を突破し、コロナ禍以来もっとも大きな純増数を記録した。時間外株価は8%強の上昇。1〜3月の売上予想は前年比13.2%増とさらに加速する見通しだ。

2023年は、テッド・サランドスとグレッグ・ピーターズの二人が共同CE

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TSMC決算:業績復調、強い見通しで市場の楽観強まる。2025年には「2nm」量産へ

TSMC決算:業績復調、強い見通しで市場の楽観強まる。2025年には「2nm」量産へ

半導体ファウンドリ最大手のTSMCが1月18日、2023年本決算を発表。

10〜12月の売上高は前年比フラット、純利益は同じく19.3%の減少だった。7〜9月期と比べると、売上高は14%増、純利益は13%増えた。グロスマージンは53%、営業利益率42%と高い収益性は健在だ。

減益という結果だが、株式市場は好感した。それはひとえに、半導体市況の今後の展望に期待が高まったためだ。1〜3月の売上予想

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太陽光発電設備で急拡大「カナディアン・ソーラー」とは

太陽光発電設備で急拡大「カナディアン・ソーラー」とは

今回取り上げるのは、ソーラー発電設備の世界的大手企業、カナディアン・ソーラーだ。

日本では聞きなれない社名だが、この分野では際立って勢いがある。CSIMarketによれば、2023年7〜9月における市場シェアは32%。企業ごとに業態が違うため単純な比較はできないが、売上規模で頭ひとつ抜けているのは確かだ。

株式市場で人気のエンフェース・エナジーと比べ、カナディアン・ソーラーは三倍以上の大きさが

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給与支払管理SaaS「Paycom」がカニバリ上等で新プロダクトに注力する理由

給与支払管理SaaS「Paycom」がカニバリ上等で新プロダクトに注力する理由

今回取り上げるのは、給与支払管理ソリューション大手のペイコム・ソフトウェア(Paycom Software)だ。創業したのは、今もCEOを務めるチャド・リチソン。

リチソンは、高校から大学にかけてレスリングに打ち込んだスポーツマン。1993年に地元のオクラホマ中央大学を卒業後、世界最大の人事給与アウトソーシング会社であるADPに入社。若くしてシニアマネジャーに抜擢されている。

1998年に地元

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株価低迷中の「Enphase Energy」太陽光発電の”蓄電池”併設推進は吉か凶か

株価低迷中の「Enphase Energy」太陽光発電の”蓄電池”併設推進は吉か凶か

全体として堅調だった2023年の株式市場において、一際軟調だった企業の一つがエンフェース・エナジー(Enphase Energy)である。

エンフェースが手がけるのは、家庭向けのソーラーエネルギーシステム。2008年に世界初となるマイクロインバーターシステムを開発し、市場を開拓してきた。発電パネルを独立した発電設備のように動かせるという代物だ。

株価が低迷したのは、単純に業績が悪化したため。2

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世界最大の映画館チェーン「AMC」物販戦略とテイラー効果で復調を続けられるか?

世界最大の映画館チェーン「AMC」物販戦略とテイラー効果で復調を続けられるか?

2023年の好調な株式市況とは裏腹に、この数年ずっと右肩下がりの有名企業がある。大手映画館チェーンのAMC(AMC Entertainment Holdings)だ。

AMCは2021年、「ミーム株」の一つとして注目を集めた。株価は短期間で十倍以上へ膨らんだが、その後は急落。業績は復調しつつあり、直近では四半期黒字化も果たした。

同社のルーツは1920年に数名で買い取ったミズーリ州カンザスシテ

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データセンター等の冷却技術で成長「Vertiv」AIブームで需要と株価が高騰中

データセンター等の冷却技術で成長「Vertiv」AIブームで需要と株価が高騰中

今回取り上げるのは、米国のデジタルインフラテクノロジー企業「バーティブ」(Vertiv)だ。

パソコンやスマートフォンを使う人であれば、電子機器が熱に弱いことは経験的に知っているだろう。電子回路のオーバーヒートが大敵である一方、温度が低すぎても動きがフリーズしたりする。

巨大な情報量を扱うデータセンターともなれば、温度管理はなおさら重要度が高い。そしてバーティブは、データセンターに代表されるコ

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ソフトバンクと合弁も!自動倉庫ソリューションで注目「Symbotic」とは

ソフトバンクと合弁も!自動倉庫ソリューションで注目「Symbotic」とは

以下に示すのは、2023年の米国における大型株(時価総額100億ドル以上)のパフォーマンス上位一覧である。

気になったのは四番目にランクインした「Symbotic」だ。手がけているのは倉庫のオートメーション。昨年にはソフトバンクと合弁会社も立ち上げている。

Symboticを生み出したのは事業家のリチャード・コーエン。祖父が1918年に始めた食料品スーパー「C&S Wholesale Groc

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EDAツール二番手「ケイデンス」ユビキタス化による半導体の広がりで更に成長へ?

EDAツール二番手「ケイデンス」ユビキタス化による半導体の広がりで更に成長へ?

今回取り上げるのは、EDAツールの二番手企業である「ケイデンス」(Cadence Design Systems)だ。

EDAツールでは王者シノプシスに次ぐ位置付けのケイデンスだが、時価総額は696億ドル。同じく745億ドルのシノプシスに肉薄。営業利益はどちらも10億ドル強と、稼ぎでも決して劣っていない。

シノプシスと同様、ケイデンスの成長は2020年を境にギアが変わったように加速した。2022

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「名だたる半導体メーカーは全て顧客と言って過言ではない」シノプシスとは何者か

「名だたる半導体メーカーは全て顧客と言って過言ではない」シノプシスとは何者か

今回取り上げるのは、EDAツール大手のシノプシスだ。

EDA(Electronic Design Automation)は名前の通り、集積回路や電子機器などの設計作業を自動化・支援するツール。電気系のCAD・CAE・CAMの総称とも表現されるソフトウェアやハードウェアだ。

電子機器は時とともに小型化するし、半導体の微細化も進む。一方では高機能化、低価格化、低消費電力化も要求され、高い競争力を維

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