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デザインと経営


デザインは企業を救えるか?


歴史ある企業やブランドであっても苦境に立たされてしまうほど、目まぐるしく変化する時代。独創的な技術や特徴ある技法などの強みを持っていても、商品力アップや認知の拡大、優秀な人材の採用など、たくさんの悩みを抱えている企業が多いのではないでしょうか。

・外部への魅力的な発信の仕方が分からない
・地域外からいい人材が採用できない
・ブランドを刷新したいが誰に相談すべきか分からない
・マーケットやニーズの変化に追いつけていない
・既存事業に囚われ、新規事業を生み出すことが難しい  ・・・


企業のこうした悩みを解決する方法として注目されているのが、デザインの力をブランド構築やイノベーション創出に活用する「デザイン経営」です。

「デザイン経営」とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えること。そうすることで根本的な課題を発見し、既存の発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出していきます。


日本の中小企業が再興するケースも


近年、AppleやGoogleなどが実践し、注目されるようになりました。そのため、大企業が取り入れるものだというイメージを持たれている方も多いかもしれません。実は、日本の中小企業が導入して、成功しているケースも増えてきているのです。


たとえば、1916年に福井県で創業した、遊具メーカー・ジャクエツ。同社は幼稚園で教材をつくるところからスタートし、遊具や幼稚園のデザインまでに事業を広げてきました。最近では、これからの少子化の時代に“モノ売り”ではなく“コト売り”へと変化していくためにも、「PLAY DESIGN LAB」を立ち上げ、日本のトップデザイナーや研究者たちとのコラボレーションを促進しています。「デザイン」を主軸に、事業や経営資産を多様化させ時代に合わせて変化させることで、業績を伸ばし続けている老舗企業のひとつです。


また、人気ホーロー鍋の「バーミキュラ」で知られる、名古屋の鋳造メーカー・愛知ドビーも、デザインを経営に生かしている老舗企業。1936年の創業当時は、織り機の生産で栄えた鋳物の町工場でした。繊維業の衰退とともにその需要がなくなり、部品の下請けで存続していた同社を、3代目の兄弟が、デザイン性と機能性に優れたホーロー鍋を開発し、ブランドを作り上げたことによって再興しました。


1872年に滋賀県近江八幡で誕生し、約150年の歴史を持つ老舗の菓子製造企業・たねや。今でこそ、デパ地下でくるくると回る「クラブハリエ」の焼き立てバームクーヘンが有名ですが、現在の社長である10代目山本昌仁氏が事業を任されたときには、たねやは圧倒的に和菓子が主役でした。マーケットニーズの変化を考慮し、洋菓子にも注力していくべきだと考え、そこから、インハウスデザイナーとともにブランディングへ注力。「クラブハリエ」を人気ブランドへと育て上げました。


独自の技術や歴史、文化を持つ企業が「デザイン」の考え方を経営に取り入れることによって、愛される企業文化やプロダクト、サービスをつくる。そうすることによって、「経営課題」を解決し、事業を未来へと繋げていく成功例が少しずつ増えてきているのです。


特許庁とKESIKIの共催でオンラインセミナーを開催


経済産業省・特許庁は、企業の経営課題を解決する手法としての「デザイン経営」を国として推進しています。

経済産業省・特許庁は、これまで、独自技術や知財を持つ中小企業の経営と向き合ってきました。2018年から『「デザイン経営」宣言』を掲げ、中小企業の抱える課題を解決する手法として「デザイン経営」の普及に取り組んでいます。

今年度、KESIKIは特許庁のパートナーとして、「デザイン経営」を浸透させるための支援事業を手掛けています。その一貫として、日本全国の企業が抱える課題を解決する何かしらのヒントとなるような、オンラインセミナーを企画しました。

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題して、「Design-Driven Management Seminar」。特許庁とデザインファーム KESIKIが共催する、デザイン経営の勉強会です。

目指しているのは、ロールモデルとなる全国の様々な企業のケーススタディをご紹介し、参加いただいた方々の抱える悩みも共有しながら、企業の課題を解決するきっかけをつくること。2020年11月から2021年3月にかけて、全5回での開催を予定しています。

第一回は、これまで多くのプロジェクトで中小企業のデザイン経営を推進されてきた、ロフトワーク 林千晶氏をゲストに迎え、デザイン経営の総論から、中小企業の抱える課題との接点まで、鼎談形式でお届けします。


みなさんが経営の悩みを解決するためのヒントを掴んでいただけるよう、準備を進めています。よろしければ、ぜひご参加ください!


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<イベント概要>
DESIGN-DRIVEN MANAGEMENT SEMINAR #01
「デザイン経営」で企業の悩みを解決する

■日時   2020年11月30日(月)13:00-14:00
■登壇者
特許庁 デザイン経営プロジェクトCDO補佐官 
     兼 審査業務部長 西垣淳子
KESIKI INC. Partner, Design Innovation 石川俊祐
ゲスト:株式会社ロフトワーク 代表取締役  林 千晶

■参加方法 YoutubeLIVE
■参加費  無料
■要申し込み  
https://eventregist.com/e/design-driven-management-01
※お申し込みいただいた方に参加用URLをお送りさせていただきます。


もしも都合がつかずご参加いただけない方もご安心ください。こちらのKESIKI noteの新連載として、本イベントシリーズのアーカイブを対談形式の記事にしてお届けいたします。(もちろんライブで聞いていただくのが一番温度感が伝わるとは思いますが!)


第2回以降は、様々な地域で活躍する企業の代表にご登壇いただき、企業課題とデザインに関する、リアルな声を聞いていく予定です。今後のイベントと、そして連載記事にもご期待ください!

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