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母の命日 #8

2月28日は母の命日。

コロナ禍の最中に母は他界した。
父からの電話を受けたのは台湾の家のソファに座っていた時。

そんな悲しいニュースを伝える電話を父は一件一件順番にかけたのかな。

いつになっても母のことを思い出しては悲しい気持ちになるのだけれど、
最近ふと自分の中で生き続ける母に気づいた。

子どもが使う太い色鉛筆。
家にある鉛筆削りでは削れないため、子供が寝静まった後カッターで削った。今時の子はこうやって鉛筆削るなんて考えられないでしょ、などと数年後には子供に話すのかな、なんてにんまりした瞬間、頭の中で「私鉛筆削り得意だったんだよ」って母の声が聞こえた。
私が小学生だった頃、まだ我が家にあった鉛筆削り専用のナイフと、うまく説明できないけど鉛筆削りをするための四角い木の箱。
そして実家のリビングの床とガラスのテーブルが見えた。
勉強を始める前にいつも鉛筆を削って並べた、という話をそこで何度も聞いたんだ。

なんとも鮮明に思い出せるものだ。母の声もはっきりと聞こえた。

なんだ、ここにいたんだね。いつも一緒だったんだ。

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