#読書感想文 No.52
あなたは人とのコミュニケーションで悩んでいることなどありませんか?
会社やご近所付き合いで、疲れてしまうことなどありませんか?
今回は、こちらの書籍を紹介します。
監修を務める宮城まり子先生は、「キャリア心理学研究所代表」という肩書にあるように、「キャリアコンサルタント」や「心理カウンセラー」として活動をしている人で、おそらく知らない人はいないであろう、有名なキャリアカウンセラーです。
実際に、カウンセリングを受けた経験がある方は少ないかもしれませんが、メディアで見かけるアナウンサーやタレントさんとは違った意味で、カウンセラーというのは「話のプロ」です。
相談者の気持ちに寄り添い、心の内に抱える悩みや迷いを汲み取り、よき理解者として、解決のお手伝いをするというのは、想像以上に難しい作業です。
本書は、そんな「話のプロ」であるカウンセラーなどが実践している技術を、大変分かりやすく、誰もが普段の生活で活用できるよう、イラストを用いて解説しています。
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「相談」と「カウンセリング」は別物
あなたは、友人や職場の同僚などから「相談」を受けたことはありますか?
「ちょっとパートナーとケンカしちゃって…」
「上司の小言にウンザリしていて…」
相談内容はいろいろですが、せっかく頼ってくれたのですから、なんとか力になって上げたいと、アドバイスを送ったり、自分の経験談を話したりしませんか?
このように、問題を解決することを目的とするのが「相談」です。
一般的なコーチングやコンサルティングなども、「相談」に近い作業です。
一方、カウンセリングがフォーカスするのは「問題」ではなく「相談者(クライアント)」自身です。
「問題」を解決しなくても、相談者の心がストレスや緊張から解放されることもありますし、「問題」というのは必ずしも解決できるモノではありませんし、解決しても相談者の心が救われないこともあります。
「事実」と「気持ち」、どちらに主眼を置くのか?とも言い換えることができますが、もし、あなたが相談者の立場なら、「問題の解決」と「心のケア」のどちらを選びますか?
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人は話したい生き物、だからこそ「聴く技術」
「コミュ障」という言葉があります。
他人とのかかわりを避ける傾向、他人に無関心な傾向を指す用法もあり、これについては俗にコミュ障という。(Wikipediaより)
これは個人的な考えなのですが、話したいという欲求と、気持ちの言語化の間にズレが生じ、そこにもどかしさやジレンマを感じるところから「コミュ障」は起こるのではないでしょうか?
「自分はコミュ障だ」と感じている多くの方は、幼少期から現在に至るまでに、何らかの「転機」があり、コミュニケーションを苦痛に感じる体験があるのではないでしょうか?
先天的な障害としての「コミュニケーション障害」と、後天的な「コミュ障」には、「体験の有無」という違いがあると私は考えています。
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コミュニケーションの煩わしさ
あなたの話を、「聴き手」が聞いていない素振りであったり、話を遮ってきたり、見当違いなアドバイスをしてきたりされたら、強いストレスと相手への不信感が生じませんか?
反対に、あなたが「聴き手」だとして、興味のない話を続けられたり、突然感情をぶつけられたり、同じ話を何度もされたりしても、強いストレスと相手への不信感が生じませんか?
「話したい欲求」に対して、「話す技術」を身につける方法は、それなりに探せば出てきますが、「聴く技術」というのは、あまり一般に知られていません。
余談ですが、「話す技術」を磨きたい人に、私がオススメしているのは「読書」と「TVアナウンサーやラジオパーソナリティーの真似をする」です。
「…お笑い芸人は?」と思った方もいるかもしれませんが、「話を面白くしなければいけない」とか「オチをつけなければいけない」とか、偏った思い込みが作用して、より話すことのハードルが上がってしまって話せなくなる方もいるので、参考にしない方がいいと思っています。
「読書」は言葉を覚えるのに適しています。活字なので読み返せますし、文章としてだけでなく、「文脈を読む」ことも習得できるからです。
アナウンサーやラジオパーソナリティーは、キレイで流暢な話し言葉を遣われる方が多いので、お手本になります。
ともあれ、一生涯使い続けるスキルである「コミュニケーション力」というのは、「見えないモノを見る」「読めないモノを読む」という感覚が必要になることも多く、煩わしさからストレスを抱えることも少なくないでしょう。
だからこそ、「聴く技術」を知ることは、それだけでストレスの軽減をすることのできる、大切なスキルです。
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スキルとマインド
ついついスキル的な話に傾倒してしまいましたが、マインドも大切です。
スキルが「事実」だとすれば、マインドは「気持ち」、つまりカウンセリング(聴くプロフェッショナル)に必要なのは、マインドのほうです。
話し手がどんな気持ちで話しているのか、理解しようとする気持ちが、あなたの聴く力を高めます。
「共感的理解」といって、「どんな感情で話しているのかを分かろうとする気持ち」を持つことが求められるのですが、実はコレ、かなり難しいです。
「キャリアカウンセラー=キャリアコンサルタント」の試験では、「聴く技術」が試されます。
「共感的理解」もその一つで、「来談者中心療法」というカウンセリング技法を研究したロジャーズは、この「共感的理解」を「技法ではなく態度」であるとしました。
つまり、「スキル」に傾倒することなく「マインド」が相談者との信頼関係の構築には不可欠であるということであり、私たちの日常でいえば、「話をしてくれる相手」との信頼関係のことです。
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今回も文字数が増えてしまいましたが、「聴く技術」は、あなた自身だけでなく、まわりの人々の気持ちも、きっと楽にしてくれる技術です。
ぜひ、本書を手に取って、大切な人に寄り添ってあげて欲しいと思います。
ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の投稿は以上です。