人と真正面から向き合ってはいけない⁉
「相手のことが大切だから」あるいは「相手の気持ちに応えたいから」…。
私たちは「人と真正面から向き合う」という表現を使うことがあります。
この言葉は、一般的に良い意味で使われることが多いと思うのですが、果たして本当にこの行為は正しいのでしょうか?
今回は「人と真正面から向き合うということは?」について書いてみようと思います。
最後までお読みいただけると幸いです。
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例えば、誰かと口論になったとき、相手とちゃんと話がしたい…そう思って、相手の気持ちと真正面から向き合うことで解決策を見出す、ということがあると思います。
また、相手の真っ直ぐな気持ちに対し、こちらも真っ直ぐな気持ちでお返しがしたい…そう思ったとき、私たちは相手の眼前に立つ、あるいは心と心が真正面に向く位置に自分の存在を置く、と言ったことをイメージすると思います。
これは嘘偽りなく、相手と対等の立場で向き合うといった意味が含まれていると思うのですが、実際に相手のことを思うのであれば、真正面に立ってはいけないと私は考えています。
本来、人間というのは、自分の進むべき道を自分で決める生き物です。
相手の真正面に立って、相手の気持ちを受け止めようとすると、相手の進路を阻害するという副作用が生じてしまいます。
あなたとの対話の中で、何かが芽生え、行動に移そうと思ったときに、あなたの存在が邪魔をしてしまう…そんなことが起こりうるのです。
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言葉の意味は正しいのかもしれませんが、実際にそのシチュエーションを創り出してしまってはいけない…それが今回の「真正面から向き合う」だと私は考えています。
では、相手と正しい向き合う角度というのは一体どの程度のものなんでしょうか?
絶対ではありませんが、心理カウンセラーやセラピストの方は、相手の悩みや迷いに向き合うときに、真正面に構えることはしないそうです。
おおよそ90°~120°の向きで構え、寄り添う姿勢を見せるという風に言われています。
個人的な意見ですが、この90°~120°というのは、相手の真横か少し前に立つという行動だと思うんですが、この位置に立つことにより、相手が進んではいけない方向のみを遮るのだと思います。
相手が、あなたとの対話から思い立ち、行動に移すとき、それは、自らの足で踏み出すときだと思います。
それを阻害することなく、促し、導き、そして、決して進んでいけない方向に立つことで、相手の進むべき道を指し示す。
そういった事ができる角度なのではないでしょうか?
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私たちは、普段から相手と言葉を交わします。
あまりに自然に使っていて気づかないことも多いのですが、言葉を言葉のままに使うとき、無自覚に相手を傷つけてしまうこともあるのではないでしょうか?
今回の「人と真正面から向き合う」という言葉も、心は常に相手に向けていますが、決して、実際に相手の身体の前に立ってはいけないのです。
なぜならば、相手は自ら進んだという事実で成長を重ねていくからだと思うのです。
ちょっとした言葉尻をとらえているように感じるかもしれませんが、このわずかな差が、相手の心に深く傷を負わせてしまうこともあれば、相手の未来を明るく照らすこともあり得るのです。
現代はストレスに満ち溢れています。
ですから、カウンセリングやセラピーなど、あらゆる形で相手の心にアプローチする職業というのも増えています。
しかし、決して忘れてはいけないのは、あなたの価値観で誰かを縛ってはいけないということです。
相手の悩みは、相手自身の成長のためにあるものですから、自己満足で相手の悩みをどうにかしようなどと思ってはいけないのではないでしょうか?
常に相手の進む道を考え、目の前を灯し、切り拓く…そんな姿勢で向き合うことが、本当の意味で「相手の気持ちに応える」ということなのではないでしょうか?
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ということで、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今回の投稿は以上です