オリジナル曲「Very Lovely Strawberry」について
構想
前作の完成後スランプを感じていたので、一旦DTMから完全に離れていました。
その間、ブルーアーカイブ(通称「ブルアカ」)というソシャゲにハマって、ストーリーがとても面白いのとBGMが非常に素晴らしいのでひたすら没頭していました。
ブルアカのBGMは主にEDM、特にKawaii Future Bassが多く使われているのが特徴的で、Kawaii Future Bassへの関心が高まっていました。
また、ちょうどゴールデンウィークに入る頃にレベル上げやストーリーの消化等のゲームとしての進行が一段落して、やることがあまり無くなってしまったので、そろそろまたDTMに触れても良いかなと思い始めていました。
とりあえずKawaii Future Bassの作り方だけ調べてみて、作る気が起きたら作ろうと思ってHow to動画を色々漁ってみたら、結構作れそうな気がしてきたので連休中なのもあって作り始めることにしました。
Kawaii Future Bassの主な特徴としては、ハーフテンポのドラム、カワイイ音を沢山レイヤー、丸サ進行からの半音下降進行、といったものが挙げられ、これを押さえていればとりあえず形になることが分かりました。
特に参考にしたのは以下の動画です。
また、今回シンセはVitalを中心に使ってみましたが、音がとてもイイ・操作が分かりやすい・解説動画やプリセット配布が豊富と、無料の音源としては破格の使い勝手でもっと早く使っておけば良かったと思いました。
単純に新しい音源に触れたという点でも良い刺激になりました。
曲の構成について、メロディは一つのものをずっと繰り返すというのがEDMでは割とありがちなようなので今回試してみました。
ただそれだけでは単調になるので、ドロップ後に何か変化をつけようと思ったのですが、声ネタで「ドラムンベース!」というのがあって使ったら面白そうだなと思ったので、これにエモなメロディとコード進行をブッ込んでみました。
曲名についてはカワイイものにしないと…と色々考えてみた結果、甘いもの…イチゴ…何か韻を踏めるようなやつ…せや!(ピコーン)という感じでノリで決めました。
コード進行
キーは使い慣れているGメジャーにしました。BPMは174です。
コード進行は上記の2つ目の動画で紹介されたものを参考にしました。
IVM7 - IIIm7 - VIm7 - IIm7 - I7 - IVM7 - IIIm7 - VIm7 - VI#dim7(Fdim)
2ループ目の後半は IVM7 - IIIm7 - VIm7(Em7) - V#m7(D#m7) - Vm7(Dm7) - I7
流れとしては主に丸サ進行なのですが、Em7 - D#m7 - Dm7 の半音下降進行はやっぱFuture Bassといえばコレっていう感じがします。
丸サ進行は初めて使いましたが、いかにも今時の雰囲気っていうオシャレさを感じてイイですね。
また、個人的には VIm7 - VI#dim7 のパッシングディミニッシュがとてもエモを感じるので好きです。
ドラムンベース地帯は以下のとおりです。
IVM7 - IIIm7 - IV - V - IIIm7 - IM7 - IVM7 - IIIm7 - IV - V - Isus4 - I
2ループ目の前半は IVM7 - IIIm7 - IV - V - I - VI7(E7)
IVM7 - IIIm7 で入るのは同じですがそこから王道進行っぽくして、最後は IV - V - Isus4 - I で明るく締めています。
以前の曲でも使いましたが、 IV - V - I - VI7 の流れは明るい展望を感じるので好きな進行です。
音源・プラグイン
メロディについては、
①Vitalの無料プリセット「tekitou_dog Future Bass Presets」の「LD_Sin Lead」
②NEXUS4の「Bit-Lead」
③VIENNA CHAMBER STRINGSのピチカート
④UVI Orchestral Suiteの Piched Percussions - Xylophone
⑤UVI Orchestral Suiteの Piched Percussions - Glockenspiel
をレイヤーしています。
ヴァースとビルドアップでは①のみ→①・④・⑤と鳴らしています。
プラグインについて、
①は~80Hzをローカット、尖っている980hzを-1dBしたのと、打ち込み方が悪いのか何かプツプツするのでiZotope RX10 De-clickを入れています。
打ち込みについて、VitalでGLIDEを少し上げてノーツの始まりと終わりに下記のように打ち込んでピッチベンドのようにしています。
②は~80Hzをローカット、尖っている1190hzを-1dBしていて、こちらもピッチベンドを要所要所で下記のように打ち込んでいます。
③はWavesのRenaissance AXXでAttackを0.00にして1dBくらいリダクションしています。
④はパンをL50に振って、Sonnox Oxford InflatorでEFFECT74%くらいにして音圧を少し出して、少しキンキンするのでWavesのRenaissance AXXでAttackを0.00にして1dBくらいリダクションしています。
⑤もパンをR50に振る以外は同じです。
コードについては、
①Spireの有料プリセット「Nhato Spire Essentials」の「101.LD SUPER SAW ANJUNA」
②Vitalで下記動画のとおり作ったもの
③Vitalの無料プリセット「tekitou_dog Future Bass Presets」の「PD_Saw Howan」
④Addictive Keysの「Intense Keys」でReleaseを切ったもの
をレイヤーしています。
ヴァースとビルドアップでは③のみ鳴らしています。
プラグインについて、①は~90Hzでローカット、XylophoneとGlockenspielに被る670Hz・1150Hz・4200HzをダイナミックEQで-2~3dB削っています。
②は動画のとおりOTTをDEPTH65%・TIME550%にして、①同様のEQをかけています。
③は~90Hzでローカットのみです。
④はOTTをDEPTH60%にして音をバキバキにして、~90Hzをローカット(アウトロでは解除)、メロディ②と被る800HzをダイナミックEQで-1dB削っています。
また、アウトロのみセンドでValhalla VintageVerbの「Bright Hall」、4分のディレイをフィードバック1回で入れています。
ベースについては、
①Vitalの無料プリセット「KURANTORION FUTURE BASS PRESET PACK Vol.2 FOR VITAL」の「Middle Bass」
②下記動画の概要欄で配布されているVitalの無料プリセット「Kawaii Future Bass - Vital Sound Set by CHver1.2」の「BA1 - subbass_KFB_ver1.2」
をレイヤーしています。
プラグインについて、①は~100Hzローカット、メロディ②と被る800HzをダイナミックEQで-1dB削っています。
②はWaves Submarineの「Bass Sub」でMIX10に下げたものを入れ、180Hz~をハイカットしています。
キックについては、
①Vengeance Essential Clubsounds Vol.4(以下「VEC4」)の「Trance Kicks 60」でピッチ+3にしたもの
②Sounds of KSHMR Vol.3(以下「KSHMR Vol.~」)の「KSHMR_Top_Kick_01」
をレイヤーしています。
①についてはピッチをいじらない方が曲のキーに合っているのですが、ドッではなくドゥッという感じの音にしたかったのでピッチを上げました。
プラグインはSubmarineの「Club Kick」でMIXを11にして、抜けを良くするために120Hzを-2dB削っています。
スネアについては、
①KSHMR Vol.3の「KSHMR_Hard_Snare_02_C#」
②KSHMR Vol.3の「KSHMR_Hip_Hop_Snare_24_G」
をレイヤーしています。
プラグインは入れていません。
ハイハットはKSHMR Vol.3の「KSHMR_Closed_Hat_01_Clean」
クラップはKSHMR Vol.3の「KSHMR_Clap_Classic_03」
スナップ(指パッチン)はKSHMR Vol.3の「KSHMR_Snap_04」
で、いずれもプラグインは入れていません。
また、メロディ、コード、ベース、ドラムはそれぞれBUSトラックにまとめて、Waves SSL G-Master Buss Compressorでレシオ2:1、アタック30、リリース.1でリダクション1dBになるようかけています。
これに加えてコード、ベースはKickstart 2でキックをトリガーにサイドチェインをかけています。
ドラムンベース地帯でチャカチャカ鳴っているのは、
①KSHMR Vol.3の「KSHMR_Trap_Hat_Loop_17_174BPM」と
②VEC4のVEC4 Break Beats 16です。
プラグインについて、
①は~80Hzをローカット、
②は~180Hzローカット、スネアと被る270HzをダイナミックEQで-2dB、他の楽器と音が渋滞しまくっている670Hzを-3dB削っています。
また、いずれもKickstart 2でキックをトリガーにサイドチェインをかけています。
効果音について、
ライザーはVengeance EDM Essentials Vol.1の「VEDM1 Uplifter 11 G 8 Bars」、
ドロップでパン左側でキコキコ鳴っているのはRankin Audioの「JERSEY CLUB」の「JC_BedSqueak_Loop_1_135bpm」、
水滴音はKSHMR Vol.2の「KSHMR Water Drop 04 - (D)」、
声ネタはanimal beats recordの「kawaii voice/kawaii future bass sample packs」、「KAWAII VOICE SAMPLE PACKS Ver2」
を使用しています。
声ネタについては最初検索してもヒットしなかったのですが、現在はDLsiteで販売されています。
低価格でサンプル数も豊富なのでかなりコスパが良いです。
声ネタのプラグインについて、
「せーの」は左右に配置してMAutoAlignでずらしています。
「ドラムンベース」はValhalla VintageVerbの「A Plate」でMIX17%にして馴染みを良くしています。
「とぅっとぅるー」はValhalla VintageVerbの「Bright Hall」でMIX38%、センドで4分のディレイを入れています。
ビルドアップのプラックはVitalの無料プリセット「Kawaii Future Bass - Vital Sound Set by CHver1.2」の「LD5drop - add square_KFB _ver1.2」です。
プラグインはWIDERを50%、ダイナミックEQでメロディ①と被る800Hz、コード③と被る300Hz、コード④と被る170Hzをそれぞれ-1dB削っています。
ドロップで左右にパンを動かして鳴っているキラキラしたアルペジオはSylenth1で、波形をPulse、アルペジエーターをUp/Down2でOCTAVEを2、DELAYとREVERBを深めにかけたものです。
マスタリングについて、Shadow Hills Mastering Compressor Class AでOPTICAL、DISCRETE(レシオ2:1、アタック30、リリース.25)ともに最大0.5dBくらいになるよう薄くかけ、WAVESのPuigTec EQP-1Aをただ入れるだけにして倍音を増やして、Ozone11のマスターアシスタントをターゲットをEDMにして入れています。
今回はリファレンス曲が思いつかなかったので、OzoneのプリセットのEDMの設定をターゲットにして調整しました。
マキシマイザーの音圧は、リダクションがかかり過ぎないところを探った結果-9.5LUFSにしました。
一般的なEDMは-6~8LUFSくらいが主流なようですが、そこまで潰すとのっぺりし過ぎたので控えめにしました。
動画化
カワイイ要素というかいかにもオタク君が好きそうなやつ、という感じで白ブラウス、ピンク髪、舌ペロという要素を入れました。
ちなみに「white blouse, black corset」というプロンプトを入れるといわゆる「童貞を殺す服」にだいたいなります。
モデルはAnything V4.5で、プロンプトは以下のとおりです。
プロンプト
(masterpiece, best quality:1.2), 1 girl, white blouse, eating pink ice creem, She sticks out her tongue, a face in joy, pink hair, blue eyes, upper body, in the park, Black Corset, hat, highres
ネガティブプロンプト
(negative_hand-neg), cleavage, nsfw, (worst quality)+, (low quality)+, (normal quality)+, (multiple arms)++, bad anatomy, watermark, username, artist name, bushy eyebrows
最後に
久々にDTMに触れたことや新しいジャンル・音源に挑戦したこともあり、とても楽しく作ることが出来ました。
今回は練習のつもりで、いかにも最大公約数的なジャンル感を出すように作ろうと思って作ったので、初めから評価や数字は気にしないで作ることが出来たのも大きいと思います。
だいぶモチベも回復してきたので、ボチボチまたコンスタントに曲を作っていきたいと思います。