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オリジナル曲「アンリミテッド=アンビション」について


構想・歌詞

音ゲーマーをテーマにした曲が作りたい!となって、自分が音ゲーにハマったり挫折したりした経験を元にしてみようとなりました。

曲調はハッピーハードコアを作ってみたかったので作り方を調べましたが、MK/Shadwさんの以下の動画を参考にしました。

MK/Shadwさんの動画はジャンル別作り方動画をはじめとして非常に参考になる内容が多いのでよく観ています。

リファレンス曲はcrossbeatsの「DAZZLING♡SEASON」と、Pump It Upの「Sugar Conspiracy Theory」にしました。
前者のコード進行を耳コピするとほぼずっと王道進行で、実際ハッピーハードコアというジャンル自体キャッチーなコード進行をずっとする感じのようなので、以前はサビだけずっと王道進行にしましたが今回は一曲丸々王道進行で行くことにしました。

音ゲーの挫折を描くにあたって、高難度曲でよくある譜面傾向をそのまま配置してみようと思い、その中でピアノで本来は人間では演奏出来ないような配置でめちゃくちゃに速く鳴らす、というのが思いついたのでやってみました。
2番サビ後半はBPM180の16分→24分→32分→48分のアルペジオといくらなんでもさすがにこんな曲ねーよ!ってくらいのクソ譜面が出来て楽しかったです。

間奏からのCメロについては挫折して足が遠のくけどもう一度やってみよう、というのを描きましたが、珍しく歌詞の方が先行して思いついたので詞先でメロディを作ってみました。
ボーカルやドラムにローパスフィルターを入れて高音域をカットして、こもるような音にして暗い心を演出しています。

ラストのサビではもう一度復帰するきっかけを描きたかったのですが、大抵は時間を置けばまた自然とやりたくなるものなので、どうやって復帰させるものかだいぶ悩みました。

そんな時Twitterで「上手くなろうとして挫折していった奴を何人も見てきた」という漫画の1コマが流れてきて、必死に元ネタを探した結果クロス・マネジというラクロス漫画だと判明したので、全5巻を買って一気に読み終わり、コレだ!となりました。

スポーツは勝てなきゃ意味無いのか?下手でも楽しいなんてものは無いのか?に対する答えの一つを示してくれる作品で、ネタバレになりますが最終巻での台詞で、

「勝つってことは 誰よりもそれが好きで努力したってことの証明のようなものなのかなって」
「だから本気であれば本気である程 誰よりも勝ちたくて うまくなりたいんだね」

クロス・マネジ5巻101~102ページ

というものがあり、音ゲーも元々は好きな曲を見つけてそれをもっと上手にプレイ出来るようになりたいということがモチベのはずなので、その気持ちを証明するために本気になれるんだな、と思ってラストの歌詞を作りました。

コード進行

キーはG#メジャーで、AメロBメロでFメジャーキーに短3度転調してサビでまた戻ります。

前述のとおりずっと王道進行で、サビ前はいつもの4-4#dim-5(A#M7-Bdim7-C7)とパッシングディミニッシュで半音ずつ上がってからのG#メジャーの4(C#)に繋がっています。

Bメロ前半で4-5-6-6#dim(A#-C-Dm7-D#dim7)という進行になっているところも個人的に好きです。

Cメロ前半では65432511#となっており、下降してからのトゥーファイブからのトニックディミニッシュ、と落ち込んでからの明るい兆しが見える進行になっていてここもイイ感じに作れたなと思いました。

音源・プラグイン

ボーカルは初音ミクOriginalで、今回はNectar3以外に色々入れています。

まずEQについて、短3度転調する都合上今回の曲はAメロBメロが非常に低くて音がこもる場面があったので、220HzくらいをダイナミックEQで-4dB削っています。

次にWAVESのCLA-2Aをリダクション-3dBくらいでかけています。ボーカルにかける定番のコンプということなので使ってみましたが、確かに密度がギュッと詰まった感じがします。

その次にWAVESのVitaminの「Vocal Presence」のプリセットを使って高音域をブーストしています。Saturation Knobも併用してとにかく明るい声にしました。

最後にiZotopeのVocal DoublerをAmount45%くらいでかけて厚みと広がりを持たせています。

空間系は30msくらいのショートディレイ、ルームリバーブ、プレートリバーブの順に風呂場状態にならないように入れています。
プレートリバーブの前にルームリバーブを入れているのは、ショート+ロングリバーブとすることでロングの部分が聴こえやすくなるらしいのでやっていますが正直あまり違いが分かっていません。
ディレイはWAVESのH-Delay、リバーブはValhalla VintageVerbを使用しています。

イントロ・間奏・アウトロのシンセリードは、Sylenth1で参考動画で出てきた下記の設定のものといつものSpireの「LD Exhale AS」のレイヤーです。
前者は芯のある音なので、後者は広がりを持たせるためにWIDEのパラメーターを最大にしています。

M1ピアノはOTTを80%にして固い音にして、パンが左右40くらいになるようにダブリングディレイを入れています。
ダブリングディレイはセンドに原音と同じ音量で入れて20msくらいでフィードバック1回でモノラルで原音と反対側に鳴らすというもので、シンセのように2回録りのように演奏出来るものではないものでダブリングをする方法の一つ、ということでやってみました。
でも別にWAVESのDoublerで良い気もします。

2番サビのピアノはAddictive KeysでStudio Grandの「Intense Keys」のプリセットを使っていて、元々固い音のプリセットですがこれもOTT40%で更に固くして歯切れを良くしています。

シンセパッドはそろそろもう説明要る?ってくらいいつものSpireの「PD Munich」ですが、M1ピアノが埋もれがちなのでダイナミックEQで300Hzあたりを削っています。
2番の「配置脳トレ過ぎ」のところはSOUND VOLTEXのつまみのイメージで、カットオフやパンをオートメーションで変則的にしています。

サビでうっすら鳴っているアルペジオシンセは、Sylenth1の「148:ARP RainDrop」をオクターブを変えて2つ鳴らしています。

ベースはNexus4の「B-type Bass」、Spireの「BA Basement V」、SYNTHMASTER ONEの「BAS Break Sub UK」をレイヤーしていて、それぞれ中~高音、ステレオ感、サブベースという役割分担です。
サブベースと他は170Hzを境に住み分けています。
鳴らし方は裏打ち8分です。

ドラムについて、ハッピーハードコアはBPMが速いので余韻の短い音を選んで使っています。
シェイカーをL、ハイハットをRに振り切っていますが、オープンハイハットだけ目立って聴こえてしまっていてちょっとバランス悪いかなと後になって思いました。

2番サビの「心が折れる音」は、SYNTHMASTER ONEの「BEL Aethera Bell KApro」でルート音を鳴らしています。

ベルはNexus4の「Fantasy」で、2番Aメロとラストのサビで同じフレーズを入れることで前者の時期に出会った好きな曲を後者で思い出したという演出になっています。

マスタリングについて、今回はちょっと音圧上げてみようということで-11LUFSで設定していますが、その分奥行きがのっぺりしたように思えるのでやはり音圧上げは一長一短だなと感じました。
ただ今回のジャンル感なら奥行きより音圧の迫力の方が良いのかなとも思います。

動画化

音ゲーマーをどう表現すれば良いのか悩みましたが、ゲーセン内、鍵盤のついたゲーム、シンプルなTシャツを着てて汗をかいている、といういかにもガチ音ゲーマー女子というイメージで作りました。
また、今回からプロンプトにhighresを指定しているので、今までより解像度が上がった感じになっています。
プロンプトは以下のとおりです。

プロンプト
(masterpiece,best quality:1.2), hatsune miku, (In the amusement arcade:1.3), (She plays the piano:1.2), She is surrounded by blue screen arcade games, plain and black t-shirt, ponytail, (a face in angry:1.2), turn to face the front, sweat, stoop, She is standing, grin, (Lighting is dark), small breasts, upper body, highres

ネガティブプロンプト
Pink walls, negative_hand-neg, (worst quality), (low quality), (normal quality), (multiple arms), (multiple legs), text, monochrome, missing arms, mutated hands, malformation, lowres, bad anatomy, bad hands, error, missing fingers, extra digit, fewer digits, cropped, watermark, username, blurry, artist name, bushy eyebrows

最後に

今回の曲は自分自身への音ゲーへの向き合い方を改めて見直す機会になり、それまで「今はDTMにハマっているから」と理由をつけて音ゲーから遠ざかっていましたが復帰するきっかけになりました。
この曲が他にも挫折した音ゲーマーに届けば良いなと思っています。


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