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フーコー『知の考古学』を読む②

フーコー『知の考古学』を読んでいきます。フーコーの文章はなかなか読みづらいので、要点を箇条書きにまとめていきます。概要を把握するときなど参考にどうぞ。

フーコー『知の考古学』慎改康之訳、河出文庫、2012年。
Michel Foucault, L'Archéologie du Savoir, GALLIMARD,1969


Ⅱ言説の規則性

1言説の統一性

・歴史の連続性のテーマを多様化させている諸観念からの解放

「伝統」― 相次いで生じる、同一、類似の諸現象の集合に対し、特異な時間的地位を与える。この観念によって、起源の際限ない指定への遡るため、あらゆる始まりに固有の差異を縮減する。この観念のおかげで、永続性を背景として、新しさを独自性、天才などとしてみなすことができる。

「影響」― 類似、反復の現象を、因果性の外観を示すプロセスに関連づける。この観念は、個人、作品、観念、理論などとして定義される統一体を、遠くから、時間を貫いて結びつける。

「進化」「発達」― 出来事をグループ化し、ただ一つの組織化の原理に関係づけて範例的な生命の力に従属させる。

「心性」「精神」―ある一つの時代の継起的な諸現象の間に、意味の共通性、象徴的結びつき、類似と反映の作用を打ち立てる。


・慣れ親しんでいるグループ化、切り分け方を疑う必要がある
言説の諸々の形態やジャンルの間の区別。科学、文学、哲学、宗教、歴史などの切り分け方。このような切り分けもまた言説的事実である。他の言説的事実の傍で分析されるべきものである。

・書物や作品の統一性への疑念
書物は、いくつかの印によって自身の始まりと終わりを示すものとして、物質的に区別される。一つの作品は、いくつかのテクストが一人の作者に帰属させられる時にみとめられ、境界画定される。しかし本の物質的統一性は脆弱なものである。
一つの書物は、その内的形状を超えて、他の書物やテクストに文章を送り返すシステムにのうちに捉えられている。書物は一つのネットワークの中の結び目である。この送り出しの作用は数学の論説、テクストの注釈、歴史物語、小説で異なっている。書物の統一性は可変的かつ相対的なもの。作品も同様に確実でも等質的でもない。

・言説に関する歴史分析を、起源の探索及び反復とするテーマ。あらゆる言説は、すでに語られたこと(決して語られなかったことも含む)によって立つというテーマ。これらを宙吊りにする必要がある。

あらゆる実際に書かれたり語られたりした言表の総体が、それらの出来事としての分散において、それらの各々に固有の具体的事件において、構成する領域である。言説的出来事の記述という企図が、そこで形成される諸々の統一体を探究するための地平。

この言説的出来事の記述は、言語体系(ラング)の分析とは異なっている。

・ラングの分析→別のものを構築することができるような規則を定める。           ラングの分析においては、あるサンプルとしての価値を持つ言表の集合体から出発して、それらの言表とは別の言表を構築することを可能とする諸規則を定めることを目的とする。これは、無限の数の運用を可能にするような、諸規則の有限な集合である。

・言説的出来事の領野の記述
言説的出来事の領野は、常に有限で現実に制限された集合であり、実際に言述された言語的要素の連なりのみからなる。ここから提出される問いは、他のいかなる言表でもなくこの言表がそれ自身の場所に現れたのは、どういうことかということ。

統一性の宙吊りによって、言表に対して、その出来事としての特異性を返還することができる。言表が構成する刻み目、その還元不可能な出現を視線の元にもたらそうとする試みがなされる。言表は、言語体系(ラング)によっても、意味によっても完全に汲み尽くされることのできない一つの出来事である。
言表的出来事という具体的事件を、言語体系や思考から切り離して考える。それはこの事件を、心理的な総合(作者の意図、作者の精神状態など)と関係づけないようにするため。そして、他の形態の規則性、他のタイプの諸関係を把握することができるようにするため。
・諸言表の間の諸関係を把握すること。
・そのようにして打ち立てられた諸言表のグループ同士の諸関係を把握すること
・諸言表やそのグループと全く別種の諸々の出来事(技術的、経済的、社会的、政治的)との間の諸関係を把握すること。

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