アルメニアの今についてエレバンの街を見て考える
アルメニア旅行に来ています。
一昨日ジョージアのトビリシからバスでアルメニアの首都・エレバンに向かいました。アゼルバイジャンへの訪問歴があったことによる入国時のいざこざについては以下の投稿をご覧ください。
紛争が行われ、さらには危ないニュースが飛び込んできた今のアルメニアについて、エレバンを歩いた様子をまとめてみようと思います。
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そもそもアルメニアはどんな国なのでしょうか。詳しいことは以下の記事に譲りますが、「世界で初めてキリスト教を国教化した」、「旧ソ連の構成国」で、「アゼルバイジャンやトルコとの対立が続く」国です。
これらはアルメニアという国を知る上でかなり重要な情報です。
キリスト教への信仰心が強く、国民の多くはアルメニア使徒教会という東方正教の一部に分類される教会を信仰しています。
現在はトルコ領ですが、旧約聖書に書かれたノアの方舟伝説で最後に方舟が漂着したといわれるアララト山は、空気が澄み切った日はエレバンの街からよく見えるそうです。
近頃は紛争が激しく起こっています。隣国・アゼルバイジャンとはナゴルノ・カラバフの領土を巡り、たびたび軍事衝突が起きています。
ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンの領土ながら、旧ソ連の背景もあり、アルメニア人が多く住んでいます。しばらく休戦状態が続いていたものの、2年前に再び軍事衝突が起きてしまいました。
結果としてアゼルバイジャンが勝利し、領土を返還することになったものの、今なお緊張状態は続いています。
また、第一次世界大戦中のオスマン帝国によるアルメニア人への虐殺事件(ジェノサイド)があったと言われ、オスマン帝国の継承国であるトルコとも対立関係にあります。
民族が交錯する地域ということもあり、アルメニアという国に対して危険なイメージを持つ人は少なくありません。
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加えて、今月に入り危険なニュースも飛び込んできました。
今月14日、エレバン市内南西部の「スルマルショッピングセンター」で大規模な爆発が発生し、20人以上の死傷者が出たそうです。ネット情報だと、テロではなく花火に着火した不注意だったと書かれていましたが実際のところはわかりません。
その後、16日にはエレバン市内の地下鉄に爆破予告があったそうです。実際爆破はなかったものの、大使館から注意喚起の通知が入っていました。
これらはアゼルバイジャンとの紛争が関わっているものだと推測する人もいます。
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前置きが長くなってしまいましたが、そんな少し危険なアルメニアのエレバンに来ています。
キリスト教の長い歴史や旧ソ連の構成国という背景から、街並みは華やかで綺麗です。ピンクがかった茶色の石を使った建築が多くあることから、ローズシティとも呼ばれています。
エレバンは建築物の多くが旧ソ連時代に建設されたこともあり、この100年程度で作られた近代都市だそうです。
昨日は一日通して街を散策し、エレバンのいろんな側面を見てきました。重厚感ある建物が多くある中、おしゃれを追求するお店も多く展開され、ハイソな雰囲気が漂っていました。
特に街のメインストリートであるノーザン・アベニューには、そんなおしゃれな街に似合うイカした着こなしの若者が多く歩いていました。
「カスカード」と呼ばれる山の斜面に造られた観光スポットからは市内を一望でき、そのおしゃれな都市と雄大な自然を満喫できました。ただ、空気が霞んでいてアララト山は見られませんでした。
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実際のところ、紛争がからんだ治安の悪化を感じることは全くありませんでした。エレバンの街中ではいつもの日常が展開され、人々はそれぞれの一日を楽しんで過ごしていました。
元々が治安の良い地域ということもあり、特に身の危険を感じることはありませんでした。
もちろんこれからも十分注意が必要です。しかし、ネットやSNS上で人々が思う日常とは異なっていました。現地に行かないとわからない情報とはこういったことなのでしょう。
アルメニア旅行もまだ前半戦です。派手な行動は控えつつ、もっとこの街のことを知っていきたいと思いました。
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サムネイルの撮影場所はリパブリック・スクエアから見た政府庁舎