麒麟の横顔
なんでもない夏の夕方。
仕事帰りに原付をぶっ飛ばす。
森を抜けて、右折して大きな県道に出ると、木々の背後から
ぬぅっ
っと出てきた大きな入道雲。
まるで、麒麟だ。
麒麟って言っても、アフリカにいるやつじゃなくて
江戸の人が屏風に描いたようなやつ。
なんかおっかない方。
畑の中をずーっと真っ直ぐ続く道。
ひたすらに原付を走らせる。
麒麟は段々と形を変えていく。
麒麟は夕日に向かって進んでいる。
夕日に照らされて、陰影がさらにその横顔の印象を強める。
気がつくと、それはもう麒麟ではなくなっていた。
頭の後ろからもくもくと立ち上がった雲。
龍かな。
いや、アヒルかな。
次は何に見えてきただろうか。
(220812)
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