弁護士が法務からいつのまにか、いろんなしごとをするようになった話
note社に関わるようになって1年2ヶ月が経ちました。note社で働いてますと言うと、よく、顧問弁護士ですか?と聞かれますが、社員として働いています。そして、いつの間にか、いわゆる法務以外の管理系のしごとの方が多くなりました。
1年目エントリを書こうと思いつつ、時がまたたくまに流れ、エントリが続々と出ているのを横目で見ているうちに、2ヶ月がたっていました。
1 ITベンチャー法務のしごと
note社に入ってから今に至るまで、以下のことをこころがけています。
① 法務が事業のスピードを落とさないようにする
② 待ちの法務ではなく、積極的に情報をとりにいく
③ リスクに応じてかけるべき時間を考える。
④ リスクが高い部分、リサーチをちゃんとする必要がある部分は外部弁護士を交えながら手当する
⑤ 法務の枠にこだわらない
① 法務が事業のスピードを落とさないようにする
時間があれば、じっくりリサーチをしたり、外部の弁護士に頼んだりした方が精緻な分析がされます。
ただし、ITベンチャーではスピードが求められます。なかでもnote社は体感で、その3倍以上のスピードで動いています。
法務に回すと事業が停滞すると思われれば、法務に回さないで進めようと思われるリスクがでてきます。逆に、法務に回せばリスクを回避できるし、事業も停滞しないと思われれば、法務に回ってきやすくなると考えています。
② 待ちの法務ではなく、積極的に情報をとりにいく
また、事業部門で気づいていないかもしれないリスクをサルベージするために、合間合間で業務チャットを巡回しています。
チャットにワードピック通知する機能がついているので、自分の名前や特定のワードがでてきたら通知がされるよう設定しています(ここは追加すべきワードを随時検討中ですが)。
ただし、最近は、社員増にともなってチャット量も増えているので、今後は、より法務に回ってきやすくする、かつ、ピックの方法の工夫が求められていきそうです。
③ リスクに応じてかけるべき時間を考える。
リソースの問題があることから、リスクに応じた時間配分が求められています。意味の変わらない字句修正のこだわりは捨て、影響の大きい契約、条項にリソースを割きます。紛争になると相手が豹変するのはわかりつつも、相手によってもリソースの割き方を変えます。
④ リスクが高い部分、リサーチをちゃんとする必要がある部分は外部弁護士を交えながら手当する
もちろん、リスクが高いと判断した部分には時間を割きます。個人的には、ここを深く調べて知識もつけておきたいと思うこともありますが、外部に頼んだ方がリソース配分として適切な場合は、外部にお願いします。
ただし、外部にお願いする場合、顧問弁護士であっても、会社側の事情については法務の方が明らかに詳しいので、必要な情報の提供と、リサーチしてもらった情報を最終的にどう事業部に伝えるかは、法務で調整しています。
また、外部にお願いするときは、なるべくコミュニケーションコストが発生しないようにしています。
⑤法務の枠にこだわらない
トラブルにしてもPRにしても日常の運用にしても、いろんな人の目が入っていろんな角度から分析した方がよりよいものができるのではと考え、気になったものには法務マターかどうかは気にせず、積極的にかかわるようにしています。もちろん自分の業務をちゃんと回す前提ですが。note社は各分野に尖った人材が多く、いろんな人と業務をするのは勉強にもなりますし、楽しくもあります。
2 法務プロパー以外のしごと
ベンチャーは慢性的な人手不足になりがちです。手が足りてなさそうであれば、事務的なことから、資料あつめからいろいろやります。note社には、おたがいにすすんでささえあう文化があるような気がしています。
そうしたなかで、弁護士は事実調査、論理構築、交渉、調整、ドキュメンテーション等のスキルが鍛えられていることから、管理系のそうしたスキルがからむ、人が足りてないところ全般にもかかわっていくようになりました。
今は、内部監査を始めとしたドキュメンテーションや調整などのしごとをしています(内部監査は経験者も入ってきたので、比重は下がりましたが)。
こうした業務に違和感なくフィットしたのは、もともと法律は問題解決の1ツールでしかないという思いが昔からあったからかもしれません。
外部弁護士は、危機的状況下の依頼者を支える、リサーチが知的好奇心を満たすなどのやりがいがありますが、今のしごとは、いろんな職種の尖った人と一緒にしごとができる、とても前向き、同年代とほめあいながらしごとができるetcといった点が、とても魅力的です。
3 在宅勤務のなかで新たな働き方へ
note社は、3月下旬の小池知事の会見の翌日から在宅勤務になり、今は、在宅でも出社でもOKというフレキシブル出社制度となっています。
出社している人のサポートあってこそではありますが、実際、3月下旬から今に至るまで出社したのは数日だったりします(ちょうどしごとが忙しくなったり、双子育児がはじまったりしたので、通勤の時間と体力が削られないのがありがたかった)。
業務的に、チャット、メール、データを溜め込むクラウド、ZOOMがあれば支障がない、ICQの時代からチャット文化に慣れ親しんできたので、業務用チャットで声掛けすることにまったく抵抗感がない(むしろリアルより声掛けしやすいタイプ)ということで、しごとはむしろ、出社していたときよりはかどっています。
そして、食事の時間も、退社時間に左右されないので、運動不足以外は、みごとにフィットした感があります(オンラインで人と会っていれば、ストレスを感じないというタイプであることも影響しているかもしれません。とはいえ、久々の出社のときは、とてもたのしかったですが。)。
4 これからの課題として
noteのサービス拡大にともなって、人も増え、法務や法務まわりのしごとも増えていくことが見込まれています。
そのなかで、法務・リスクマネジメント室の社員も、最近になって複数になり、今後はチームとして、業務効率化、分担を図り、成果を出していくこと、社員が増えるなかであるべき法務の姿の探求が求められています。
5 最後に
note社では、フレキシブル出社制度をとっているので、遠隔地の方も含め、一緒に法務と法務まわりのしごとをしていただける人材を積極的に募集しています。
note社はメディアプラットフォームを運営しているため、各種分野の経験ができるかと思います。
また、まだまだ成長期の会社なので、会社のなかで法務以外にもさまざまな業務にかかわり、多様な経験をつむことができるのではないかと思っています(このあたりの比重はご相談次第で柔軟にと思います)。
関心のある方はぜひ、応募していただければとおもっています。
とりあえず話が聞きたいという方は、クリエイターへのお問い合わせやTwitterなどでお気軽におこえがけください。