見出し画像

「フィードバック」と「自分のほうが分かってる」の狭間で

ぼくは基本的に、相談したり直接的に評価を尋ねたりということをしません。

高校受験のときなんかは、親や先生や周囲の大人に、高校生活やその後の進学や就職のことなんかについて聞きまくってました。

ただ、高校に入って『本やインターネットを使って自分で調べる』という習慣が多少身についてからは、細かい戦術レイヤーの話で相談することはあっても、進路や就職などの大きなレイヤーの話になればなるほど、人に相談しなくなりました。

『自分が決めたという思いによって腹を括る』ためと、あと自分がどうしたいかとか自分がどうするべきかっていうのは自分が一番詳しいんだから、人に聞いても仕方がないという思いもあるからだと思います。

いまの内定先の会社に行くことを決めたときも、親にもメンター(というかそもそもメンターがいなかった)にも内定先の社長にも一切相談せず、山奥で瞑想してその会社に行こうと決めました。


だから逆に、例えばまったくもって自信とこだわりがない『ファッション』については、周りの人にいまもめっちゃ聞きまくっています。

ただ、自分にこだわりと過信がある分野(=自分が一番能力を伸ばさないといけない分野)ほど、他者からの客観的な視点も必要なのに、そのこだわりと過信が邪魔をして、なかなか素直にフィードバックを聞き入れられないというジレンマ。

心と体は、なかなか一致しないものですね。


ということで、そのあたりのことも含めて最所さんに『フィードバック』について質問。

と、ここまで書いていて思ったんですが、こうやって質問したり、あとは本を読んだりインターネットで調べたりすることも、広義の意味では『フィードバック』だよなーと。

狭義のフィードバックと、広義のフィードバック、どう違うのかなあと考えたですが、たぶん前者は事例が個別的過ぎるのと、フィードバックをもらう相手との距離が近すぎるので、『相手からのフィードバックを反映させなかったときに申し訳ない』って感じてるのかもしれません。

逆に本やインターネット、公開的な質問では、ある程度事例が抽象化されるし、その案をそのまま採用せずに、自分のなかのイチ選択肢やイチ判断材料にとどめておいても気まずさがないのが良いのかも。

最所さんからいただいた返事を、1ヶ月かけて咀嚼してて、まだ咀嚼しきれてないんですが、現時点で一旦『フィードバック』について考えていることをメモ。


↓最所さんからの返事


上の最所さんのnoteは有料なので、回答部分は抜粋、もしくはそれを読んだぼくの解釈って感じにします。

質問部分はぼくが送ったものだから、全文公開します。

以下、質問をそのままコピペします。長いです。500字超えです。

最所さんが以前Twitterで紹介されていた、山本七平の『帝王学』を読みました!

その内容に関して2点質問なのですが、あの本中では繰り返して「権力は麻薬。周囲に直言してくれる部下を置くことが大事だ」と説かれていました。ぼくはこのメッセージは、直言した部下のアイデアを採用すること自体より、そういう考え方もあるんだなと皇帝の視野を広げることに意味があると解釈しました。ぼくの個人的な意見として、アイデアは関わる人数が増えるほど丸くなってしまうと思っています。

1つ目の質問は、ただそうなると部下的には、直言してきて!と言っている割に全然自分の意見が通らないから、中長期的には直言するモチベーションをなくしてしまうのではないかということです。

2つ目は状況が変わるのですが、ぼくはまだ立場的に上司の方が多いです。それで企画書などのフィードバックをもらって、ぼくはそれを踏まえたうえで自分自身の企画をそのまま通すこともあるんですが、それだったら最初から聞いてくるなよ!みたいな感じになることもあります。部下が上司のアドバイスを、毎回取り入れるわけじゃないんだけど、継続的に聞くためのコツなどはありますか...?というのが2点目の質問です。

長文スミマセン!


まず、質問の冒頭に出てきた『帝王学』という本は、すごいざっくり言うと、『優れたリーダーであるためには、どのようにして振る舞うべきか』みたいなことが書かれています。

そして、質問中にも書いているように、そのために最も大事なことのひとつは『直言する部下を近くに置くこと』です。

トップの人間は油断するとすぐに驕るから、辛辣な意見も躊躇なく言える部下を持つことが大事だというこです。


それで、ぼくがした上記2点の質問は、立場が反対です。

1つ目は『リーダーが部下からどのようにフィードバックをもらうべきか』。

2つ目は『部下はどのように上司からフィードバックをもらうべきか』です。


1つ目は、本の内容に沿ったものです。

部下からフィードバックをもらうことが大事なのは分かった。ただ、そんな毎回部下の意見を取り入れるわけじゃない。毎回意見が通るわけじゃないのに、直言し続けてもらうのは、部下のモチベーション的にハードルが高いのではないのか?という質問でした。

これに関して、最所さんの締めの言葉だけ引用させてもらうと、

そもそも何を目指すのかを掲げ、そこに到達するために必要な知識や実行は部下に一任し、逆に目指していたところから外れそうになったら部下に直言してもらうことも厭わない。それこそが上に立つ人の仕事なのだと思います。

とのことでした。

これだけだと前後の文脈がないのでイマイチ分かりづらいですが、ここからはぼくの解釈を書くと『意見が通る通らないは、本質的には直言のモチベーションには影響しないんだなあ』ということです。

そもそも、部下とリーダーというのは、上下ではなく役割の違いでしかなくて、各専門分野や現場の細かい状況に関しては、部下のほうが詳しいことも往々にしてあります。

リーダーは、そうやって各領域で詳しい部下の情報を集めて、総合的に判断を下すことが求められているわけです。

だから、そこで直言した部下とリーダーの意見が食い違うのは、視座と持っている情報の差異によるものであって、『直言の内容がそのまま通らない=その直言に意味がない』というのは、まったく違います。

ただ、だからこそリーダーは、直言が通る通らないという表面上の事象ではなく、部下よりも高い視座の先に見据えるビジョンによって、組織をまとめていくべきなんだなと思いました。


2つ目。これはぼくがきょう冒頭で書いた内容と、けっこう被りますね。

フィードバックをもらいたいんだけど、もらったフィードバックを反映させないこともある(=表面上には反映させていなくても、そういう考え方・見方があるのかという点で、すごくありがたいフィードバックになっている)。だから継続的にはフィードバックをもらいたいのだが、どうしたらいいのだろうという質問です。


最所さんはまず、質問したからには必ず『何を参考にしたか』を相手に話すそうです。フィードバックをもらえなくなることが、一番恐ろしいからです。

これは、いますぐにでもできることなので、ぼくも実践していきます。


ここから逆接がたくさん入ってきていろんな視点が出てくるので、箇条書きにします。

・最所さんも昔は血気盛んだったらしく、フィードバックを受けても企画などをそのまま通していた。
・フィードバックに関しては真意を汲み取ってくれる相手じゃないと、的外れなフィードバックは改善につながらないこともある
・ただ、その的外れは受けた側の主観であって、客観的に見れば的を射ている場合もある(=ここは難しいところ)
・『この人の赤字(=フィードバック)ならどれだけでも受けたい』という人に出会えると原稿の質が上がるのを実感できるから、お金を払ってでもフィードバックを受けたい人を見つけるのがオススメ。
・1回目のフィードバックでは、具体ではなく骨子からフィードバックをくれる人が良い
・100歩譲って、仮に客観的に見ても的外れな場合でも、それはそれで『そういう見方もあるんだな』という学びにはなるから、極論、自分次第でどんなフィードバックも学びになる。


2つ目の、『真意を汲み取ってくれる相手じゃないと〜』っていうのは、たしかになと思いました。

いま思えば、ぼくが親にも社長にも相談しなかったのは、『親世代といまとでは就活の状況がまったく違うから聞いても参考にならない』と思っていたり、『内定候補先の社長と話をしても、優先順位が自分にとってというより会社にとってという話になってしまう可能性があるな』などと思っていたからだと思います。

逆に一回も直接ちゃんと話したことのない最所さんにこんな公開質問してるのは、利害関係がないというだけでなく、やっぱりふだんのTwitterやnoteの発言を通して、最所さんに質問すればなんらかのヒントを得られるかもしれないという信頼があったからだなと、最所さんの返答内容を読んで改めて感じました。


そのうえで、お金を払ってでもフィードバックをもらいたいと思うひとを見つけるのが良いということが書いてあったんですが、これがいま個人的にいま一番考えてるところです。

ぼくの勝手なポリシーとして、お金を払ってでもフィードバックを受けたい(くらいに思っている)人とは、お金を払う払われるの関係ではなく、一緒に仕事をできる位置まで這い上がるぞ!というものがあります。

だから、できる限りお金を払う受け取るの関係性を濃くしたくないなという思いがあるんですが、よくよく考えたら、その人の本を読んだりイベントに参加したりするのも、立派なお金を払う払われるの関係性なので、ある意味でぼくのこのちっぽけなポリシーはすでに崩壊しているとも言える........

まだギリギリ保たれているこの超個人的な都合とプライドをどうするかが、目下の考えごと。


ということで、まだハッキリとした結論は出てないんですが、最後に

人生は常にバランスの問題なので、何を受け入れて何を貫くかは悩み続けるテーマだと思いますが、考えることだけ辞めずに、引き続きおしごとがんばってくださいね。

と書いてあったので、引き続き考えていきます。


とりあえず、いただいたフィードバックに対してはどういったものであれ、感謝の気持ちを持って、そして『こういった箇所が参考になりました!』というフィードバックのフィードバックを(できる限り)やっていきます。


最所さんの有料マガジン、小売の枠組みを超えて、人間の本質的なところについての話が多くて面白いです。オススメです。


この記事が参加している募集

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!!!すこしでも面白いなと思っていただければ「スキ」を押していただけると、よりうれしいです・・・!