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若手社員に読んでほしい、はじめてのプロジェクトマネジメント

こんにちは、ナンバーナインの後藤です。

INCLUSIVEという上場企業で取締役をやっていますが、INCLUSIVEがナンバーナインに出資したことから、ナンバーナインの取締役も兼務することになりました。

一昨日たまたま新卒入社したメンバーと久しぶりに一緒に仕事をする機会がありました。彼は今INCLUSIVEグループの子会社の一つで、責任者として初めてのプロジェクトを仕切っています。彼にアドバイスをしている中で、私が初めてプロジェクトオーナーとして仕事をしたときのことを思い出したので、今日はそのお話をしたいと思います。

初めてのプロジェクトマネジメント


私が初めてプロジェクトマネジメントをしたのは、新卒2年目だったと思います。当時私は投資銀行にいました。ある買収ファンドの資金調達プロジェクトで、チーム構成は上にマネージングディレクター(投資銀行の偉い人)が二人ついていて担当は自分だけ、というプロジェクトにアサインされました。

当時の私は、同期の中でもお世辞にも評価が良かった方ではなく、抜擢というよりも、他に空いているメンバーがいなかったからアサインされた、という感じだったんじゃないかなぁと思います。

まずは気持ちが大切


数百億円のファンドの資金調達を、プロの投資家に提案し、投資を決定してもらうというプロジェクトを、作業担当兼とりまとめ役として動かすのは、新卒2年目の私のハート的には相当ヘビーな話でした。アサインを伝えられた日の夜は、マジで全然寝れませんでした。仕事のプレッシャーで夜眠れなかったのは、後にも先にもこの日だけだったかも。

これは絶対無理と確信した私は、次の日朝7時にオフィスに行って、上司が来るのを待ち構え、もう一人シニアメンバーをチームに入れてもらえる様直談判しました。結果、一名追加で私の上にアサインされることになり、一安心。と思ったらその直後のチームミーティングで、アサインされた先輩から「パツパツで全然見てあげられないから、頑張ってね」と心のこもった(!?)一言を頂き、またずーんと気持ちが沈むこととなり・・。

また数時間暗い気持ちになったんですが、ぐるぐる頭の中で考えてもどうにもならないという結論に至り、その時こう思ったんです。

「やらかしてもクビになるだけで死にはしないし、気にせずやってみよう」

当時の私は評価もあまり高くなく、かつ新卒社員もリストラ対象になる会社環境だったので、自分がクビになったらどうしよう、とか心配していました。と思っていたんですが、考えてみればクビにならなかったとしても、評価されなければ給与も上がらないし、学びもなく、つまり会社で働き続ける意味がないわけで。クビになるのが怖くてビビッて動かない、っていうこと自体がリスクなんじゃないかと。こう思うと、突然気持ちが楽になりました。

眠れない夜から2日を経て私のマインドセットが切り替わり、初めてのプロジェクトが始まりました。
(なお、この後調子に乗って、本当にクビになったことがあるのですが、この話はまた別の機会に・・。)

必ず思った通りには行かない


こうして始まった資金調達プロジェクトですが、始まって1,2週間で早速壁にぶち当たります。予定した通りに全くプロジェクトが進まないんです。買収ファンドの資金調達は私募と呼ばれる方法で行われるのが一般的です。投資家はファンドの説明を聞いてからそれぞれ分析を行い、契約書内容を交渉し、投資判断を行い、そして実際に資金を払い込み、とプロセスは進んでいきます。

このプロジェクトでは、提案・対応しなければいけない投資家が40くらいいました。個別に要望を拾って対応して、とやっていく中で進行が滞ることとなり、プロジェクト開始から早速つまずく事になりました。

電話に出る度に投資家から遅延についてのクレームを受け、上司から詰められてメンタルもそこそこ削られ、睡眠時間も大分削られたのち、半分涙目になりながら進め方を見直すことにしました。

何故プロセスが滞るかを振り返った時に、課題が数点見えてきました。

・プロジェクトの主導権を握れていない
・マイルストーンが決まっていない
・ノウハウの蓄積がなく、やりっぱなしになっている 等

まずスケジュール表を精緻に作り直すところから取り組みました。どの投資家に対しては、いつのタイミングまでにどの検討フェーズに進んでもらえるように対応する、とか、検討フェーズの近い投資家には、ある程度まとまったタイムラインで対応してもらおう、とかを個別投資家毎に設定しました。

その上で、投資家から連絡を受けるのではなく私から連絡をして進行を仕切ることに注力しました。コミュニケーションで相手からオーダー(指示)を受ける、つまり受け身になると必ず業務効率が下がるので、まずはこちらからイニシアチブを取ること。それでも何かオーダーを受けた時には、いつまでに回答をするかなど、日時をコミットするようにしました。そうすると、コミット日時までの時間的猶予を確保出来るからです。

それから、1週間ごとにマイルストーンを置いて、進捗を客観的に振り返り、スケジュールの修正が必要なときにはタイムラインとマイルストーンを再設定して進める、という進め方に切り替えました。その結果、どこまで何をすればゴールに行きつけるかがイメージ出来るようになりました。睡眠時間は全く増えませんでしたが進行速度をコントロール出来る様になり、プロジェクトを進行させるうえでの精神的負荷はすごく減りました。

あわせて、投資家とのコミュニケーション内容、個別の留意点や質問に対する回答をエクセルでメモにして書き溜め、記憶ではなく記録に残すようにしました。これを秘書さん(めちゃくちゃ仕事ができる人です!)と共有し、対応難易度の低いものは、代わりに対応してもらう運用へと変更しました。こうすることで、チームとして活用できるキャパが増え、投資家への対応スピードも改善しました。

ここでスケジュールを精緻化、可視化したことが活きてきました。精緻なスケジュール表がある事で、秘書さんともマイルストーンと目標の共有が図れるようになり、秘書さんサイドでも目標に到達する為には何をしなければいけないか、考える余地が生まれました。能動的に対応する、あるいは必要な時にはすぐに私もしくは上長に確認して対応するなど、チームの動き方が変わったことで生産性が一気に上がりました。

案件開始から6か月以上かかりましたが、こんな感じで進めていく事でプロジェクトは無事クローズすることが出来ました。個人として振り返ると、ビジネスパーソンとしてのマインドを作ってくれた案件だったなぁと思っています。当時私をアサインしてくれた会社に感謝しつつ、プロジェクト進行時に気付いた案件マネジメント上の視点は、引き続き自分が担当するプロジェクトで活用させて頂いています。

WEBTOONプロジェクトも同じように回っています


ナンバーナインのWEBTOONプロジェクトは社長の小林さんが主導しています。ここで改めてプロジェクト進行の基本は同じだなぁと思ったのですが、今回ご紹介した私の経験と類似した点が多くあります。

①制作・公開スケジュールの可視化
ナンバーナインでは、自社で企画する案件だけでなく、漫画ストアから委託を受けて制作する案件、あるいは協業での開発の提案を受けることも多くあります。その全てについて制作・公開スケジュールと、それに紐付く工数・コスト・売上想定を計画に落とし、チームメンバーと共有しています。こうすることで目標を浸透させ、目標達成に向けたメンバーの自発的な活動を促すことが出来ます。

②定期的な振り返り
チームレベルでは毎週、マネジメントレベルでは月に一度制作の進捗状況を可視化し、計画との乖離幅をレビューし、改善施策をディスカッションしています。計画とは必ずうまくいかないもの。計画からの乖離幅とその理由について考え、リカバリーのアクションを考えることで、翌月以降のプロジェクト進行を改善させることが出来ています。

③組織の集合知の集約
ミーティングでは必ず議事録を取り、活動を進める中で見えてきた学びを共有し、ノウハウとして蓄積できることを社内ブログにも記載することにしています。また、To Doが出た際には担当を割り振り、いつまでに誰が何をやるべきかを明確にすることで、プロジェクトで発生する課題を一つずつ潰しながらプロジェクトを進行しています。

ここで記載した事項はどの会社でもやるべきと言われることだし、実際やっているという会社は多いのではないでしょうか。ただし、どこまでプロジェクトがうまくいくかは、プロジェクトオーナーによって違いが出るところだと思います。プロジェクトオーナーがメンバーの発言と活動を促し、良い意見を取り入れ、決めなきゃいけないことをスピーディーに決めていけば、プロジェクトはうまく進行できるでしょう。

これらの視点をすべて満たしているからといって、プロジェクトが必ず成功するわけではありません。ましてや、読者がそのクオリティを判断する漫画コンテンツであればなおさらです。ただし、プロジェクトの回し方の基礎がしっかりしていれば、成功の確度を上げることは出来ます。万が一失敗したとしても損失も最小限に抑えることが出来るでしょう。また、組織としての経験になるので、会社が将来もっと強くなるきっかけになると思います。もちろん、プロジェクトオーナーは小林さんの事ですし、成功するものだと確信していますが(笑)

最後に、、絶賛採用強化中です!


今回はナンバーナインの戦略について概要をご紹介しましたが、もっと詳しく聞いてみたい!という方は是非応募していただき、経営陣の一人でもある小禄さんから直接聞いてみてください(笑)

【積極採用中のポジション】

企画編集 / 漫画制作ディレクター / エンジニア / WEBTOON編集者 / 学生インターン / 日南デジタル漫画ラボスタッフ
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