フィルムカメラの魅力を語る③
フィルムカメラの続き。魅力を語る回としてはとりあえず今回で最後。
前回はレンズについて触れる中で、背景をボカすために望遠レンズを使うという話をしていた。
ボケと焦点距離
ボケ、というのは要するに「ピントが合ってない」という状態で、全くピントが合っていない、というではダメだが、一枚の写真の中でピントが合っている部分と合っていない部分を作ると、写真を見た際に自然とピントが合っている方に目が向くため、ポートレイトなど被写体を強調したい時にとても効果的だ。
被写体にピントを合わせた時に、その前後どのくらいまでがピントが合った状態になるか、という距離を被写界深度と呼ぶ。
この被写界深度が小さければ小さいほど、ピントのあう距離が小さく、少し後ろにあるだけでピントが合わなくなるため、ボケが大きくなる。
被写界深度は次に話す絞り値(F値)、それから焦点距離と、被写体までの距離の3要素で決まってくるが、この中で焦点距離は大きければ大きいほど被写界深度が浅く(=小さく)なるためボケを表現しやすい。つまりボケを大きくしたいときには焦点距離の大きいレンズすなわち望遠レンズを使う、ということになる。
さて、続いて絞り値(F値)について。
絞り値 (F値)
レンズには固有の"明るさ"というものがある。明るさ、つまりどれだけ光を受けることができるのかということなのだが、それはレンズをどのくらい開くことができるのか、ということを意味する。
目の瞳孔を思い浮かべてほしい。
暗いところでは瞳孔が開くことでより多くの光を集めようとし、逆に明るいところでは瞳孔が閉まることで目に入ってくる光の量を減らし、目を保護する。
これと同じことがレンズでも起こっており、シャッターを切る(=フィルムを露光する)際に、羽が閉じることで光の量を調節している。
光の量が多い時はどんどん絞りを小さくしていけば良いが、光の量が少ない時に絞りを開ける方には限界がある。このレンズを完全に開いた状態のF値を開放F値と呼び、レンズ固有の"明るさ"となる。
このF値が小さければ小さいほど暗い場所でも明るい写真が撮れることになるので、性能が良いとされ、値段も高くなる。
(ちなみに人間の目の開放F値について以前書いてものがあるので興味がある方は読んでみてください。)
そして絞りを開閉した時に変化するのが光の量だけではない、というのが面白いところ。ここで先の被写界深度の話に戻ってくる。
絞り値を大きくすると、焦点深度というものが大きくなるのと対応して被写界深度も大きくなる、つまりより前後に広い範囲でピントが合う。(焦点深度など光学の深い話はまだよくわかってないのでわかったらまた書きます。。)
逆に言えばレンズは開放すればするほど被写界深度が浅くなり、ボケが出る。
絞り値、シャッタースピード、ISO
写真を撮るときの構成要素としてこの絞り値、シャッターを切るときのスピード=シャッタースピード、そして光の感度ISO値の3つがある。F値は今回説明した通りで、ISOに関しては前々回、フィルムの話のところで触れた。シャッタースピードは文字通り、シャッターを切る際の速さのことで、速けれは速いほど動きのある被写体をブレずに撮れる一方で、光の量が少なくなる。
面白いのは、これらの要素が全て光の量に関わるものでありながら、それぞれ別の形で写真に影響することだ。
絞り値が大きければボケは強く出るし、ISOが大きいフィルムは暗いところでも写真が撮れるがノイズが大きくなる。暗いからといってシャッタースピードを下げすぎると手ブレが起きてしまう。
ここに加えて焦点距離の違うレンズをどう組み合わせるか、という話が加わり、これらのパラメータをうまく調整しながら撮らないと思った通りの写真にならない。
これは普段スマホで写真を撮っているとすごくめんどくさく聞こえるかもしれない。確かに最初は頭がこんがらがって「あれ、どうすればいいんだっけ」ということになりがちだが、慣れてくると「ここではこうすればよさそうだ」というのがわかるようになってくる。
そうなるとフィルムで写真を撮るのが何倍も楽しくなるし、現像で上がってきた写真を手にした時の感動はスマホでは絶対に得られない魅力だ。
最後駆け足になっちゃってすいません。これからもフィルムカメラに関する話は書いていきたいと思いますが一旦魅力について語る回は終了です。
中古のフィルムカメラはメルカリなどでも買えますし(ジャンク品も多く、カメラ屋でも直せない場合も多いのでそこは注意)、手軽に始めたければ懐かしの使い捨てカメラなどで始めるのもおすすめです!
少しでもフィルムカメラの魅力が少しでも伝わったら嬉しいです。
撮った写真はインスタに不定期で投稿しています!ぜひ覗いてみてください。
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