月下氷人(げっかひょうじん)
男女の間を縁を結ぶ人。結婚の時の仲人役。
まず「月下老」であるが、次のような故事による。
「唐の韋固(いこ)という人が、宋城というところに旅をしたところ、月の光で読書をしている老人に出会った。この老人は赤い縄の入った袋を持っていて、韋固はなんのための縄かと聞いてみた。
すると老人は、「夫婦となる人の足をつなぐもので、敵でも他国のものでも、この縄を結び合えば、その契りは不変である」と答えたという。
一方、「氷上人」の方は、晋の時代の故事が出典である。
「昔、索紞という占いの達人がいた。その人にある役人が、「氷の上に立って、氷の下の人と話した。」という夢占いを依頼した。
索紞はただちに、「氷の上は陽、下は陰であるから陽と陰が語るのは、人の結婚の媒介をする前兆である。」と語った。
後日その役人は、太守の息子の仲人を頼まれ、めでたく婚姻が成立したという。
つまり「月下氷人」とは二つの故事が合体した珍しい例で、良く使われるわりにはその由来が知られていない。