IKEA インスタ広告 |男尊女卑?話題の「テーブル広告」
最近引っ越したのですが、やっぱり確実にいくってなるとニトリとIKEAですよね。
そんなIKEA、実は日本市場への参入に1度失敗しているんです。1986年と早いタイミングで参入しているのですが、当時の日本にこの家具のデザインが合わなかったのかなと思います。
それが今では、全国13店舗展開。特に2021年では、原宿と渋谷という東京の一等地に都市型店舗まで展開しています。
今回取り上げるのは、そんなIKEAのインスタ広告です。
結論、自分自身はこの広告が好きです。ただ思いにも寄らない世論がtwitterなどで繰り広げられていたため、取り上げることにしました。
1. 話題の「テーブル広告」
インスタ広告を取り上げるコーナーですが、Youtube, Twitter, Instagramなど幅広く展開している広告です。なので今回はYoutubeに掲載しているものをリンクとして貼っておきます。
2021年12月2日に展開された広告なのですが、なんと現時点(2022年2月3日)で≒700万回再生されています。
一体なぜそこまでにバズったのでしょうか。
2. メッセージ性
伝えたいメッセージは明白で、
「IKEAでは溢れる心配のないトレイテーブルが1699円で買えるよ」
だと思います。
15秒でなぜメッセージが伝わるのか。なぜ見入ってしまうのか。
筆者が特に良いなと思った3つの工夫点を取り上げたいと思います。
①情報の制限
なぜここまでわかりやすいのか。
それは、ストーリーがシンプルだからです。
では、なぜこんなにシンプルに見えるのか?
私は、2点あると思います。
➡️台本が(ほぼ)ないこと
➡️字幕が(ほぼ)ないこと。
台本がないということはどういうことなのか?
➡️より低い障壁で動画の内容を理解できる。極論、音がなくても動画の内容が理解できる。
➡️唯一の音声である「あっとういう間に、いい毎日。この家がすき。」がめちゃくちゃ頭に残る。
文字についても同じ原理です。
➡️より低い障壁で動画の内容を理解できる。何も読まなくて良いので無意識でも理解できてしまう。
➡️1690円であること、「あっとういう間に、いい毎日。この家がすき。」がコピーとして表示されるとめちゃくちゃ頭に残る。
②動画の”フロー”の作り方 + ③”広告”らしくなさ
②と③については、まとめて話した方がわかりやすいかと思うので、一緒に解説していきます。
最初の1秒で唐突に”やらかし”シーンがスローモーションで流れます。
好奇心のせいか、”やらかし”シーンって見てしまいますよね。
非日常でありながら、自身に一度は見覚えるのある苦い体験であることから、感情移入もしやすくなります。
それがスローモーションで流れると、より強調されるという構造です。
めちゃくちゃ認知度が上がる導入ですよね。
ただ私が見たときに、凄いと感じたのは、広告らしくないことでした。
実際にこれを見たときにまず無意識に確認したのが
「これってなんのストーリー?」
ということでした。
一瞬動画を止めて投稿主を確認するとIKEAで、
「え、なんで?どういう繋がり?」と思い、また再生しました。
するといきなりハイペースになり、気付いたらIKEAのトレイテーブルが誕生してるんです。意識を向け始めた頃には、しっかり伝えたいメッセージのシーンになっている。これは、スピードのコントラストがあるからこそ可能になっていることだと思います。
ただこれだけだと「面白い広告だよね」となり、Youtubeで700万回再生されることにはなっていないと思います。
実は、この広告は「ジェンダーバイアス疑惑」で炎上をした広告なのです。
3. ジェンダーバイアス疑惑
今までの話と矛盾した話になりますが、人によっては「IKEAでは溢れる心配のないトレイテーブルが1699円で買えるよ」が受け取るメッセージではなかったようです。
「え、どこが?」と思われる方もいれば、「そりゃあそうでしょ。あり得ない」と思われた方もいるかと思います。
実際、様々なブログで取り上げられていますが、twitterでは特に多くの意見が飛び回っていました。
ここでは、思いの強さを強調するためにも特に強い意見を取り上げます。
また、それに対しての対立意見のようなものも多く寄せられています。
1個目の返信は、私の上記解説内容と同じ解釈をしていますね。
Yahoo News によるとIKEAの広報の方は、下記のように答えているので、意図としてはもちろんジェンダーバイアスを狙っているわけではありません。
ただ、
捉え方は人それぞれですし、現状これで炎上していることも事実です。
では、この広告は失敗だったのでしょうか?
一概に失敗とは言えないと私自身は思っています。むしろ、成功と言っても間違ってはいないと思います。
4. 「一過性の炎上」とは?
こちらのグラフは、神崎ゆきさんという方がまとめたyahoo検索のsentimental analysisと呼ばれるものです。
ここからは、引用が多くなり申し訳ないですが、非常に面白い分析だと思ったので、使わせていただきます
まず、大前提として72時間以内に収まる炎上のことを「一過性の炎上」と言うそうです。
今回の炎上は、定義上「一過性の炎上」と言えると思います。
その上、下の感情指数をを見る限り、実はそこまでネガティブに思っているわけではないようです。
もちろん、51%Positiveと言うのは高い数値ではありません。
しかし、普通の広告ではあり得ない認知度を得ることができています。何より、所謂(いわゆる)「擁護側」の方々がファンになっている可能性も非常に高いです。
実際twitterを見ていると下記のようなコメントもありました。
①もともとの目的である認知度向上が達成
②敵を作ってしまっている分応援をしてくれるセミファンのような存在も同時に生まれている。
上記2点を踏まえると、この広告の宣伝効果は非常に高かったと言えるのではないでしょうか。
5. 将来に向けて
成功と結論付けはしましたが、実際問題として炎上することは基本的に避けることが望ましいです。
その中で、意図的には想像もしていなかった解釈をされることは想定しないといけないです。
特に今の時代は、情報発信力が強い次世代の人たちは、固定概念/ステレオタイプを嫌う傾向にある気がします。一般化をしすぎている、この文章も固定概念に囚われているのかもしれないですね。笑
その中で、どう広告を作るのか?
企業側は、常に広報との連携を取ることが必要不可欠です。
代理店は、提案時にこれを既に想定しながら提案、撮影を行っていく必要があるでしょう。
この先に出てくる広告が気になりますね。
6. 最後まで読んでくださった方へ
ここまで長い文章を読んでいただきありがとうございます。
もし、少しでも面白いなと思えば「スキ」を押してみてください。
「は?時間返せ」と思った方は、改善点をぜひコメントお願いします。