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『組織の時代』から『キャリアの時代』へー新時代の認識論

組織の時代が転換期を迎えました。経団連の中西会長、トヨタ自動車の豊田社長による「終身雇用の制度疲労」発言を発端とした「日本型雇用ショック」(2019)と、「働き方を外発的に転換させる」ことになった「コロナショック」(2020)。

この二つの「歴史的ショック」に直面し、私たちの「働き方」は大きな曲がり角。表面的でテクニカルな「変化」に惑わされるのではなく、本質的な理解を心がけなければなりません。

今起きていることは、「組織の時代」から「キャリアの時代」への「トランスフォーム(変容)」です。


社会変化を丁寧に捉える方は、一つの疑問が浮かんでいますよね。「組織の時代」から「キャリアの時代」?「組織の時代」から「個人の時代」じゃないのかと。

キャリア=個人 ではありません。出発点として、まずこの確認が大切です。

キャリアとは、「組織と個人の<関係性>」から紡ぎ出される「過去・現在・未来」の<軌跡>です。キャリアとは、<関係性>を把握する認識概念なのです。

「組織の時代」から「キャリアの時代」への認識をシフトさせる上で、ポイントは二つあります。

① 「組織内個人」という「組織優位」の「制度や考え方」から脱却することです。

しかし、同時に、

②  「個人」を「組織」から「孤立・分離」させないセーフティネットをはることです。

この2点において、「組織と個人」の(より良い)<関係性>を探求し続ける「キャリア」という考え方が今、求められているのです。

私は「組織と個人」の<関係性>に着目した枠組みとして、「プロティアン」を提唱しています。

<関係性>に着目した上で、「キャリア資本(Career Capital)」というフレームを用いました。『プロティアン』で伝えたいことは、社会変化に変幻自在に適合する「個人」ではなくて、自ら主体的に行動することで、「組織と個人」をともに「深化」させる「キャリア(関係性)」についてです。

ここのところ書き進めてきたnoteも、この点に立脚しています。

で、「キャリア」という考え方は、なんとなくわかった。「じゃあ、どうしたらいですか?」の声が寄せられていたので、「ビジトレ」をまとめました。

ビジトレは、「学習」では「負荷がたりない」という問題意識のもと、キャリア開発をトレーニングメソッドで実施することを提唱しました。

ビジトレ=ビジネス×トレーニング

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詳細は、ビジトレで確認して欲しいのですが、骨格となるのは、上記の5原則です。具体的な事例として、NTTコミュニケーションズ社でのキャリア開発支援プログラムの詳細分析もまとめてあります。

「自らのキャリアは自らデザインせよ」という中西さんの主張に賛成です。これからは、「組織に頼る時代」ではありません。

組織に「あなた=個人」を預けることはリスクとなる時代なのです。

だからこそ、「キャリア」という関係論的視点を醸成させましょう。

「組織の時代」から「キャリアの時代」への歴史的転換は、ガラパゴス化し、グローバルシーンでのプレゼンスを確立できなかったこの国が「再起」していく道のりでもあるのです。

組織も個人も生き物です。どちらもが静態的なものではなくて、動態的な存在なのです。つまり、いつからでも、どこからでも、「変わる」ことができる。

私は、その一点に賭けています。

キャリアは、「自分探しの旅」じゃないのです。キャリアは、「組織と個人」の<関係性>をよりよくするための軌跡。

ここまで企業ではなく、組織(Organization)という言葉を用いてきているのにも明確な理由があります。

社会を構成している様々な組織からキャリアへのシフトが必要なのです。学校、職場、地域組織、グローバル組織。

諸々の組織にキャリアという考え方と継続的実践が必要なのです。

「組織の時代」から「キャリアの時代」へ。主体性を没した時代から、主体性を謳歌する時代へ。

今日からの一歩が、明日の未来をつくる。

組織に囚われ、悩み・苦しむ人に、「キャリア」という「考え方の処方箋」を届け、楽にさせてあげたい。

組織からの解放とは、組織への対峙を意味するのではなく、組織と個人の<関係性>をより良くしていくための新時代の認識論なのです。





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