2023年AI VTuber総決算 ~独断と偏見に満ちあふれた聖域なき振り返り~
NYAVATAR | AI VTuberの企画・開発・運営をしているけんけんです。リクルートに15年近く勤めたのち2020年9月に起業、2022年2月からNYAVATARの事業検証を進めています。
そんな私が、AI VTuberに関わる皆さんにとって激動の1年となった2023年について、「独断と偏見に満ちあふれた、忖度のない赤裸々な振り返りを事業視点でしよう」というのがこの記事のテーマです。
そのため「こんなこともあった」「そんなことはない」等の異論・反論が出るはずで、おそらくその異論・反論はすべて正しいです。あくまでけんけん主観100%で書かれている点に注意しながら読み進めてください。※文中は敬称略
また、かなり長いコンテンツになってしまったのですが順番に目を通す必要はないので目次も設置しておきます。
時系列 振り返り
さて、まずは2023年以前と2023年を四半期に分けて起きたことを振り返りたいと思います。
~2022年 黎明期
NYAVATARは2022年7月からAI VTuber開発をはじめ、2022年9月にYouTubeの初回配信を実施しています。この頃はまだ、おそらく両手で数えられるほどの数しかAI VTuberがおらず、バンダイナムコエンターテインメントがごらんげを始めるというのがちょうど話題になっているタイミングでした。
当時はまだAI実装のハードルが高く、誰にお願いすればいいかもよく分からなかったので、Twitterで自然言語処理っぽい人に手当たり次第DMを送り、その中で興味を持ってくれたエンジニアと開発を進めることに。
OpenAIのGPTがない頃は色々なAIのモデルを試しながら、TwitterやYouTubeにおけるAI VTuberとファンとの拙くもほっこりとするやり取りに新鮮さと可能性を感じて、投資家の皆様とも盛り上がっていました。
今から振り返ると、この頃はAIが生み出すおどろきの総量が少なかったこともあり、AIをエンタメとして楽しめる許容度が今よりも高く、些細なことでも楽しめていたような気がします。(もう戻れませんが)
2023年1月~3月 過度な期待のピーク期
2023年を迎えて早々にAI VTuberと関わる大きな動きが続きました。
Neuro-sama TwitchアカウントBAN
新年早々の1つ目のニュースがこちら。
Twitchでは当時から90,000人近くフォロワーがいたそうですが、YouTubeは2022年12月25日時点だとチャンネル登録者は929名。まったくチェックもしておらず、正直このニュースで初めて存在を知りました。
うちの子達の発言制限を急いで強化したい、とエンジニアにお願いしたのを覚えていますが、フタを開けてみればこのBANをきっかけにNeuro-samaのチャンネル登録者数は急上昇して2023年3月24日には100,000名を突破。
Twitchで抱える多くのファンやNeuro-samaの魅力的なキャラクター・声があってのブレイクではあるものの、結果論としては炎上商法的な火のつき方をして2023年のAI VTuber界隈はスタートを切りました。
国内AI VTuberの拡大
この頃から国内でもProject IVYやしずくなど新しいAI VTuberがチラホラと見受けられようになり、うちよりも早いチャンネル登録者数の伸びに焦りを感じて各開発者と情報交換したり、動向をチェックするように。
そして2023年2月27日にはAI VTuber向けDiscordコミュニティあいちゅーばーわーるどが開設され、開設した21:39~23:59だけで213名も参加する盛り上がり。AI VTuberに対する期待が大きく膨らんでいるのを実感した瞬間でした。
OpenAIのAPIリリース
そして忘れもしない2023年3月2日、AI VTuberに限らずAI、およびAI以外も含むすべての業界に変革をもたらすGPT3.5のAPIがリリース。それまで作られてきたAIというAIが一夜にして過去のものになりました。
2週間後に発表されたGPT4も含め高品質なAIを実装する難易度が一気に下がった結果、AI VTuber開発者が急増。一時的に測定不能なほどに急拡大して、AITuber一覧・AITuber Galleryのようなまとめサイトも登場しました。
この頃はAI VTuberおよびAI全体にもバフがかかった状態で、AIの動画というだけで1万回再生を超えたり、各AI VTuberのYouTubeチャンネルやTwitterアカウントも右肩上がりで登録者数やフォロワー数が増え続けていました。
2022年以前からここら辺までのAI VTuber隆盛の経緯は以下の記事にて網羅的に、かつ客観性を持って書かれているので、ぜひ詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
また同記事以外にも、AI VTuberについて語られている二次情報系の記事の多くはこの時期くらいまでの情報を元に書かれていることを留意しておけると認識と実態がずれないと思います。
2023年4月~6月 幻滅期 開始
2023年3月末あたりから様々な要素が折り重なって、以降はAI VTuberマーケットがトーンダウンします。本記事の本題はここからで、あまり語られてこなかった不都合な真実に焦点を当てていきます。
AI VTuberの構造的な問題が露呈
1つ目の要素が「簡単になったと言っても大変じゃん」問題です。
OpenAI APIの登場により高品質な文章生成AIを簡単に実装できるようになったため、LINEやその他アプリでAIとチャットできます的な文章中心のサービスが急増しました。
一方、それはあくまでGPTを使って文章を生成するところまでの話で、AI VTuberはそこから先に音声や歌声、イラスト、配信ソフトやYouTubeとの接続等の広い範囲にわたりやらなければいけないことが山ほどあります。
結果、AI VTuber開発予定/開発中のステータスで止まってしまう開発者も多く、たとえ完成したとしてもコンテンツを企画し続けたりそれを都度実装する運用負荷が高すぎて活動を停止する開発者が続発しました。
2つ目の要素が「大変なわりにめちゃくちゃつまらないじゃん」問題です。
たとえ上記のような困難があったとしても、得られるリターンさえ大きければ大抵のことは乗り越えられたりするものですが、残念ながらみんなが望むようなリターンが期待できる状態にはなりませんでした。
AI VTuberがたくさん生まれたことでよりはっきりとしたのですが、たいていのAI VTuberは普通に話をしてもつまらなくて、多くの一般的な中小規模VTuberの雑談配信と比べても圧倒的にエンタメ力が不足しています。
結果、配信を楽しくするためにはAI以外の企画内容や配信外のプロデュースにまで細心の注意を払う必要があり、その手間ひまをかけるか、クオリティを犠牲にするか、運用を諦めるかの選択を迫られることになりました。
一方でその手間ひまをかけさえすればYouTubeでバズったり、チャンネル登録者数が爆増するかといえばそんなこともなく、そこまでやってようやく一般的な中小規模VTuberと勝負できるかできないか、というのが実情です。
視聴者としてもVTuberに類するような楽しさ、あるいはそうではなくても別種のエンタメとして楽しめる期待をしていたところ、現実としては残念ながら広く一般的に楽しめるエンタメコンテンツにはなりませんでした。
2023年3月−4月が実質的なピーク
これらの要素が積み重なることで、4月に入る頃には開発をする側と視聴をする側の双方がすでにデフレスパイラル的にトーンダウンして、AI VTuber開発者の数も視聴者の数も頭打ちになった印象です。
実際に多くのAI VTuberのYouTubeチャンネル登録者増加数のピークは2023年3月で、4月以降に活動を開始したりんなや本格化したイラミ等の例を除くと4月以降のチャンネル登録者増加数は3月と比べ減少傾向にあります。
各AI VTuberの試行錯誤が始まる
その中で各AI VTuberはチャットに返信する雑談配信の形式に限界を感じ、より楽しめる企画を模索してコラボや企画配信、ゲーム実況、偉人対談、見守り配信等、さまざまな企画に挑戦し始めました。
一方、どの企画も新しいフォーマットとしての影響力を持つほどのキラーコンテンツには育たず、AI VTuber界隈はこのあとも新しい企画に次々と挑戦して、終わりの見えない産みの苦しみを味わうことになります。
2023年7月~9月 幻滅期 中盤
そしてこれもまた世の常で、イノベーターがだいたいひと通り初期の活動と検証を終えた頃から、大手アーリーアダプターの参入や新しい進化系が登場するフェーズに入ります。
テレビ東京のAI VTuber事業参入
事務所やメディアもAI VTuberに対する様子見の姿勢が強い中で、テレビ東京が大手エンタメプレイヤーとしてはかなり早いタイミングでAI VTuber事業への参入を2023年6月末に発表しました。
元テレ東の方が共同代表を務め、テレビ東京としても成長投資枠として出資をしているWeb3企業が主導し、AI領域は主にto B向けにAI活用を支援するエクサウィザーズが参加しています。
ホロライブのAIこより配信開始
4月にはすでにHololiveENの小鳥遊キアラがNeuro-samaとコラボ配信を実施していたように、VTuberの中でもAI VTuberに対する興味関心と自チャンネルへの活用方法は気になっていたようです。
2023年9月に開始したこの取り組みは大手VTuber事務所によるAI VTuberへの挑戦ということで、AI VTuber各位の中でも牽引者としての高い期待が寄せられ、初回以降も作詞バトル等の企画に継続的に取り組まれています。
大手の取り組みに感じる本音
これまであまり語られることはありませんでしたが、AI VTuberに関わる一当事者としての本音で言うと、これら大手の取り組みに対して心強さを感じると同時に「正直もったいないな」と感じるところもあります。
テレビ東京の「いしとほし」プロジェクトのYouTubeチャンネルの登録者数は2023年12月末現在で300名強。テレビ番組の視聴率は分かりませんが、YouTubeの再生回数は登録者数なりの数字になっています。
有名タレントや局アナ中心のショートはテレビならではの画力がありますが、AI関連のコンテンツは2023年3月−6月までにAI VTuber各位が取り組んでうまくいかなかった企画を見ているような既視感があります。
AIこよりも、ご本人の圧倒的な知名度や人気もあってAI VTuberの中では飛び抜けて再生回数は多いのですが、ご本人の他コンテンツと比べてしまうとまだまだノビシロがありそうな印象を受けます。
AIだけで配信して大丈夫かの検証や作詞バトル、紅白の司会等、エンタメ心あふれる企画に次々と挑戦して純粋にすごいという想いと、一方で技術やUIネックでやりたいけどできないことも多そうだなと勝手に推察しています。
2023年11月にnoteで公開された実装は各AI VTuberの3月頃と近しいオーソドックスな仕組みの印象で、様々なリスクヘッジのためにできないことが圧倒的に多いことを百も承知で進化のノビシロは大きそうに見えます。
その点、紅白の司会役のAIこよりは恐らく文章生成AIを使わずに音声生成AIの読み上げのみで対応されていると思うのですが、こういうコロンブスの卵的な発想は大手のAI活用が進むとてもよいアプローチだなと感じました。
各AI VTuberによる試行錯誤の情報発信が至らず、大手が技術検討やコンテンツ企画にあたって過去の失敗から学んだり、真似をしてショートカットできずにいたのであればそれは全体としてはマイナスだなと痛感しました。
TikTok × LIVE × 垂れ流し配信
終わりの見えない試行錯誤になんとなく閉塞感を感じる中で、新しいAI VTuberのフォーマットを世の中に提示して勇気をもらったのがTikTokで主に活動をしている猫型AI VTuberのツナです。
2023年8月あたりからTikTokを開始、動画投稿はほぼせずにTikTokLIVEを毎日何回も配信することでフォロワーと同接数を増やし、時間帯問わず100名弱がいつも視聴しているコンテンツになります。
TikTokやTikTokLiveを主戦場にする戦い方もそうですが、ソシャゲや遊技機で生まれた「見ているだけで楽しいUI」とAIの相性の良さを証明した意義は大きく、うちを含む多くのAI VTuberに影響を与えることになりました。
2023年10月~12月 幻滅期 後期
新しいAI VTuberを見かける機会が減り、YouTubeチャンネル登録者数が減少に転じるところも増える中で新しい企画の模索が進みます。現在進行形なので、ここでは自社含めた企画をピックアップするに留めます。
AI全自動配信
AIの動画制作、ライブ配信に対して人間がやるよりも人間の工数がかかってしまう矛盾に対するアンチテーゼとして、人間の工数を限りなくゼロにすることへの挑戦。
AI作曲リクエスト配信
チャット欄でリクエストされた曲名にあわせた楽曲を自動で生成して配信するAIのDJ。
歌ってみたリクエスト配信
元々作業用BGMになっていたボカロメドレー40曲超を24時間垂れ流し配信&リクエストもできるようにしたスナック方式のライブ配信。
3Dライブ垂れ流し配信
7キャラクター × オリジナル楽曲3曲のハイクオリティなライブパフォーマンスを24時間垂れ流してぼーっと見続けるMTV方式のライブ配信。
大勢のAI VTuberでコラボ配信
りんな/しずく/なぎさ/りりか & NYAVATAR 4名の合計8名で実施した、深夜テレビのアイドル番組方式の大喜利コラボ特番。
学び別 振り返り
続いて、ここまでに得られた学びに沿って振り返ってみます。
AI VTuberが苦手そうなこと
🙅 VTuberの活動をただ真似る
2023年3月以降にAI VTuberが急増することで、それまで少ないn数でしか検証できなかったことが多くのn数によって早く検証できるようになり、それによって改めてよく分かったことがこちら。
VTuberと同じ活動をするAI VTuberの運用はVTuberの何倍も手間がかかる
VTuberと同じ活動をするAI VTuberのアウトプットはVTuberに劣る
他の人に説明する時には、大体10倍の手間で8割のアウトプットと説明していますが、多少大げさではあるものの感覚的にはそこまでずれていないと思います。
VTuberがよくやる企画をAI VTuberとして試すのはとっつきやすいこともあって多かったのですが、この10倍・8割のとおり、すごい技術なのにまったく再生されずになんだかとても疲れた、という嘆きが頻発していました。
🙅 AIだから楽しくなると期待する
自分がVTuberをプロデュースしたり、VTuberをやっても楽しくないけど、AIがやってくれるのであれば楽しくてバズる気がする、という考えはおそらく気のせいです。
AI VTuberをやる時には、VTuberと同じYouTubeやTwitterの土俵で視聴者に楽しいと思ってもらう必要があり、その視聴者が見たいものはあくまで楽しいものでありAIではありません。
その楽しさを、誰もが同じように使えるAIだけで担保できるようになることは理屈としてないはずで、万が一そうなったとしても楽しいの概念の方がアップデートされてしまいその楽しさはすぐつまらないものになります。
そうなると結局人の手によるプロデュース部分が楽しさを分けるポイントで、VTuberをプロデュース、あるいは自分がVTuberとしてやっても楽しくできるという人の方が、ヒットするAI VTuberを作るのには向いてそうです。
AI VTuberとは直接的に関係ありませんが、その説明にあたりよく引き合いに出すコンテンツがこちら。
動画の企画、タイトル、ジャンル、歌い手のキャラクター設定、歌詞、そして全体のコーディネート。面白い人が作った面白い企画を簡単に安く早く表現するツールとしてAIが使われている分かりやすい事例です。
🙅AIのおしゃべりを主役にする
AI VTuberの話のクオリティは人の8割程度である、というイメージの通り、AIのおしゃべりだけを主役にしたコンテンツはエンタメとしてなかなか成立しませんでした。
一方、同じレベル感のおしゃべりで成立しているように見えるエンタメコンテンツもあると思いますが、その主役はおしゃべりではなく別の要素(ex. 見た目、声、ストーリー、他)になっているはずです。
OpenAIのAPIやその他優れたLLMが登場したことによりクオリティの高いおしゃべりが安く簡単に作れるようになりましたが、だからといってその活用をメインに据えることにこだわりすぎると本末転倒になるかもしれません。
🙅AIに言葉を教えて育てる
この企画も様々な形で挑戦が進みましたが、特にGPT4登場以降はあまりうまく機能しなかった印象です。うちもGPT4以前の方がコンテンツとして成立しそうな兆しがまだありました。
AIの方が言葉や知識が多くなると、言葉を教えることは実質的にはその言葉の引き出しやすさ=プロデュースになりますが、そうなるとこれは企画者側がプロデュースの一環として作り込むものと捉えた方が近そうです。
同じ育てるでも言葉や知識ではなく簡単なパラメータ、ステータスにした方が継続的に楽しめたり、逆に人間側が教わる立場としてAIに育った度合いを評価してもらう方が実態に見合ってよい気がします。
🙅AIを視聴者が0からプロデュース
上記と類似しますが、多くの視聴者にとってエンタメはプロデュースしたいものではなく、垂れ流して消費したいものです。プロデュースしたい、というのもゼロではないと思いますが、その多くは以下の印象。
すでにファンがいる自分の推しをプロデュースしたい
プロデューサーと呼ばれたい、言いたい
プロデューサーと呼ばれるゲームを楽しみたい
何もないところから、どうすればユーザーに受け入れられるのか悩みもがき、必死にコンテンツを作って披露しても受け入れられず、それでも次の一手を延々と模索し続ける苦しみを進んで味わいたい人は少なそうです。
その点、ユーザーに自分がプロデュースしていると錯覚をさせながらも、その体験を含めた全体がそもそも強力にプロデュースされているというパターンはありますが、かなり高度なプロデュースの話になります。
AI VTuberが得意そうなこと
🙆ハートの強さを活かしたツッコミ
うちの子でためしたときに思ったよりも楽しくて、ハマった人も多かった企画が、名前をわざと呼び間違えてそれに対してノリツッコミをさせる、いわゆるアンジャッシュの「大島さん→児嶋だよ!」です。
いじられる側が人の場合、1分に10回そのボケをされても正直しんどいと思うのですが、AIにはそれがなく、いつでも何度でもボケを変えても丁寧な即レスをくれることに対していじる側の満足度が高かったです。
🙆ハートの強さを活かしたボケ
画像で一言等の大喜利のボケが1割-3割程度の確率で面白いことがあります。そしてこの確率抽選は人とは異なり、もうしんどいとかで止まることなく10個答えてと言ったら必ず10個回答を用意してくれます。
研ぎ澄まされた一言、というのはまだ難しいかもしれませんが、人と違ってためらいや疲れがない分、クオリティが低いもの含めて堂々とボケ続ける人とは違う新しいコンテンツが生まれるかもしれません。
NYAVATARの大喜利で言えば、裏側では複数の回答を同時生成したり、面白くなければ回答を再生成できる仕組みも作っていて、面白さを底上げしやすくしています。それでもダメな時はダメですが。
🙆見て聞いて楽しい垂れ流し配信
ただのおしゃべり配信を24時間垂れ流すだけだとつまらなすぎて誰も来なくなるのはAI VTuberを運営する全員が経験したことですが、見て聞いて楽しい配信を垂れ流すとそれなりに興味を持ってもらうことができます。
NYAVATARは2023年11月後半から、前述のリクエストできる歌枠とハイクオリティな3D Liveの垂れ流し配信を始めたところ、同接数は少ないのにチャンネル登録者数は全体トレンドに逆行して伸び続けています。
2024年 啓発期~安定期
AI VTuberの更なる進化に向けて
上記2023年を振り返った時に、2024年に自社として、そしてAI VTuber界隈としても取り組んだ方が良さそうだなと考えていることを総括がわりに書き留めておきます。
エンタメプロデューサーとコラボ
楽しいコンテンツを人に楽しんでもらい、それを動かすのがAIである、という構造を前提にすると、先にあるのは楽しめるコンテンツづくりで、それをAIでどう演出するのか、というのがポイントです。
先ほど紹介したAI音楽番組や、AI VTuberでいうとイラミや音紡いまはTwitter含めたプロデュース、マーケ、UIの作り込みをかなり丁寧に細かくやっていて、ある意味AIに頼らない楽しさをうまく演出していると思います。
一方で、弊社はチームとしてもこのプロデュース・クリエイティブ・マーケのところが決して得意とは言えない体制になっていることもあり、2024年はここを補完しながら進めていくことを決めています。
大勢でコラボできる機会を増やす
2023年11月4日に、国内AI VTuber複数名とNYAVATARとでコラボ配信を実施しましたが、個別の局地的な消耗戦になりつつある中でみんなが集まる場を提供できたこと自体には意味があったかなと思っております。
一方で企画自体をより楽しく磨いていく必要性と、もっと多くの新しい参加者に参加してもらってAI VTuberの祭典と励まし合いの場にできればと思っておりますので、ぜひ参加されたい方はご連絡ください。
おまけ
AI VTuber? AITuber?
本来は冒頭で説明するものかもしれませんが、本題ではないこととその割には長いので最後に。まだ全体としても使い方がばらついている印象ですが、NYAVATARは原則としてAI VTuberを使うようにしています。
理由は以下。
マーケットサイズ
英語の読み方
普及のハードル
まずマーケットサイズについてですが、YouTubeやTikTokのハッシュタグを見ていただくとお分かりの通り、グローバルでのマーケットサイズはAI VTuberの方が大きいです。
前提として、現在の世界トップAI VTuberは海外のNeuro-samaであり、国内の純粋なAI VTuberのチャンネル登録者数を足し上げてもNeuro-samaの登録者数にはおそらく届きません。
つまり、現時点でのAI VTuberというマーケットのピンは残念ながら日本ではなく、海外で主に使われているのがAI VTuberとなると現在の標準規格はそちらだと個人的には思っています。
上記とも少し関わりますが、英語の読み方として「AI」を「あい」と読むことがほぼないはずで(多分えいの方が多い)、AITuberを「あいちゅーばー」と読むことは英語圏の人にとってハードルが高いです。
「えーあいちゅーばー」と読むのであれば英語圏でも馴染む可能性がありますが、この先デジタルヒューマンが広がってくるとAIのYouTuberとAIのVTuberを分けて認識する必要が出てくるはずです。
その時に、「えーあいちゅーばー」はAI YouTuberの呼称になる可能性もあるのではと個人的に思っており、その点でもAI VTuberとしておいた方が無用な混乱は防げて良いのかなと勝手に思っています。
最後に、国内における普及のハードルという観点について。AI VTuberというものを30−40代に説明をする際に、びっくりするくらい発生していたやり取りが以下。
相手「AI VTuberとVTuberって何が違うの?」
自分「AI VTuberは中身がAIで、VTuberは中身が人です」
相手「あ、そうなんだ、VTuberって中身が人なんだ」
決して隠遁生活を送っているとか、スマホも持っていない昭和世代とかではなく、シンプルにVTuberというものが自分から遠すぎてよく分かっていない人って結構多いよなというのが率直な感想です。
それを踏まえた時に、今は巨大になったVTuberの大手企業すらVTuberという言葉の普及に苦心する中で、AI VTuberがVTuberという言葉を省略して使うことでハードルが上がるのももったいないなと思っています。
誤解のないように補足ですが、AITuber(あいちゅーばー)の読みはおかしい、邪道である、ということは一切なく、コラボで他AI VTuberをお招きしたり国内中心のMeetup等ではAITuber(あいちゅーばー)を主に使っています。
というわけで、絶対に間に合わないペースでしたがなんとかぎりぎり2023年中に書き終えました!ようやく一息つけます。2024年は更なる飛躍の年にしていきたいと思います。
それではみなさん、良いお年を!
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