カナダの冬の過ごし方(服装編)
カナダに6年目。ユーコン準州・バンフ・カルガリーなどに住み続け、冬も2017年から数えて6回目となり、カナダでの冬の過ごし方も身についてきました。
折角なので、自分の経験を踏まえつつ試行錯誤の末に畏れることなく過ごせるようになったカナダの冬の服装についてまとめてみようと思います。
もともと”僕のバックグラウンド”で記録しているように、カナダに来る前に南半球にあるNZやオーストラリアにて日本と違う独特な気候も各々で経験しました。
日本の夏より涼しい環境や日本の住居のような完備された暖房のない隙間風が多い建築構造のオーストラリアやNZ。こういった冬の寒さに厳しい住環境の中で過ごしていくうちに身体が寒さに対して徐々に慣れ、カナダで完全に寒さ耐性がついてきた気がします。
話は戻って、2017年日本の晩秋にカナダにやってきたのですが、日本から出発直前まで気がかりだったのは、今までに体験したことがない極北に近いカナダの寒さ対策でした。
北海道や東北・北陸地方出身でもない関西の少雪な地域出身の僕としては、オーストラリアやNZでの冬は何となく過ごせても、カナダの白銀世界は完全なる想像外の場所でした。
BC州バンクーバー周辺は、カナダの他地域と少し異なるので、それを除いた僕の冬体験をもとに以下に書いてみようと思います。
※気温別に3段階にして記事にまとめてみました。
カナダの5℃からマイナス10℃までのカナダ(晩夏、秋から春とカナダで比較的多い気温帯)
マイナス10℃気温からマイナス25℃のカナダ(冬の大半はこの辺)
マイナス25℃からマイナス30℃より寒いカナダ(真冬や冬の寒い日)
《気温5℃からマイナス10℃までのカナダ》
カナダの晩夏の朝、秋から初冬や春の気温が、ちょうどこのくらいになります。
関西で1−2月頃の冬の5℃の日といえば風も吹き荒ぶし、めっちゃ寒いイメージですよね。一方カナダでは、気温が5度の日だからといって必ずしも寒い日でありません。。。
日差しがあり無風に近い日だとカナディアンなら半袖とハーフパンツで歩いている人もいます。僕も昼間なら厚手のフーディーだけで出かける気温のイメージです。
マイナスの世界の中をずっと過ごすと身体が寒さに慣れます。すると春の兆しのような気温5℃は、かなり暖かく感じます。
そうなると、今まで巣ごもりしていたも人も含め多くのカナディアンは、散歩などに出掛けたり、かなりアクティブになります 笑。
そこでいつも思うのが、僕が住んでた関西とカナダの5℃における感覚や服装の違いは、寒さ慣れだけでなく、”体感温度の違いが大きいかな”と思います。
天気予報で地図上に表示される外気温も寒さの指標として大事ですが、カナダに来て特に大事だと思ったのだ体感温度(wind chill)でした。
気温が5℃の日でも体感気温がマイナス2℃だと結構寒く感じますし、雨が降ったり湿度も高いとさらに寒さに拍車をかけてきます。
体感温度が気温より低いときの気候は、風が強かったり、雨・雪が降ったりして湿度が高かったりと、安定感のない日です。こうなると、カナダの温暖な冬は消え、日本の真冬のような感覚になることもあります。
こういう体感温度が低い寒い日などは、服装でもアクセサリー類がとても重要となってきます。
ビーニーを被ったり、フードで頭周囲を風や雨雪から保護してみたり、他にもネックウォーマーやマフラーを巻くのも有効です。手が、風や雨などの湿度で気温以上に悴んでくるので手袋が必須になるでしょう。
逆にカナダでの外気温がマイナス10℃くらいでも、風もないような温暖な昼とかであれば日本の1−2月の真冬より暖かく感じることもあります。
そういう日は、半袖で、屋外にあるゴミ捨て場へゴミをさっともっていっても春の陽気だと感じるくらい快適であることも 笑。
この時期(5℃からマイナス10℃までの世界)は、ホンマ体感気温が大事になってきます。
※僕の場合、例年ならば
Tシャツ(半袖)
フーディー(厚手)or フランネルシャツなど
ジャケット(防風素材のもの)
三枚でレイヤーを組み、他にアクセサリー類があれば服装の調節が可能だなと感じています。
薄手の手袋やビーニーなどの冬の定番アクセサリーは、この頃から意識して、いつでも使えるようにかばんに常備を始めます。
朝や昼間は暖かく感じても、夕暮れや夜、太陽の光がなくなると一気に体感温度も下がり、寒く感じることもありますので。
カナダの冬の屋内は空調が効いているので、外から屋内に入ればジャケットを着込まなくてもなくても基本的に大丈夫です。
そのため厚手のジャケット一枚で防寒をとって外出するより服の重ね着(レイヤード)で温度調節するほうが楽かなと思います
インナーに体温で全体を温める素材(熱を溜め込むようにフリースやフーディー、中綿素材など)
アウターに防風や防水性能が高いもの(これらの機能がないアウターはカナダの冬の洗礼をそのまま身体に受けてしまうこと=気温によっては凍傷のリスクがあります。皮膚から順に細胞が死んだり、生死に関係することも。。。。)
首周囲や手首や足首そして隙間を閉じる(ジャケットの裾周囲への風の侵入調節。体温低下につながる冬の冷気が入ってこないようにする)
まだまだ、この気温の頃は、先述の通りカナダの冬の序盤 or 春の兆しなので、外出にはオススメな時期です。屋外を中心に街中を散歩するとかなら、上記の点を意識すればなんとかなることでしょう。
これでも寒くて駄目なら次の項で書くようなマイナス20℃を意識したような服装にしたり、着込んで完全防備をすれば寒がりな人でも、かなり快適なはずです。
【シューズ;ブーツ】
ちなみにカナダの冬のシューズは、マイナス10℃以下や体感温度が下がるにつれて、ウィンターブーツを意識します。
カナダでもオーストラリアのワークブーツ”ブランドストーン(Blund stone)”やアメリカブランド”ティンバーランド(Timber land)”のようなカジュアル寄りで厚底や防水性の高いものがあると便利です。
シーズン関係なくカナダでは、カジュアルなブーツならだいたいどこでも売っています。また本格的な極寒モデルもジャケット類に比べて安い価格帯で現地調達ができます。
僕はオーストラリア滞在中から日本の半値以下で買えるブランドストーン(Blund Stone)のブーツを数足持ってました。オーストラリアとNZ、日本の生活の大半は、このブーツで四季関係なく過ごしました。
ただ、カナダに来る前は寒さの想像ができなくて、履くことがないのではないかなとか思って、なくなく実家に置いてきました。後にカナダで購入し直すことになるとは。。。
《気温マイナス10℃からマイナス25℃までのカナダ》
日夜関係なく常時この気温となると、前項のような気候と違い長時間外出するようになればなるほど、足もとから寒さが伝わってくるようになります。
カナダでは、極寒地特有の装備の使用をはじめる時期です。
この時期になるたびにアパートメントなど地下駐車場で、常時エアコン等で気温管理されている寒さ知らずの車をみると、僕は羨ましいなと思います。
まあ、その車は逆に極寒の外から戻ってくれば、駐車場と外気温とのギャップで曇りやすいという贅沢なトラブルがあります 笑。
ただ雪や風が吹かなければ先程の気温の項でも話したように体感温度が外気温とギャップがない日だと、(太陽の温かい日差しを感じると)普通に防寒対策した服装であれば意外とやっていけるなとまだまだ感じます。
日本の真冬のような服装とアクセサリー類をちゃんと着込むことで、まだまだやっていける時期です。
これくらいの気温の時期がカナダの冬の大半を占めます。
意外とカナダ生活に慣れれば快適だなと感られる気温帯です。実際にカナディアンも、まだまだ本格的な防寒対策をしていないなと感じます 笑。
まだまだハーフパンツや薄手のパーカー野郎もいます。彼らを見ているとファッションに寒さの余裕が見られる時期だということに気づきます。
もちろん徐々に寒さが強くなっているのは確実で、一枚でこの寒さと勝負できる重めのアウター(本場カナダグースやWoorichなど)の高級ダウンを着ている人もでてきます。
人によって服装の重ね着や着ている内容が異なり、結構ファッションは、バラエティーに富んでいる気がします。
予算に厳しい人であれば、インナーダウン類などを重ねて、防風性のあるジャケットのコンビネーションが、まだまだ暖かく僕のオススメです。。。
実際マイナス30℃の日でも関係なく外の工事現場に従事する人は、そのような高級ダウンでなくても、CarharttやDakota、HHのワークウェアを上手く重ね着して働いています。。
【(例)マイナス15℃以下での僕の場合】
上記の写真は、湖上での一枚です。外気温がマイナス15℃くらいでしたが昼間の無風の晴天日和でした。
インナーにヒートテックとフリース、
アウターに防風性のあるジャケットという軽装
靴もブランドストーン(冬用のインナーソール装着)
この時期は、基本的に重ね着アイテムのコンビネーションであるインナーシャツ、フーディー達に加えて、インナーダウンの追加や入れ替えることで調節しています。
パンツにもインナーとしてレギンスを追加したりもします。
僕の場合、基本的に冬でも普通に夏でも履くよう特別冬仕様でもないジーンズやコットンパンツが多いです。それらをオーバサイズで履いて、中にレギンスを重ね履きします。
冬のアウトドアの醍醐味アイスフィッシングも湖で氷がしっかり張り、本格的になる時期です。湖上に長時間いると風がそのまま山や丘から障害なく吹きすさぶこともあるのでボトムはさらに一枚ダウンパンツを加えたりします。以下の写真のような、たとえば動物を狩るハンターが履くような厚手の防風性のあるパンツ(insulated pants)を履きます。
《気温マイナス25℃からマイナス30℃より寒いカナダ》
この時期は残念ながら、一日の大半を在宅生活になります。また車や公共交通機関を利用する移動生活でないなら、服装にファッション性を求めると痛い目に合う時期です 笑。
この頃になると実際の生活は、歩行より車移動がメインで、外出目的も買い物や図書館暮らしなど必要最低限となり、インドア生活が多くなります。
夏のような何時間も外を出歩くような外出意欲も減り、外出機会は減ります。
ときどき近所の散歩程度なら大丈夫かと思って、ダウンパンツを履かずに出かけることもあります。風も吹き体感気温が低すぎると寒さに後悔しながら帰ってきます。
上記の写真はマイナス24℃前後で、散歩したときのものです。このときは天候がよかったので車で公園の丘近くまで来て、パウダースノーの上でSnow sledを楽しんでました。
この日は、
Carharttのアクティブジャケット
フーディー(UNIQLO)
ヒートテックシャツ(UNIQLO)
パンツはZARAのストレッチパンツ
二重の(インナーグラブとの重ね着)手袋
普通のアウトドア用のキャップ
ブランドストーンに分厚目の冬ソックス
当時は、こんな感じでも意外といけました 笑。
これはホンマ体験してみないとわからない、表現が難しい感じの世界です 笑。
風が吹く日だと強烈な体感気温の低下が起こります。
今までのマイルドな氷点下の時以上に外気温とのギャップが起こるので、防風対策はかなり大事です。体感温度マイナス50℃とか普通に現れます 笑。
ビーニーだけでなく、耳や口、眼鼻周囲の保護の為にジャケットのフードをかぶったり、ネックウォーマーを巻いたり凍傷を防ぐことが必須です。
頬の辺りなどは少しの風でも、痛みが伴います。寒いのでなく痛みを感じる。それが極寒日の気温です。
身体本体はアウターとインナーで着込めばなんとかなりますが、体温で温めにくい部位の防寒(耳や手指など凍傷になる危険があるところを守る事)が大切です。。
必要時は、手袋はインナー手袋に大きなミトンやカイロ入りの手袋をし、顔を守るようなマフラーやネックウォーマーで顔の大半を覆い、靴下も重ね履きします。
【-30℃から-40℃の時、よく着るコーデは以下の通りです。】
トップスとアウターやアクセサリーで重ねていきます。
・Tシャツ(半袖)
・厚手のフーディーまたは、ヒートテックのロングスリーブシャツ
さらにArcteryxのLT Atomのような化繊のインサレーション2枚をアウターとして重ね着する。
パンツも2枚を重ねます。
・UNIQLOなどのジーンズもしくは、ヒートテックレギンス
・Championの分厚い裏起毛スウェット
・ソックスは、カナダのワーク系ショップにある冬用の厚手のモノ
・シューズは、Sorrelの極地仕様のブーツ
・手袋は、UNIQLOヒートテックとWalmartのハンティング用の2枚を重ね
・首周りは、スノボなどで使うような顔全体も覆えるネックウォーマー
カナダの内陸部の冬は、暖かくなるにつれて豪雪になりやすいです。気温上昇は、嬉しいと同時に外出するなら雪掻きが必要なことも
アルバータ州などは、気温が上がるにつれて季節の変わり目のように風が強くなり、逆に体感気温が下がることもあります。
上記の写真は、2月一番寒い時期に行われるユーコン準州とアメリカアラスカ州間の大陸縦断犬ぞりレース”Yukon Quest”の会場です。
この日は晴天に恵まれ、放射冷却現象が起こり、太陽光強い昼なのに氷点下36℃以下となりました。
ソリに乗る人以外にスタート地点で犬の管理をするチームメイトも本格的な服装です。観客もフードを被ったりして防寒対策してますね。犬も赤いソックスを履いています。
このようなときに日本のようなファッションを求めていると、手足やあらゆるところで凍傷し命の危険に繋がります。
極寒日の屋外での仕事中の服装として、マイナス36℃の晴天にホテル周囲の雪かきをしたときは、ビーニーとネックウォーマーとジャケットのフードで頭部を完全に保護し、フーディーにカナダグースのジャケット、厚手のジーンズとレギンスに極寒地ブーツでやってました。。
以下の画像のような感じのしっかりしたブーツじゃないと寒さで足趾から順に冷たくなり足が辛いです。。。
雪掻きは身体を動かすので少し着込む量を少なくし、薄手にすると丁度いいなと経験上感じました。汗もかきすぎると濡れた部分から体温低下に繋がりますし。。。
気温が極寒レベルになると体温維持でも体力の消耗をするので、一時間半も雪掻きをすれば結構ホンマにバテます。
こんな感じでカナダの冬は長いですが、それなりにアクティビティもあったり、アウトドアで楽しめる季節でもあります。僕は日本のなぜか薄暗い感じがする冬よりも、カナディアンたちの冬・雪なれした感じ、気軽にアクティビティに明け暮れながら過ごせるこっちのほうが好きですね。