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【患者向け】脳卒中の回復過程と回復が感じられるポイント

当ブログへ訪問していただきありがとうございます。

福岡県で理学療法士をしてますkenkenです*

日々のちょっとした疑問や曖昧なことに、"しっかりと向き合い"皆さんにとって有益な情報発信ができるようにお役にたてればと思います。

はじめに

脳卒中発症後の回復過程は人により様々です。脳にダメージを受けた部位や範囲などで後遺症も多岐に渡ります。

しかし、一般的な経過やいま現在で分かっている、基本とされている考え方についてはある程度共通した見解があります。

本日は、その分かっている部分と当事者目線で回復をどこで感じられるのかについてまとめていきたいと思います。


🔲 運動麻痺の重症度

運動麻痺の重症度は、一般的に以下のような評価基準を用いて判断されます。基本的には重症度をもとに生活を再建していきます。

1. Fugl-Meyer Assessment (FMA)

2. Stroke Impairment Assessment Set(脳卒中機能障害評価法:SIAS)

3. Modified Ashworth Scale (MAS)

4. Brunnstrom(ブルンストローム)ステージ

※詳細は前回記事参照

🔲 入院後の運動麻痺の回復過程

脳卒中後の回復過程は個人差がありますが、一般的には以下のような段階を経て進行します。

1. 急性期
発症から数日から数週間の期間で、最初のリハビリテーションが行われます。この時期は、基本的な運動機能の回復が期待されます。

2. 回復期
数週間から数ヶ月の間に、リハビリテーションを通じて運動機能の改善が見られます。神経可塑性により、脳が新たな経路を形成し、機能を回復することが可能です。

3. 維持期
数ヶ月から数年にわたる期間で、回復が続くこともありますが、徐々に改善のスピードは遅くなります。この時期には、日常生活における自立を目指し、継続的なリハビリテーションが重要です。


🔲 運動麻痺回復のステージ理論


運動麻痺回復のステージは3つあります。

 1st Stage:
発症から3ヶ月、Corticospinal Excitability(残存する皮質脊髄路の関与)

→ 残存している(損傷を免れた)皮質脊髄路の程度に依拠しており、その残存している皮質脊髄路の興奮性をより高め、運動麻痺の回復を促す時期とされています。

 2nd Stage:
3ヶ月〜6ヶ月、Intracortical  Excitability(皮質内興奮性)

→ 皮質脊髄路の興奮性に依拠するのではなく、皮質間の新しいネットワークの興奮性が最も高まる時期

→ この時期までにしっかりと皮質間のネットワークをつながないと、その後の再組織化(新しい脳内経路を使った運動の再学習)がしにくくなるとされています

 3rd Stage:
6ヶ月以降、Training-Induced Synaptic Strengthening(シナプス伝達の効率化)

→ 徐々に脳内ネットワークが強化されていく時期とされています

→つまり、できる運動が固定化していくということになります


🔲 当事者目線での回復を感じられる着目点

脳卒中からの回復過程は、当事者にとって非常に個別的であり、以下のような点に着目することで、回復を実感しやすくなります。


1. 小さな進歩を認識する
日常生活の中での小さな変化や進歩を意識することが重要です。

例えば、手の動きが少し改善した、歩行が安定してきた、などの具体的な成果を感じることで、モチベーションが向上します。



2. 目標設定
短期的かつ具体的な目標を設定することで、達成感を得やすくなります。

例えば、「今週中に自分でコップを持てるようになる」といった具体的な目標を立てると良いでしょう。


3. リハビリテーションの重要性
定期的なリハビリテーションを受けることで、専門家からのフィードバックを得られ、進捗を確認することができます

また、リハビリの内容を自分で振り返ることで、どのように改善しているかを実感できます。


4. サポートネットワークの活用
家族や友人、リハビリの専門家とのコミュニケーションを大切にし、サポートを受けることで、精神的な支えを得ることができます。

周囲の人々からの励ましや理解が、回復の大きな助けとなります。


5. ポジティブな思考
自分の進歩をポジティブに捉えることが重要です。回復には時間がかかることが多いですが、焦らずに自分のペースで進むことを心がけましょう。

ポジティブな思考は、ストレスを軽減し、モチベーションを高める助けになります。


6. 日常生活の工夫
日常生活の中で、できることを増やす工夫をすることも大切です。

例えば、特定の動作を行うための補助具を使用したり、環境を整えることで、自立した生活を促進することができます。これにより、自信を持って日常生活を送ることができるようになります。


7. 感情の管理
脳卒中後は、感情の変化や不安感が生じることがあります。

自分の感情に気づき、必要に応じて専門家に相談することが重要です。感情の管理ができることで、より良い回復を促進することができます。

まとめ

脳卒中後の運動麻痺の重症度の判断や回復過程は、個々の状況によって異なりますが、適切な評価とリハビリテーションを通じて、回復の可能性は大いにあります。

当事者が自分の進歩を実感し、ポジティブな思考を持つことが、回復を促進する重要な要素です。周囲のサポートを受けながら、自分自身のペースで前進していくことが大切です。

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