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印象最悪。僕らの「業界あるある」

「置き薬屋です。」「生命保険の仕事をはじめました。」
と言うと、相手がスーッと引いていくのが感じ取れます。

結論から言うと、置き薬屋も保険屋も印象は最悪です。

「置き薬屋さん、保険屋さんっていい仕事ですねぇ。」
なんて言われた記憶がないです。

世間一般の人たちが、僕らの業界をどのように思っているのか。
なぜ、そんな印象を抱くようになったのか。
を自分なりに分析して、その解決方法を考えながら日々仕事をしています。

このnoteを読むことで、イメージの悪いビジネスをしている人に対して考え方を改めることができるかも。

と言うことで、今回のテーマは「業界あるある」です。
この二人と同じテーマについて書いていきます。

1.僕の勘違い!?本当に印象が悪いのか検証

置き薬の会社に入社して間もない頃、お得意さんの家を探すとこからスタートします。(一般家庭がほとんどなので、大きな目標物がありません)
家がわからない時は、近くの知らない人の家に尋ねることがよくあります。

僕「ここら辺に、○○さんというお宅ありますか?」

市民A「そこの家だけど、ところで何屋さん?」

僕「置き薬の仕事で、最近このエリアの担当になったんです。」

市民A「置き薬...。うちはいらないからね!」

えっ。お願いしてないのに断られた!?
これだけでも、印象の悪さが伝わるでしょ?
実はこの背景には、置き薬あるあるが隠れていたのです。

僕らの業界では「新懸け(しんがけ)」と呼ばれる、新規開拓の仕事が必ずついてきます。
無作為にピンポンを押して「薬箱置いて」と頼む、コスパの悪い仕事が待っています。

お得意さんの家を探すフリをして、他の家に尋ねる。

家を訪ねたついでに、薬箱置かない?

これが常套手段なんです。
一般家庭のお母ちゃん達も、「この流れは勧誘される。」
と危機管理が働いて、先に断るのもわかりますよね。

置き薬屋が嫌われる理由は、薬箱を無理矢理置いて行く。
薬箱を置いたら、薬やサプリメントを押し売りまがいな方法で売りつける。

これを聞くと、嫌われない方がおかしいですよね?

2.勘違い注意。僕らの仕事は薬売りじゃない!

薬屋に慣れた頃に、僕もやっと気付けました。
この業界で称えられる人は、多くの人を健康にした人ではない。
言葉巧みに、必要の無いもの物を売りつけた人だと。

営業マンの間で、すごく不思議な会話が飛び交っていました。
あそこの家なら、〇〇万円くらいまで引っ張れそうなんだよな。
あの家は金を持っているから、上手く丸め込めば、もっと売り上げが伸びそう。という意味です。

数字を伸ばして会社に認めてもらう。
そのために利用されているお客さんの気持ちを考えたら、胸が痛まないのでしょうか。

他社でどんな営業をしてるか自分には関係ない。
自分が目指すのは、お客さんに頼ってもらえる信頼関係を築く。
そのために「自分には何ができるか」、だけを考えてお客さんと接していきたい。

健康法を教える。一緒にお茶を飲む。昔話を聞かせてもらう。
一見無駄に思えることが、未来につながっていくと信じています。

3.先代の薬屋のおっちゃん達ありがとう

薬屋とお得意さんの関係は遡ると、長い人で60年以上のお付き合いになる人も。
昔の薬屋のおじさん達から代々引き継ぎ、僕に至る。

古くからのお得意さんは、はじめましての僕にも、
「よく来てくれたねぇ、さぁ入って休んで。」と、招き入れてくれるんです。
過去の薬屋さんが築き上げた信用ポイントを、ほとんどそのまま僕らに引き継ぐことができるんです。
こんなビジネスなかなかないと思います。

その信用を作り上げてきた背景を少し話すと、昔は歩いてお得意さん廻りをしていました。
嵐の日も、吹雪の日も、歩いて訪問。
そんな時に薬屋さんが来ると「こんな中よく来てくれた。」ってなりますよね。
そして、そのままお得意さんの家に泊まって団欒を囲む。
「遠くの親戚よりも、薬屋のおっちゃんの方が親戚のようだった。」と言う人も少なくないです。

昔とやり方は変わっているかもしれないけれど、薬屋の心の部分は昔のままがいいのかもしれません。

4.おわりに

今回、業界あるあるを書いていて感じたことが二つありました。

一つ目が、嫌われてるビジネスにも理由がある。
昔の薬屋の話を聞くと、良いイメージが持てるかもしれませんが、今は令和です。
資本主義の薬屋が溢れて、金儲けが目的になっているのは事実。
その現実も受け入れて、薬屋にしても保険屋にしても、少しでもイメージをよくしていきたい。そう思いました。
金目的になった瞬間、手段は選ばなくなる可能性が上がる。
自分の信念だけはブレないようにすることが大事だ。

二つ目は、仕事にも人間にも歴史があり、その歴史を知ることで奥行きが出る
置き薬屋のイメージが「古くさい仕事」とか「押し売り屋さん」から、濃い関係を築いたビジネスだと思うことができると思います。

人間に対しても同じで、「この人嫌い」と言うのは簡単に言えます。
ですが、その人の歴史や背景を知ると、好き嫌いを判断をしなくて済むことになるかもしれません。

世の中の見方を少し変えて背景を想像してみると、もっと寛容な人が増えるんではないか。と思います。


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