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ワインに深入りしないワインの話(8)~ やさしいから意図せず凌駕してたという生き方

濃いワイン、パワフルなワイン、フ〇ボディ・・・

正直申しまして、古い概念ですね。

誤解なきように補足しますと、古いというのは、けなし言葉ではありません。

いまは、もうあんまり流行(はや)らない傾向だというだけで、それがダメとか、悪いとか、そういう「評価」をしているのではありません。

世の中が「オ~!モーレツ!」というテレビのコマーシャルが受けた時代、「 ♪ 24時間、働~けますか!!」という行進曲みたいな音楽にみんなが酔っていた時代とは、もう別世界になりました。


ザイフリート・ネルソン ツヴァイゲルト

こちらのニュージーランドの赤ワインは、チャーミングな愉悦に満ちていて、自分からはまったく自己主張がありません。

甘美で柔和な口当たりと、ほのかな甘みのニュアンス(もちろん甘くは毛頭ありませんが)とキレイな酸に、フィネスがみごとに整って美しくバランスしています。

俺が俺がという人たちからは、距離を置いているように見えますが、ご本人には、そんな意図もないようです。

自分は、やさしく生きる。
大きな声は出さない。議論はしない。自分は自分。

比べたり、競ったり、そんな言葉は、最初から辞書にないようです。

唯一、際立つところがあるとすれば、繊細さなのかもしれません。

そういうキャラクターが、我の強い集団の中に入ると、かえって目立ちます。

なにしろ、1人だけ軸が違う。
数字で競うのは、同じ軸を使うからです。

軸そのものがまったくユニークなので、向かうところ敵なしです。

ご本人は最初から勝負したいとも思っていないので、敵も味方もありません。それがまたカッコいい。

1本のワインから、ものすごい気づきを頂きました。

やさしい中にも秘めたるパワーがあって、たおやかなのに芯の強さをひしひしと感じる美味しいワインです。

酒言葉=均整

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