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ワインに深入りしないワインの話(19)~ 期待を裏切るワインが美味しいという必勝公式
今回は、カリフォルニアのロゼワインです。
ロゼについては、もう何度も同じことを申しておりますけれども、日本ではなかなかその真価が受け留めていただけません。
甘いとか、美味しくないとか、初心者向けとか、一体いつの時代のことを覚え込んじゃったんだよー! ・・・と叫びたくなったことは数知れずです。
さて、本日のワインはこちらです。
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色は薄めの黄橙(きだいだい)色です。
ワ~!と目を引くという訳ではなく、どっちかっていうと、地味めな色合いです。
香りも控えめです。
さて、飲んでみましょうかと口に含みますと、最初に来るのは、苦味です。
こういう意外な方向から弾が飛んでくるのは、前評判がないときに美味しいワインを発掘するパターンでもあります。
酸は抑え気味ですが、渋味が少しあって、なかなかいい感じです。
果実感も抑制的で、はちきれんばかりのフルーティーな風味はありません。
ここまでをまとめますと、普通の方々が「ロゼワイン」と聞いて思い浮かべるキャラクターは、何1つ入っていません!
① パーティーに映える華やかな色ではありません。
② 華やかな香りは漂いません。
③ フルーティーではありません。
④ 甘くありません。
⑤ 飲みやすくありません。
⑥ やさしくありません。
⑦ それどころか、少し渋くて、苦味があります。
⑧ エグミもあります。
いや~
いいですね~
この「勝手に期待された理想像を、容赦なく裏切る」ってところが!
これなんか、いま話題的に旬でもある「期待されるジェンダー像」みたいな話ですね。
「女はこうあるべきだ」
という昔ながらの価値観に対する風当りが最強になっています。
当然ですが、「男は男らしく」という価値観も、いまや表立って表明することは憚られます。
それなのに、「ロゼは甘い」とか、「あんなの初心者向けだ」という「伝統的価値観」は、いまだに堂々と表通りを闊歩しています。
いま流行のインクルージョンに、ロゼも加えて頂きたいとかねがね思っていたところです。
アンチロゼ派に、是非ともお試しいただきたい「甘い期待を裏切るロゼ」です。
酒言葉=非行