シャングリラへゆく②大理の仏塔のシンメトリーに魅了されて
理想郷のことを人はシャングリラと呼ぶ
雲南の香りに魅せられて僕は旅をした
冒険家が探し求めたシャングリラに想いをよせ
奥へ奥へ雲南省の秘境を旅した記録
本編は第二部「シャングリラへゆく」です。
第一部「チベットへゆく」はこちらをどうぞ。
拉薩の旅から1年が過ぎ
秋の10月
僕は麗江古城にある小さな茶屋に座り
長年熟成させた普洱茶の生茶から
茶を抽出し香りのいい茶を飲みながら
雲南省の旅を振り返り写真をみていた
もう同じルートを旅をする事は不可能だろう。
そんな想いでレンズを覗き、
写真を撮りためていた僕は
この麗江に思い入れがあったからかもしれない。
今回の旅を振り返る前に
時は遡り十数年前。
僕は雲南省の玄関口昆明に来ていた。
雲南省は中国大陸の西側の国境沿いに位置する省。
ここから目指すのは雲南省の山奥にある。
世界遺産の村 麗江古城であるが
その手前に 大理という村があり
ローカルバスに乗り やってきた。
当時 麗江に入るにはバスを乗り継ぐ他は
飛行機で入る方法しかなく、まだ鉄道が整備される前だった。
中国の旅の醍醐味に大陸の広さを感じ
長い移動時間を体験すると
より秘境感も増し旅も面白い
許される時間の中でなるべく移動は
ローカルで安くいく
昆明からバスに乗り移動
山の奥へ奥へと進む
海に囲まれ暮らす日本人には伝わりにくいが
海がとても とても遠くに感じ
大陸の中に来た感覚
半日かけて大理に着く
大理はとても綺麗な場所
大理の村につき宿を探し二泊した
この近くで採掘される石を大理石と呼ばれ
建築資材としても使われる
かつて唐の時代に大理国が存在し
この地帯を支配していたがモンゴルに
滅ぼされる歴史がある
チベット、ミャンマー、ベトナムとも
交易があり仏教も流れついている
チベット系民族の白族が住む村で
壁の装飾が見事に綺麗
美しい風景と石畳の続く外路に生活する人と
観光する人が行きかい
ここで暮らす子供たちの顔は都会の子とは
違った一面を見せてくれる
大きな見どころとしては
明の時代に築かれた城壁都市の大理古城の散策と
目の前には洱海と呼ばれる大きな湖
そしてひときわ目につく
美しい崇聖寺三塔
9世紀から10世紀に造られた3つの仏塔
主塔(中央)の千尋塔は高さ69.6mで
レンガで出来ている
各層には白い大理石の仏像が鎮座
何もない山のふもとに
これだけの仏塔が天を貫くように
そびえたつ姿は
圧巻で三塔並ぶ姿に建築美の
シンメトリーを感じることが出来る。
この塔の建設には伝説があり
大理はかつて龍の住処があった場所
そこに人間が住み着くと災害が絶えなく
起こりだす
時の権力者が僧に相談したところ
龍の住処を人間が荒らす事を告げらえ
怒りを鎮める為と建てられたのが この三塔
1978年に修復を行った際に
塔身の中から700を超える
金、銀、水晶の像や仏典が見つかった
さらに
1515年の地震で中央の千尋塔は裂けたが
10日後の余震で
元に戻ったという伝説がある
1925年にも大理大地震の際も多くの建物が
倒れた中で
この三塔は倒れなかった
唐の時代にこの土地に建築し祈祷した際に
結界をはり
仏を降臨させたと言われている
中国といっても大理は西の端国境沿いだ
少数民族が多く住むエリア
まだまだ知らない土地があり
僕の好奇心に灯をつける
大理でみた天に伸びるように建つ
仏塔のシンメトリーの建築美
きっと多くの冒険家も
この景観をみ、そう感じただろう
目の前で見ると それだけ美しい建築は
今では龍の加護を受けている気がする
シャングリラを連想させる風景に
魅了された
人が住む遥か大古
この地の空を大きな龍が駆け巡り
自由に飛んでいた伝説の残る大理
雲の合間に差し込む光が美しく
天まで届きそうな仏塔を照らす
今にも龍が現れそうだ
大理を後にしてローカルバスにのり
麗江古城を目指す
初めて麗江古城に行ったのは十数年前の事
まだ麗江古城が商業化に大きく変わる前
そして麗江古城で一人の男と出会う
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