【003】新海誠監督のサイン会へ参加した話〜「言の葉の庭」
2021年に入り早3日目。今日は地上波で新海誠監督作品「天気の子」が地上波で放送されますね。すでにディスクも持っていますが、今夜の放送では一夜限りのエンディング映像放送とのことで今日は自宅でゆっくり鑑賞する予定です。
さて、本来であれば6月とか梅雨の季節にUPしたい作品ですが、今日散歩中かすかな虹を観ることが出来たので、今日は私にとって特別なこの作品について書こうと思います。
それはこちら「言の葉の庭」です!
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予告はこちらになります!
映画『言の葉の庭』予告編映像
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「映画館へ行くきっかけ」
この予告は、実は仕事の休憩中にYouTubeでたまたま“あなたにおすすめ”に出てきて見てまずこれ実写?と見えるほどの映像美に惹かれて、劇場に足を運んだんですよね。僕自身、アニメーション映画って、スタジオジブリとか幼少期当時のポケモンとかドラえもんとかクレヨンしんちゃんぐらいしか観てない人間で、この当時はまだ「新海誠監督」と聞いても正直「???」でした。(熱烈なファンの方すみません。)
けど、日本にこんな綺麗な絵が描ける人がいるんだって驚いて、自分結構ビビりで少し不安だったけど少し遅めの、一人映画デビューをこの作品で果たしたんですよね。またこの作品の音楽や声優さんの声も魅力的で何度も見て、まるで小説の朗読みたいに聞き入ってたのを覚えています。
このキレイなピアノの音は、KASHIWA Daisuke さんの音楽なんですが、デモテープを新海誠監督に事前に「よかったら聞いてください」と送られていた曲らしく、監督自身が、絵コンテを書いていた時によく聴いていたらしいです。「上品」で、他の作品と違うと感じるならそれはこの音楽の力ともパンフレット等で新海監督は語っております。
(そもそもこの作品と出逢うきっかけをくれたYouTubeありがとう。)
そこから過去作品を遡ってみると、「秒速5センチメートル」は一度見ていたことに気づき、我が故郷の栃木県が物語に出てきて、普段利用する駅などが作品に登場して妙にテンションが上がったことを思い出しました。笑
「秒速5センチメートル」予告編 HD版 (5 Centimeters per Second)
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僕は「緑」と「雨」が好き。
小さい頃、好きな色は?と聞かれるといつも緑って答えてました。
今思えばそれってなんでだっただろう?と思うけど、田舎住んでいるせいか
一歩外に出ると、その季節ごとのミドリが外には広がってて、自然に吹く風に乗って微かに香るミドリの匂いに安心感があるからなのかなって思います。
また、戦隊モノ「○○○○レンジャー」とかだと決して、赤や青みたいに1番手2番手ではないけど、メンバーに必要不可欠みたいな?みんなをまとめる調和役的なポジションの人ってかっこいいなとずっと思っていました。
(まーそんな話はおいておいて)
また雨って、憂鬱な気分になるから嫌っていう人もいるけど、雨の音を聴きながら、毛布に包まって遅く起きる朝とか、読む小説とか、飲むコーヒーとかってなんか好きで、外を歩く時、ビニール傘に当たる雨音も好きだったりします。
(まー洗濯とか梅雨の時期は困ったりもしますが(苦笑)
だから好きなものが詰め込まれたこの作品にまんまと“一目惚れ”したんだと思います。
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感想
この作品。簡単に言うと孝雄と雪野さんの恋(昔だと孤悲と記すらしい)のお話。そこに作品の90%以上のシーンを“第3の主人公”とも言える「雨」が
加わりとても幻想的で切ない中に小さな希望を感じる作品となっております。
この作品の中だけでも「夕立」「天気雨」「雷雨」「土砂降り」「霧雨」と色んな表情をした『雨』が登場しますが、東京の街並みを含め僕らが何気なく観ている景色は監督からだとこんなにキラキラした世界に見えているのかと驚かされます。
この作品を鑑賞したのはもう当時8年前。当時僕は25歳でした。
だからなのか、感情移入という面では、高校生の孝雄よりも
歳の近い女性の雪野さんの方に傾いていました。
*物語中のシーンでファンデーションが割れる=女性の身近なショックな出来事。と表現するところがありますが、自分男だから気持ち的に分からないけど、そういった表現を描けるのって、すごいと思うし、女性ファンでは結構好きなシーンにあげる人結構いるみたいです!
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予告にもある通り
「27歳の私は、15歳の頃の私より、少しも賢くない」っていうモノローグがありますが、まさにそうだなって。学生頃思い描いていた27歳像ってもっと大人で。(何を基準にって思いますが)家庭をもって、結婚もして。子供もいて。仕事だったり人間関係でもそんな小さなことに戸惑ったり、悩んだりしないくらい強い人に成長していると思っていたけど、実際はそんなんじゃなくて少しも根本的な根っこのところは変わらなくて、だから雪野さんの言葉に「素直にそうだな。」って納得しちゃう自分がいてそしてその対照的に、孝雄は夢がしっかりあって、(のちに小説で知る背景を経験しているからか)考えていることが大人で、自分の世界がしっかりあってそれこそ雪野さんに「君は違う世界ばっかりを見ていたのね」と言われるところがありますが、大半の15歳の思春期ってきっと色んなことに首を突っ込んで盛り上がったりすると思うんですが、人とは違う視点で物事を見ている彼が眩しかったり、尊敬的な目で見ていました。
(まー学校の屋上でテニスボールでキャッチボールをしちゃう当たりはまだまだ15歳らしいかなとも思いましたが!笑)
そして靴職人を目指す孝雄は本来学校にいくべきところ雨の午前中は公園へ
上手く(人生を)歩けなくなってしまった雪野は仕事にいけず公園へ
と理由は違えど、本来の人生のルートをはずれている2人。
(今いる場所は本来2人がいる場所ではないと頭ではわかっているはず。)
まさに、「歩く」ことを忘れ“人生の雨宿り中。”
そんな中、公園の東屋で出逢い、交流を深めていきます。
「歩」て漢字。昔金八先生で「少し」「止まる」と書く。
って生徒に別れの言葉だったか伝えるシーンが印象に残ってて
まさに2人にとって必要な時間だったんじゃないかって思う。
僕自身も、人生で初めて雨宿りしてた時期がやっぱあったし。
誰しも生きているといい時と悪い時がバランスよくあって、
まさにそういう時が重なったんじゃないかなと。。
そしてさらに物語のキーポイントとなるのが、風情のある万葉集の中から
互いの想いを詠んで送り合う相聞歌となっていて、女性の問いかけに男性が答えるという二首の登場が更に世界観を輝かしています✨
『雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ』
現代語訳 雷が鳴って 雲が広がり 雨が降ってくれたら 貴方をここに留められるのに
『雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて 降らずとも われは留らむ 妹し留めば』
現代語訳 雷が鳴って 雨が降らなくても 私はここに留まるよ 貴女が引き留めるなら
なんて素敵な言葉なんでしょか?(この二人両想いですよね!)
こういった素敵な言葉たちが昔からあったんだと思うと、昔も今も恋愛に通じる男女の
共通点がやっぱあって、なんとも言えない気持ちになったり、もっと他の作品を知りたくなったり、もっと学生時代真剣に国語の授業を受けていたらとか思ったり、のちにヒットする百人一首を題材にした高校生のカルタ部の「ちはやふる」も見方が変わってきます。笑
(全部で3部作となっており、とても爽やかな作品です。こちらも是非!)
【映画】ちはやふる上の句・下の句予告編
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「15歳」
あの頃…私は何に夢中になっていたんだろう?と過去の記憶を遡ると、
やっぱり部活の「ソフトテニス」に一番夢中になっていたかなと思います。
だから毎日練習に汗を流して真っ黒に日焼けして、全く勉強をしていませんでした。笑
夏の最後の市の大会では運が良く勝ち進み、県大会へ進めたことはいい思い出です。(県大会では初戦敗退でしたが・・・笑)
でもあの頃の先輩との上下関係や頑張りが今の忍耐力に少なからず繋がっていると思うしやっててよかったなと思います。
そしてそんなソフトテニスを題材にした映画だと、この作品を見ると当時の気持ちがフラッシュバックします。
ソフトテニスに打ち込む少女たちの青春模様!映画『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』予告編
と脱線しまくってますが、(汗)孝雄と同じ15歳を題材にした青春の邦画作品って結構たくさんありますが孝雄ほどしっかりした主人公の15歳に僕はまだ出逢ったことがありません。笑
(どれもメッセージ性が強く大好きなのでいつかブログで書こうと思っています。)
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さて話を本題に戻して、
*主演の声優二人はすでに15歳で芸能のお仕事をされていましたが、監督自身はSFが好きなどこにでもいる普通の青年で“何もしなかった時期”と語っています。
*そして雪野さんと同じ27歳の頃の監督は、仕事をしながら睡眠時間を削って、明け方まで自分のアニメーションの作品を作りだしていたとのことで“一番苦しい時期”だったと語っています。しかし、今の“アニメーション監督”という仕事に繋がる方向性が定まる時期でもあります。
*僕自身も、今も続けているホテルマンの仕事を「何よりも仕事第一」でバリバリこなしていた時期で役職業務や不規則な生活リズムで苦労したりして、自分を追い込んで一番辛かった時期でした。だからこそこの映画の雪野さんの気持ちがほんの少し分かったり、前から好きだった「映画」という存在にいつも励まされ、より一層、映画にのめりこんでいったのかもしれません。
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ここで「言の葉の庭」の裏話
①「言の葉の庭」作品中にジブリ作品の「耳をませば」!?
これ、オーディオコメンタリーで知ったんですが、作品25分頃学校のクラスの中で「ほんと月島らしいよな」という男子学生の台詞が登場しますが、実はこれ監督が好きなスタジオジブリ作品の「耳をすませば」の月島雫のことらしくリスペクトしたそうです。
監督曰く「これから頑張ればいい(これから才能を磨けばいい)」と地球屋のおじいさんに励まされる雫のシーンが特に好きだそうです。僕もかなり大好きな作品なので、こうやって好きな作品が繋がるとなんだかこっちが嬉しくなります。
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②声優の役への挑戦
まず雪野役の花澤香菜さん。(上記の写真左)
物語中、心のバランスを崩した雪野を表現する為、実際の靴を左右逆に履いて
足元からバランスを変えて、アフレコに臨んたとのことです。
ちなみに、監督もギリギリまで知らなかったらしい。。。
また初日のアフレコには緑の服を着てきたり、実際の舞台を歩いたりもしたそう。(この発想そのものが凄い感性ですごい。)
次にタカオ役の入野自由さん(上記写真右)
物語中2人が思いをぶつけ合うシーン。本来台本を片手に持ってアフレコを
行いますが、入野さんは芝居に集中したいということで、譜面台に台本のコピーを置き手放しで芝居をするという録音方法に挑戦しました。
最終的には、ほとんど譜面台に目もやらず、身体全体で熱演を見せたとの事。
(これはもう作品を観ればわかる通り画面上ヒシヒシと入野さんの凄さがダダ漏れしてます)
そして花澤さんもいい緊張感で臨めたと語っております。
僕もこのシーンがとても大好きです。
海の底のような、プールの中のような水紋がアパートの階段等に映し出されているんですがそれがまた綺麗で、お互いの心の叫びがグッときます!
他にも孝雄の家は実は新海誠監督の当時住んでいたアパートがイメージだったり、本編では聞こえない雪野さんの家でのシーンの台詞が聞けるなど貴重な裏話はオーディオコメンタリーに収録されているのでぜひ聞いてみてください!
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そして、主題歌である大江千里さんのカバーの「Rain」ももちろん好きですが映画にはないシーンを含めた秦基博さんの「言ノ葉」のMVを載せておきます。これがまた最高に感動的。色彩美は勿論、映像編集の力が光っってます!
秦 基博 - 「言ノ葉」 Music Video-Makoto Shinkai / Director's Cut
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鑑賞後のそれから 〜2013年6月8日〜
色彩美と物語の素晴らしさに感動してしばらく席を立てなかった中、せっかくの記念だしとパンフレットを購入しようと売店まで行くと、驚くことにすでに作品のBlu-rayが販売されており驚きました。(絶対発売されたら購入しようと思っていたので、即買いしました。笑)
すると、数週間後に新海監督のサイン会があるとの事で、整理券を頂き、人生初のサイン会にも参加することにしました。
サイン会当日。【2013年6月8日】
緊張しながら列に並び、いざ自分の番が来てササッとサインを書いて終わるかと思ったら
新海監督:「この作品を見ていただきありがとうございます。」とおっしゃってくれて、とっさに僕もこのままじゃいけないと思い
自分:「初めての一人映画で観させていただきました。とても映像も綺麗でシナリオも良くて感動しました。」とほぼテンパりながら伝えました。
すると・・・
新海監督:「人生の中で初めて見る一人映画にこの作品に出逢ってくれてありがとうございます。」「これから新作を作っていくので応援よろしくお願いします。」
と優しく気さくにお話しをしてくださって、、一気に体温が熱くなった記憶があります。
(当時つけていた自分の日記より)
こちらはもう我が家の家宝となっております。
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そしてこの時、この監督が作る今後の作品は絶対映画館で観よう。
そしてずっと応援していこうと思ったら、まさかの次回作で今まで以上に世界的に
そして社会現象を起こしてしまうわけでびっくりです。
「君の名は」と「天気の子」
「君の名は。」予告
もう出逢うことはない雲の更に上の上に行ってしまった新海誠監督。
けどあの数分だけでも一緒にお話しできたことは一生の思い出で
僕がこの世に生まれてきてよかったと思えた瞬間でした。
今まで仕事を頑張ってきた自分へのご褒美というべきか
ほんと忘れることのできない特別な記念日です。
色々うまくまとめられず書き記しましたが、是非お時間がある方雨の日にでもコーヒーやビールそしてチョコレートとお供にご覧ください。笑
今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。
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