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【対談】なぜOKRがうまくいかないのか?コンサル経験豊富な2人が「5つの問い」を手がかりに語るOKRの本質。

今回は、OKR導入のコンサルティングを行う株式会社タバネル代表取締役の奥田和広さんと、ハイマネージャー株式会社CEOの森が対談を行いました。

「5つの問い」を手がかりに、「OKRの本質はなにか」について議論しました。

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Q1:OKRはどんな課題を解決するのか?

ーーそれでは奥田さん・森さん、よろしくお願いします。早速ですが最初のお題です。「OKRはどんな課題を解決するのか?」です。

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奥田:1つは、組織全員が「何のために仕事をするのか」を明確にし、同じベクトルに向かうことだと思っています。弊社は、それを「束ねる(タバネル)」と言っています。

ちょうどこの前のクライアントさんが、1年前にKPI・KGIを決めて動き始めた会社さんだったんですけれども、厳格に運用しすぎて自分たちのKPI・KGIを追うことだけになってしまい、チーム間の協力が一切なくなってしまったそうなんです。

そこで、Objectivesを立てて全員で共有することによって、協力が増えモチベーションも上がったという話がありました。このように、全員が同じベクトルを向くようにすることが一番大きな効果かなと思います。

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株式会社タバネル 代表取締役 奥田 和広さん

ーーなるほど。OKRのどのような機能が「束ねる」に繋がるんでしょうか?

奥田:やはりObjectiveがあるのが大きいと思います。数字だけでつなげると無理が出てくるというか、数字だけで整合性と取ろうとすると、些細なことまで繋げないといけないので。

それよりも「今はどこに向かっているのか」というObjectivesを繋げていく。その中で自分たちは何を優先順位高くやっていくのかを明確にすることで、束ねられていきます。

OKRによって、目的がしっかりと見えたり、仕事の優先順位が明確になります。なので、タスクがどんどん降ってきて、いつの間にか仕事に忙殺されているという事態を防ぐことができると思います。

ーーありがとうございます。森さんは「OKRはどんな課題を解決するのか?」というお題について、いかがでしょうか?

森:OKRの効果はいくつかあると思いますが、従業員エンゲージメントの向上に繋がることが一番大きいと思っています。「メンバーのやりたいこと」と「会社の進む方向」を擦り合わせる、アラインメントすることが大切なのかなと。

今期は半分(1.5ヶ月)が経過した段階ですけども、弊社ではすでに3回くらいOKRを更新しているメンバーもいます。個人も会社もやりたいことが変わる中で、アジャイルに擦り合わせをしています。

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ハイマネージャー株式会社CEO 森 謙吾

Q2:OKRとMBOの本質的な違いは?

ーーありがとうございます。それでは2つ目のお題にいきましょう。「OKRとMBOの本質的な違いは?」です。

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奥田:そもそもMBOと言っても ”日本で運用されているMBO” であって、ドラッガーが言っているMBOではないんですね。

ドラッガーは「人事評価に使ってください」とは言っていません。組織として同じ方向を向き、メンバーの成長も促しながら…というようなことを言っています。

なので、思想としてはドラッガーが言っている本来のMBOは、ほぼ今のOKRに近いと思っています。

ただMBOとの違いで言うと、OKRは「100点じゃなくてもいい」ことが大きいんじゃないかなと思っています。100点取らないといけないと思うと、想定の範囲内で目標を立ててしまうと。

OKRは、6割が7割達成、成功確率50%くらいが推奨されているので、ジャンプしたところを目指しやすくなっていると思います。

MBOだとスピードが出ないですよね。弊社のクライアントはスタートアップが多いのですが、スタートアップだと半年・1年後は全く読めないので、OKRのように3ヶ月単位で優先順位をつけていかないといけません。

あとは、全員が見えるように透明化されていることも重要だなと思っています。MBOは完全に公開するという思想ではないので。

前職で、自分の上司がどういう目標を追っているのかとか、会社・チームとしてどこを目指しているのかがわからなかった時がありまして。なので目標を全員に可視化することは大切だなと感じています。

奥田:人事評価と結びついちゃうと余計に可視化できないですよね…。

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Q3:OKR失敗あるあるは?

ーーありがとうございます。3つ目のお題は「OKR失敗あるあるは?」です。今日の一番中心の議論になるのではないかと。コンサルティング経験豊富でさまざまな事例に触れてきたからこそ見えているものがあるのではないか…と思っています。いかがでしょうか?

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奥田:1つ目のお題とも近いんですけれども、トップの方が「何のためにOKRを入れるのか」が曖昧なまま、現場にも伝わらないことが、OKRの失敗原因として大きいと思います。

現場としては、目的がわからないまま急に「ムーンショットな目標を立てろ」とか「高頻度でフィードバックしろ」と言われるだけだと「今までの目標管理より面倒くさいな…」という感じで終わってしまう。

なので、僕はコンサルティングをする時に、現場層に研修をすることが多いです。現場の方々に「なぜOKRをするのか」を理解してもらうためです。

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:奥田さんの仰る通りだなと思います。やはり「何を解決するためにOKRを入れるのか」が明確になっていないと、そもそもOKRを導入したことによる効果を測ることができないので。

OKRにもいろいろな要素があるので、その中でも特に「ここを解決したい」というものがあったほうが、スムーズに進むと思っています。

奥田:あとは、導入初期の段階で現場にOKRの運用を任せすぎない方がいいと思います。チェックイン・ウィンセッション、1on1をやりましょうとなった時に、現場のマネージャーはただでさえ忙しいので、ついつい後回しになってしまいます。

なので、最初の3ヶ月はある程度トップダウンで「いつ、これくらいの頻度でやりましょう」と決めてしまったほうがいい。その後にそれぞれの部署ごとに合ったやり方に改善していくのがいいと思います。

その方が、他部署のマネージャーと相談しあいながら進めることもできます。それにいきなり現場任せだと、うまくいかなかった時に原因が「頻度」にあるのか「やり方」にあるのかわからなくなってしまいます。

:なるほど。それからクライアントさんを見ていると、KR(Key Results)を決める前のO(Objectives)のところでつまづいている会社さんが多い印象です。Objectivesを立てた経験がないケースが多いなと思います。

奥田:それは確かにありますね。今まで曖昧にしていた部分がOKRによって顕在化しているのではないかと思うんです。OKRによってマネージャーが自分のチームの「戦略」を考えるようになる。そして本来戦略はOKR関係なく決めなければいけないことです。

戦略とは、目的があって、その目的に向かう手段をどのように選ぶのか、ということですよね。今までは目的(Objectives)自体が曖昧だったので、何を選ぶかももちろん曖昧になってしまいます。

なのでOKRを導入して、大変だけども議論して「Objectives=目的」と「Key Results=手段」を決めるプロセス自体が大切なんじゃないかと思います。

ーーそういえば以前、森さんと奥田さんがTwitterで「OKRってコミュニケーションツールだよね!」と言っていたのを思い出しました。



奥田:そうでしたね(笑)。OKRは目標管理の新しい形だと言っているんですけれども、「コミュニケーションツール」や「戦略を落とし込むツール」という表現の方が合っているんじゃないかなとも思っていて。目標管理と捉えるから、MBOとの比較をされたり人事評価と間違われるのではないかなと。

でも、単なる目標管理ではないんですよね。ただ社会的には目標管理のフレームワークだと認識されているので…どう伝えたらいいか、難しいところです。

:コミュニケーションツールというところでいうと、OKRとセットになる概念としてCFR(Conversation・Feedback・Recognition)があります。これが大切だと思っていて。

OKRを決めて目標が明確になって、どこに向かっていくのかはわかりました。でも日々のコミュニケーションでOKRの話が出てこなくて、結局OKRがKPI的なものになって、メンバーが疲弊して退職してしまうケースも耳にします。

OKRを設定すると同時にCFRを定期的にやっていかないと、OKRがただの目標管理ツールになってしまうと思います。コミュニケーションツールとして成立するためには、CFRが大切になると思います。

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奥田:そうですね。まだOKRが入って初期の頃はセミナーをしても「どうやってOKRを設定したらいいですか」という設定についての質問ばかりでした。

もちろん設定も大切なんだけど、設定よりも運用をちゃんとしないといけない。むしろ運用が8割くらいのイメージです。その日々のコミュニケーションの部分が大半を占めると思います。

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Q4:KRはどれくらい浸透する?OKRの次は何が来る?

ーーありがとうございます。それでは4つ目のお題です。「OKRはどれくらい浸透する?OKRの次は何が来る?」です。

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:ここは僕の興味本位の質問です(笑)日本でOKRはどれくらい浸透していくのか、それからOKRの次はどうなるのか、ディスカッションできればと思っていまして。

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2000年代後半にアメリカからOKRが出てきて、日本でもここ1・2年くらいで浸透し始めていると思うんですけども…アメリカでOKRの次が生まれるのか、それともOKRはしばらく続いていくのか…。

奥田:そうですね…まずOKRの考え方を取り入れることで、組織としてやるべきことが正しい方向に進んでいると思っています。

その中で、概念として新しいものが生まれても、言っている内容はそこまで変わっていないことってあるじゃないですか。Salesforceが使用しているV2MOMなども、OKRに近い考え方ですし。

なので、今後いろんな呼ばれ方をされたとしても、考え方としてはもっと普及していくのではないかなと思っています。

Q5:理想の組織像は?

ーーありがとうございます。それでは最後のお題です。お二人の「理想の組織像」をお聞かせください。

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奥田:アメリカの経営学者のバーナードが提唱している「組織の三要素」があります。「コミュニケーション」「協働の意欲」「共通の目標」です。

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三要素がないと組織が成立しないと言っているんですが、それだけじゃなくて三要素揃っているのが理想なんじゃないかと思います。

「共通の目的」を見失っていたり、そこに向かう「意欲」がなかったり、コミュニケーション不全が起こったり…ということが組織の問題なので。この三要素がしっかり回っていることが一番重要なことなのかなと。

極論を言うと、「共通の目的」がずれたら自然とその組織から離れていくことが理想的だと思っています。

よく私は新卒時代の経験を例に出しています。新卒で入社すると運動しなくなるよねということで、週に1回フットサルに行こうということになったんですね。

それがある時から「大会に出たいね」と言い始めたんです。目的が「運動をする」から「大会で勝つ」ことに変わったんです。そうなると、私を含め何人かは「いや、そこまでは…」となるわけです(笑)。

仲が良いか悪いかは関係なく、組織の目的と自分の目的が合わなくなったら、自然とその組織から離れていく。その方が正しいのかなと。

本来は、ひとりではできない大きな目標に向かうために組織はできていくものだと思います。なので「共通の目的」を起点に三要素がグルグル回ることが理想だと思います。

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:僕は、組織が個人の「痛み」や「課題」の受け皿になれないかなと思っていて。個人の居場所というか。

もちろん、自分で経営してみて会社の事情も理解しているので難しいのは理解しているんですけれども。そこに行くと生き生きできるとか、落ち着くことができる、居場所ができる場所にできたら良いなと思います。

ただ、そういう部分と、会社としてやらなきゃいけないこととの整合性をとる必要があるので、その1つの手段がOKRなのかもしれないと思っています。

究極的には、組織として持続的に成長しながら、1人ひとりの居場所になることを目指しています。

ーーお二人とも、お忙しい中ありがとうございました!

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タバネル×Himanager1

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