コミック雑誌なんかいらない! (映画012)
「コミック雑誌なんかいらない!」
1986年に公開された「コミック雑誌なんかいらない!」は内田裕也が芸能リポーターを演じた日本映画です。同じく内田裕也出演の「十階のモスキート」もそうでしたが最後に盛り上がる見せ場があるのは個人的には好みでありますし、また、本作は構成の成り立ちも「十階のモスキート」に似てクライマックスに至るまでのエピソードの連続の物語というのも独特でもあります。エピソードも事故現場や抗争場所に出向いての撮影だけに緊張感がありますが、神田正輝・松田聖子の挙式に至ってはやり直しが効かないこともあって尚更のそれでもありました。ほんの少しの出演ですが、松田聖子のかつての恋人の郷ひろみがホスト役というのは意外で面白かったです。終始、驚きの連続ですが、特にロス疑惑の三浦和義の出演は事前に打ち合わせがなかったようなそれだったし、豊田商事会長刺殺事件はニュースでリアルタイムで見ていたので詳細を知ることができて参考になりました。度々の麻生祐未のシーンは良好なアクセントになっていて映画であることを再確認する役割と作家性が垣間見えるシーン、また、端々で遊び心があってタイトルが示す筋道の通った充実感が味わえます。1980年代と自身の十代が重なるだけに親しみの湧く作品でもありますが、それを後押ししたのはおニャン子クラブの面々の出演でした。今となってはそれに代わる多数のアイドル・グループ、また、後の凶悪事件、巧妙な特殊詐欺をニュースで伝えられる度に思い出す「コミック雑誌なんかいらない!」です。