自転車百景 | 自転車は物語る
11月中旬、蟻のがんばりを確認して、鼓舞をもらい、
サイクリングに出発しました。
グレーゾーンに遭遇し、
もしこの中に自転車があったならばと想像してみます。我思うゆえに我在りの関係性に着目すれば、自転車思うゆえに自転車ありとなり、とすれば何を撮ってもそこに自転車なくして自転車ありの写真と言い張ることが可能となり、しかしこれは適当ではなく、と不毛な哲学もどきの練習をして、
これら汽水域を通って、
少しずつ被写体自転車が増量です。
この日も「自転車」についていくつかの発見があった気がします。
写真を撮らなければ何も気づかず通り過ぎる止むにやまれぬ生活様式を纏った気配を隠す自転車。
何かの営業的訪問なのか、なぜ帽子と上着をカゴに入れたままなのか、
空気が抜けたままの大人用自転車の向こう側には、これも空気が抜けた様子か子供用自転車。もう大きくなって乗る機会が減ったのか、
などと想像をしていると、ひょっこりはにかんで覗いている自転車と出会ったり、
最近よく見るような気がする、新興勢力なのか、自転車のブランド調べてみますと「ルイガノ」というカナダに本拠地を置くメーカーのようですが、あさひ自転車が販売契約をしているとのことで、販路が開き流通量が増えているようだと知り、メーカーにとってのディーラーの重要性も思いながら、
改めて自転車、その個性の豊富さを思い、
この日はサイクリング先で駐輪場に停めて、
個性を隠します。
少し散歩もして、スナップでもしてみようかと思うも、
やはり目に行くのは自転車。
撮ることに困ることなき有難い被写体です。
もし私が姉を持つホテルマンならば、非番であろうともその豊かなホスピタリティを礎に、事件として報告するべき状況に遭遇したりもしました。
落ち葉、海、たんぽぽ、冬の寒空、絡めたい放題で、
季節性を出しやすい被写体であり、あるいは働く自転車も豊富にあり、
風情に旅情との相性もよく、旅先、出先で困ることもない被写体との出会いに感謝をして、
お昼を頂きます。
この日は2時間ほど、サイクリングを堪能させて頂きまして、
自転車ばかりに目が行っていると、
さらにいくつかのことに気が付いたように思いました。
自転車に小さい個性が付属している場合がありまして、一つはそれに気が付きました。
たとえばサドル裏にタオル。
を、撮っているあやしいおじさん、目が合うもののどうやら職質はされないようでしたので、自転車撮りを続けることにして、
「ここにもいるんだろう?やっぱり」と隠れた自転車の居場所がだいたいわかってしまう勘所もつきながら、
それぞれ皆様の生活様式がありつつ、
これも何ら考えたことがなかった事項に光景ですが「こうして自転車を大切にする心の持ち主」がいることも知ったような気がして、
撮り出すと切りがない、速度にして匍匐前進1の78乗倍することのマイナス0.2の対地速度ではないかと丁寧に計算をしてみて、
この写真に題名を付けるとするならば「貴婦人エルマリート」です、などとも考えながら、
仮に写真にタイトルを付けることを命題とした場合、あまりの個体数に早晩行き詰ることが予想されれば、型番式を導入するべきか、一考であると思いつつ、
また自転車のペダルを止めます。
自転車百景、ひと休憩です。
ときにタオル乾燥機としても活躍する自転車。
こちらは自転車の構成から察するに「優しいお母さんの思いやり」が撮れた気もして、
おっと、危うく見逃すところでした。
もう一つ気づいたことは「空き巣目線」です。空き巣の下見かのように、自転車が物語る、家族構成や凡その世代、止める順番から出かける順番が分かり、あるいは家庭内の力関係まで伝わってくるようで、これらを下地としたデータベースが出来上がると在宅の有無まで推測がつくようになると思い、一つ怖いことと思った次第です。
撮ったとき左の自転車しか見ておらず、この自転車に魅せられていることが分かる一枚です。何に魅せられたのか、霧の中として、
公園で再度一休みして、
もう少し続きます。
公園の駐輪場から出てきたご年配の男女。とくに意識することもなく、ご夫婦で秋の散策、素敵に思ったら、次にどこに行ってみるか敬語でやり取りなさっていて「行ってみます?」と男性が問いかけ「じゃあ私分からないので後ろついていきます」と耳に入ってくれば、そのような関係性も素敵に思った光景とも出会いました。そしてフリンジも素敵な個性と思うようになりました。
この日小さなポシェットの中で多少プレスされたランチデザートを頂きました。
ここまで掲載台数を数えていないですが、1枚1景ではなく、
1台ごとに人生あり、個性ありとこれを重視して、一台ごとに寄り添った視点とする1台1景カウントにて自転車百景としたいと思い、百景システムを万全とするとために念を入れて、
最近撮った自転車を追加して台数合わせで掲載失礼いたします。
そして自転車八景と題してもよかった気がしてきました。